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うわ…いい……(語彙力) 照れてるの可愛いかよおおおおおお… やっぱキヨレトってちょいあま&あまあまなのもいいよねぇ…
「ねーねー、レトさん。良いニュースがあんのよ。」
「…お前今どんな顔してるか分かって言ってんの?」
「えー…誰よりもイケメンな顔?レトさんは直ぐそういうこと言わせんだね~。」
「はぁ……一番正解に遠いわ…、それ。………お前、今めっちゃにやけてるんだよ。」
ぱすっ、と読んでいた漫画の新刊を閉じて、レトさんはあきれた口調でそう告げた。
けど、レトさんの言っていたことは事実で今の俺の顔はでろんでろんににやけていることだろう。
人は嘘をつくときに饒舌になるとよく言うが、実際の所、テンションが高いときもよく口が回るものだ。
今の俺のテンションは自分でも引くぐらい高すぎる。止めたいけど歯止めが利かなくて存分に噴き出してしまっている。
如何にも面倒くさいというオーラが滲み出ているレトさんは、「…さっさと言え、原因。」と言葉を投げ付けた。
俺は両手をこすり合わせながら掌を握っては開いての動作を繰り返している。
彼が鉄壁の防御や、針山のような防御壁、更には断崖絶壁などの様々な壁を持ち合わせていることを俺は知っている。
だからこそ、その中には必ず飴が隠れていることだって知っている。
毎回それに頼り続けてへらへらとレトさんの隣をキープして一気に世界を彩っている。
毒とフェアリーが10:1でも、100:1でも……はちょっと言い過ぎかもしれんが、それ程俺にとってはたった1であっても、フェアリーの方が勝ってしまう。
つまり、俺が言いたいのは、こんなに阿呆みたいな顔になってるのはレトさんのせいなんだよってこと。
「原因は…レトさんです…ね」
素直に思いを吐き出すと、彼はなんとも間抜けな声を出して混乱していた。
「なん…なんでよ…、俺…なんかしたっけ…?」
憶えているのかな。ついさっきの出来事。
△
ついさっきのことだった、レトさんが爆弾を急に放ってきたのは。
「レトさ…w…ん…w」
こんなにツボにはまるなんて久々すぎて顔を覆ってまで笑ってしまった。
だって、困難乗り越えたと思ったら絶対別の所で失敗するんだもん、笑っちゃうよね。
「俺が下手なんじゃない…お前が馬鹿なだけ…」
意味の分からない言い訳を吐き捨ててまたゲームへと集中する。
その後、何度か失敗した後、諦めきった顔で
「…………もう…終わっちゃだめですかね…?」
と、なんともふてぶてしく言った。
「えー…。んー…それじゃあ………俺の好きなところ言ってよ。」
「は?」
俺もなんで今更こんなこと言ったのかは曖昧だけど、何となく、彼の口からちゃんと聞きたかった。
ゲーム内での褒め言葉も本当っちゃ本当なんだろうけど、ゲームの腕じゃなくて、俺としてどこが好きなのかは濁って濁っていつの間にか教えてくれなくなってしまった。
まぁ、俺だってレトさんへのそんなこと教えてはないんだけどさ。
早く終わらせようと、真顔になったレトさんは記憶を必死に遡っているように見えた。
何言うんだろ。どうせ、話が合うだのそこら辺だろう。
「話が合うから」
ほーら、やっぱり。嬉しいけど…なーんか締まらないんだよなぁ。
案の定か…と思っていたこのとき、レトさんの爆弾発言がやってきた。
「…てことも、あるけど………一番は俺にずっとついてきてくれるところかなぁ。」
へぇ…………え??
「は、あ」
「言ったから、辞めてもいい?」
「う、…ん」
なにそれ、さらっっと凄いこと言ったよレトさん。
こんなの飴とかじゃなくて、ただの砂糖じゃん。でっろでろに効能効き過ぎるんですけど。
□
「…ねぇ、レトさん。」
「は…はい?」
「レトさん、俺はずっとついて行くからね。」
俺は遠回りに、悟られないように地味に原因を伝えていくことにしていた。
「…え?」
「だって…俺の好きなところ、ついてきてくれるところなんでしょ?」
そしてレトさんは思い出したというか……どちらかというと、やっぱり…とでも言いたそうな雰囲気が滲み出た。
「いや…まぁ…」
「……嘘だったの?」
「そうじゃなくて……」
何故かもごもごと言いたい言葉が見つからないような顔をしていた。
「……なに?」
ひたすらに優しい声で呟くと、「…恋ってむずかしいなぁって思ってさ」と話してくれた。
「ゲームじゃなくて、現実はやり直しが効かないからさ。うーん……だから、あんなハズいこと言わなければよかったなぁ…って」
その時のレトさんの耳はとても火照っていた。
ていうか、自分の言ったことに照れるなんて凄いな…。…今日は……なんか……ザ・可愛いって感じがする…。
そんな可愛さにやられつつも、レトさんの後悔らしき不安を拭いたい一心で、口を開いた。
「…じゃあそんなことで不安にさせないように更について行く。」
「ど、どういう…」
「俺が沢山ついて行ったからレトさんが振り向いてくれたってことなら、もっとつきまとって、もっっと好きにさせるよ。」
「ハズいこと言ったって、その言葉が当たり前に思えるようにさ。」
すると、レトさんは余計に紅くなって絞りきった一言を出した。
「……お前…恥ずかしいやつやな…。」
「レトさんにだけは言われたくないわ。」
「はぁ…ごもっともです…。」
レトさんはさっきよりも少しだけ肩の力が抜けたように笑った。
これでもう言葉だけで照れまくって、自分の発言から目を逸らす、なんてことはしないだろう。
まぁ…たまには、あんなに照れてくれても嬉しいけど…………そんなことよりも、だ。
「あ~………はっず…。」
まだまだ俺は、自分の発言に恥ずかしいとしか思えないようだった。
△fin.□