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寄生獣

5 - 母の涙

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2025年12月11日

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「母さん。全部本当の話だよ、皆殺しさ」

「ふざけないで。ホームヘルパーの仕事に支障を来すわ、貴方」

パラサイト寄生獣、か。お前は無傷なんだな?」

ミギーの事は口が裂けても言えない……。あれが狩人。恐怖と怒りと愛、現実で目にした凄惨な光景ー血と涙と悲鳴と慟哭!!! 学校も職場もこの街も逃げ場なんて無い、これが俺達の楽園の扉……第三次世界大戦。

「今、担任の先生がッッ。擬態生物は文章の脳を呪縛してはコントロールするー己の私利私欲の為だけの約束した近未来の生命」

ミギーは眠っている、差詰ホラー漫画の酔狂、地球は水星と化した!! 警察のパトロールと厳戒に制圧された完全防備の絶体絶命都市、外は危険だ。部屋に引き籠る毎日、Zoomでオンライン授業中だった新一はノートPCの画面の前でシャープペンシルを回す。


「泉君。奴らの行動パターンを推測した、ばらつきが或るーLINEスタンプに送るよ……ミギーは大丈夫かい?」

櫻井は元気そうだ。

「恐ェ時代だぜ、サボり放題でゴールしたけど。B!! 勉強教えてくれーセカイノオワリ」


他意は無いーー


TVでは連日ニュース特番の報道。チャンネルは「1」、音量は「19」。文章とファミリーの新世界での年齢だー

「運命ねェ……ッッ。人生ってのは先の見えない舟旅さ。持つべきモノは欲望だけ、カナ」


両親は不在ーヤりたい。今が絶好のチャンス!! ミギーが身を呈した、否。



母さん?


ホームヘルパーの仕事は大変そうだ。右手の火傷の傷痕は幼少期の俺の我儘な所為での古びたセピア色の記憶、毎日の晩御飯の支度をするエプロン姿のクリームシチューの匂いがオレンジ色の夕焼けと共に連れて来る……。

「お母さん、頂きまーす。お代わり」

家族写真が語る想い出の一ページ、反抗期も無くすくすくと育った俺の一家の大黒柱ー


時刻はPM4:44ー

「まだか? 只の会議だろ、父さんの単身赴任先から連絡はッッ」

「落ち着け。コンビニでも寄ってATMで出金してるのかも、仲間達の気は少ない……除雪しろ」

外は冬化粧しては夜長のアンニュイな雰囲気を醸し出すー俺はピンク色の上着を着てはスコップで掃いた。

遠くから両手でスーパーのレジ袋を持って近づく物陰……見慣れた姿、吹雪で視界が遮られる。

「遅いよ母さん。洗濯物も神棚の水も全部シたからね、暖まろう?」

「……」

ミギーが勘づく。頭の粉雪を払って 居間のストーブのスイッチを押した、リビングに物々しい風が吹いた。

「今日は成吉思汗! 楽しみ~」

「お前パラサイト寄生獣だろ? 真理子の脳を食べたのか」

新一が嘘を貫き通す。

「黙れミギー……そういう系だよ」

羊のラム肉が生々しく焼け焦げた。

「私の右手の様で思い出す、幼き無邪気な日々を」

「新一。大絶望だ、君の母親はもう……」

俺は胸元を掻き毟り嫌悪感を必死で隠した。

「新しい友達だよ、お喋りな所が玉にキズだけどね。新しいヘルパー入った?」

「……」

「新一」

「俺風呂沸かすわ」

可笑しく歪んだ我が家、左右非対称の腕。

「戦うぞ。実家がバトル・ファイトの舞台だ」

「五月蝿エ!!! パラサイトの化物、俺ん家から出てけ!!!」

浴室に響き渡る怒号。悲しみが押し寄せて涙が溢れる。茶碗を洗う後ろ姿に一抹の違和感の不安が或ったー

「何で左手に火傷したの? 仕事のミス、それとも……」

「どけ!!シンクの下の包丁を貸せ」

「止めろ擬態!! 思い出作りの邪魔するな!!!」

目線がぎょろりと俺の右手に向く。渇いた笑顔と声ー

「お前の母親は簡単だった。最期まで家族と一人っ子の長男坊の貴様の身を案じていた……心配か?」

「電気毛布のスイッチ入れてくるね。灯油有る? 俺に任せて」

「……」

鼻水が滴り落ちた、ミギーが必死に説得しては慰める。君の母親は……


物置小屋はガソリンの臭いで散漫していた。寒寒しい夜空が今にも落ちてきそうだった、殺してやる!!!


「泉新一。通夜と葬式の準備だ、葬儀屋に連絡しろ」

「母さん、ミギー死んだよ。友達もいっぱい……」

腹部に鈍い激痛。左手の火傷の跡が鋭い大剣に代わった。痛みで気が飛びそうだった、口から大量の吐血が微睡む視界と共に沈殿する……。

「諦めろ。生命なんて貧弱、死から学べ」

ミギーが残留思念で真理子の首を切断した。倒れ込む二人の死体……降り頻る雪。



救急車のサイレンが近付く、心配して駆けて来た景和の単独行動の寄生獣・Bが電話をした。


コールナンバー#777


泉新一の実母親、真理子は死亡した。鳴り止まぬスマホの着信は莉奈からだった。留守番電話にノイズの音声が静かに残った。

「泉君、久しぶり。仕事の休み入ったの。今度一緒に動物園でも……お弁当作って待ってるから」

大量の血痕が流し台の二人の親子を朱紅色に染め上げていく。

Bは応急処置を何度も施す、慟哭の霧雨が路上の雪を溶かしていった。

気が付けば、冬は終わった。

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