◇◇◇◇◇
リオとリンドウはシャビル王子とお食事中。
シャビル:「リオたちは今日はどうするの?」
リオ:「はい。ちょっと街に出てみようかと思ってます。」
シャビル:「そっか。この王都は聖ナスヴィー教の発祥の地なんだ。近くに大聖堂があるからぜひ行ってみるといいよ。すごく美しいから。」
リオ:「そうなんですか!だからかなぁ。」
シャビル:「ん?何がだから?」
リオ:「あ!いえ、なんでもないです。」
しまった。変なこと言ったかな?
だから、この地に転移したのかなぁって思ったんだけど、そうすると変なこと言っちゃうよね。
リオ:「この国で女神様はどういう感じなんですか?」
シャビル:「この国というか、この大陸は女神様の信仰は厚いよ。歴史的にそれは実証されてるからね。
他の宗教が栄えることはないんだよ。」
リオ:「どういうことですか?」
シャビル:「知らないのかい。
昔から他の信仰が流行ると決まってその国は滅んでいったんだよ。
女神様の怒りって言ってね。
だから、今はその他の宗教を信仰することはどの国でも禁止されているよ。
この大陸は聖ナスヴィー教以外の信仰はないよ。」
リオ:「へえ。女神様の怒りですか……。ぷっ!
怒ってるところが想像つきませんね。」
シャビル:「そうなの?」
シャビルの直感がリオは女神本人を知ってるんじゃないか?というあり得ない想像を感じてしまった。
しかし、流石にそれはないだろうと笑ってしまった。リオって面白い。
リオ:「じゃあ、今日は大聖堂に行ってみます。」
シャビル:「そうするといいよ。
ところで、リオとリンドウはお揃いの指輪してるんだね。
前はしてなかったよね?」
リオ:「あ!それは……。」
リンドウ:「そうね。ちょっと外してたのよ。」
シャビル:「ふーん。いいね。その指輪。」
シャビルは直感で何か隠してることがわかった。が、それ以上はつっこまない。
シャビル:「じゃあ、僕もリンドウにプレゼントしようかな。」
リンドウ:「ふふふ。ありがとう。要らないから気持ちだけ受け取っておくわ。」
これは直感で本心であることを確認!
シャビル、あっけなく撃沈……。
◇◇◇◇◇
リオ:「リンドウ!あれじゃない?」
リンドウ:「そうね。あれね。」
リオ:「あれだけ大きいとすぐわかるね。」
前方に大きな4つの塔のような建物を発見。
ゼータ:「兄ちゃん。見えないよ。抱っこして!」
リオ:「いいよ。ほら、どう?」
ゼータ:「うわ。おっきい。」
リオ:「な!あそこに行くよ。」
大聖堂の前まで来ると思った以上に大きく豪華な建物だったことにさらにビックリ。
大聖堂の前は大きい円形の石畳の広場になっていて、その周りをぐるりと酒場が目白押しに並んでいる。酒場や広場では国民が楽しく呑んでくつろいでいる。
リオ:「みんな、楽しそうだね。帝国とは大違いだよ。」
リンドウ:「そうね。この国はいい国なんでしょうね。」
広場でリオたちを見ている少年がいた。
謎の少年レキである。
一度、リオとは面識があるので、帽子を深々と被っている。
(やっぱり、あのお姉さんはマジやばいね。
あの少年もちょっと見ない間にすごく成長してるね。何か秘密がありそうだな。
それにしても、幸せそうにしてるな。ムカつく。俺、あいつ嫌いだな。
まあ、こっちも上が馬鹿だし、そろそろこの国を出ることにしようか。)
レキは歳の割にこういう判断を間違ったことがない。危険察知能力というべきものか。
とにかく、なんらかの策を練ってここで行われている計画から手を引く判断をした。
そして、一旦拠点に戻っていった。
リオとリンドウとゼータはレキに気づくことなく、みんなで大聖堂に入ってみた。
中には人がたくさんいて、出入り自由なようだ。大聖堂の中はステンドグラスから差し込む光でとても神秘的な光景が広がっている。
まさに光の芸術というべき空間だった。
そして、その一番奥の祭壇にナスヴィーと思われる大きな女神像が祀られていた。
リオたちは、その女神像の前まで行き、跪いてお祈りを捧げた。ゼータも横にちょこんと座っている。可愛い。
プチュン!
女神:『リオ!久しぶり!』
リオ:『あ!女神様!お久しぶりです。』
リンドウは2回目なので静かに聞いているが、ゼータにも聞こえているみたいで、ビックリしてキョロキョロしていた。
それでも騒がないので偉いぞ!
案の定、他の人には聞こえてないらしい。
誰も気づいていない。
◇◇◇◇◇
大聖堂内の一室にて。
シルヴィア:「え?今の何!?」
ガウチョ:「ん?なんじゃ。
シルヴィア、どうしたんじゃ?」
シルヴィア:「あ!いえ別に……。」
そこには、聖ナスヴィー教の大司教と、なりたてほやほやの聖女が控えていたのだが、聖女には何かが聞こえてきたらしい。
シルヴィア:「ガウチョ様。ちょっと聖堂内を見に行ってきてもよろしいでしょうか?」
ガウチョ:「ああ、構わんよ。あまり目立たないようにな。」
シルヴィア:「はい。行ってきます。」
(女神様とお話ししてらっしゃる?
今もまだはっきりと聞こえてくるわ。
誰かがいるんだわ。
なんなの!すごい!誰?
絶対にお会いしないと!)
シルヴィアは流行る気持ちで小走りに聖堂の方に駆けていった。
◇◇◇◇◇
女神像前。
女神:『リオ、だいぶ強くなったみたいだね!』
リオ:『そうですか?まだまだ弱っちいですけど。』
女神:『うんうん。そうだね。高みを目指すのはいいことだよ。ガチャは順調に回せてるみたいだね。』
リオ:『はい!いい感じで結構回せてますね。
このスキルをもらった時はこんなに回せるとは思ってなかったのでビックリです。
まあ、リンドウのおかげですけど。』
女神:『ゼータももっと強くなるからね。
ガチャ引きまくるんだよ。』
リオ:『はい!わかりました。』
女神:『あとねぇ。
今日はなんと!プレゼントがあるんだよ!
嬉しい?ね!嬉しい?』
リオ:『え?なんですか?』
女神:『もう!反応薄いなぁ。
でも、きっとビックリするよ!』
リオ:『はい!そう言われると、なんかテンション上がってきました!』
女神:『そうでしょ!
今日はなんと!!
ナスヴィーシリーズコンプリート特典のレインボーメダルを進呈します!
よっ!ぱちぱちぱちぱち!』
リオ:『なんですか?それ?』
女神:『分からないかなぁ。レインボーと言えば?』
リオ:『虹?』
女神:『そう!虹と言えば?』
リオ:『え?虹カード?URですか!?』
女神:『そう!当たりだよ!
なんと!UR確定メダルだよ!』
リオ:『えーーーーーー!ウソ!?』
女神:『ほんと!これは元々決まってたからね。
アースの神様が設定してたんでズルなしの特典でーす!嬉しい?ね!嬉しい?』
リオ:『はい!!!めっちゃ嬉しいです!』
女神:『うんうん。その反応を待ってたよ。
そのメダルを貨幣投入口から入れてガチャるんだよ。わかった?』
リオ:『はい!がんばります!』
女神:『いや、がんばらなくても大丈夫だからw!
萌え萌えお姉さんが来るといいねぇ。』
リオ:『萌え萌えですか。』
女神:『そう。アースの言葉でキュンとすることだよ。キュンキュン!いいよねぇ。
リオのポッケにメダル入れとくからね。
楽しみにしとくからね!』
リオ:『はい、ありがとうございます!』
女神:『うん、じゃあまたね!』
プチュン!
リオとリンドウは立ち上がって、人から離れた場所に行っておしゃべりしていた。
リンドウ:「リオ、すごいもの貰ったわね。」
リオ:「貰っちゃいました。」
ゼータ:「兄ちゃん。なんかわかんないけど、いいこと?」
リオ:「うん、そう。いいことがあったんだ。」
ゼータ:「やったね!僕も強くなれるって言ってた。
ちょっと嬉しいかも。へへへ。」
リオ:「うん、楽しみだね。」
リオたち3人は、楽しそうにおしゃべりしていた。
そして、それを一人の少女が眺めていた。
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