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栞に言われて初めて気付く。
透子はオレとの恋愛に対しても、オレに対しても、きっと少なからず不安はあるんだろうなとは思ってたけど。
多分オレがわからないところで、気付かないところで、透子は不安になっていたのかもしれない。
オレは透子が好きなのが当たり前で、オレ的にはそれだけで満足して、その気持ちが伝わっているモノだと思っていた。
だけど実際肝心なことは口に出して伝えてもいなかったのかもしれない。
ずっと伝えたかった好きだという言葉も、昨日やっと伝えた。
報われない相手は透子で、ずっと好きだったことは、オレにとってはそれも当たり前で、それを透子に伝えることは特に重要だとは思ってなかった。
ただ透子にオレを好きになってほしかった。
ただそれだけだった。
だからオレのことなんてどうでもよかった。
オレがどれだけ透子のことが好きで、いつから好きだったかなんて、特に気にもしなかった。
だけど、透子にとっては、きっと多分それが一番重要なことだったのかもしれない。
もしオレがずっと透子のことが好きだったと本当のことを伝えていれば、きっと透子はこんなに不安になることも、オレたちが離れることもなかったのかもしれない。
オレはそこまで透子がオレを好きになってくれているなんて思ってもなかったから。
オレのことでそんなに不安になることがあるだなんて思いもしなかった。
真実は一つなのに。
想いはたった一つなのに。
一番肝心でそのたった一つの真実を伝えられなかった。
だけど、昨日の透子は、そんなオレの自信の無さも吹き飛ばすくらい、すべての表情や身体でオレを好きだと求めてくれて受け止めてくれた。
オレは透子が好きすぎて、そんな透子のちょっとした気持ちの変化も表情や言葉も気づくことが出来ていなかった。
全部、オレが大人になりきれてなくて、余裕がなかったから。
もっと透子の気持ちも理解しようとしていたら、透子を苦しめずに済んだのに。
「オレが全て悪いよな。最初の透子との始め方も、本気だってことずっと伝わらかったのも、もっとオレが器用に出来てたら・・・」
「でもまぁ、樹くんはそういうやり方じゃないと無理だったんじゃない?」
「なんだよ、どっちだよ」
「まぁようやく想いを確かめ合ったんだし、これからはちゃんと樹くんの想ってることちゃんと伝えてあげるべきってことかな」
「あぁ、うん。そうだよな。これからはそうする」
「まぁ樹くんの立場上、実際まだまだこれからも全部は言えないことも多いだろうから、これからもそれなりに大変だとは思うけどさ」
「まぁ・・ね」
いとこの栞だから知ってること、だけど透子にはまだ言えないことも正直沢山あって。
まだ透子に伝えていないこと、秘密にしていることも山積みなのは気にはかかるけど。
だけど、何があっても透子はオレに必要な人で。
何があってもずっと手放したくない人だから。
だから何があっても、これからは絶対透子をオレが守りきってみせるから。
「だけど、やっと栞にも透子紹介出来るの嬉しい」
「ホントずーっと片想いして樹くんヘタレにさせた素敵な透子さんに会えるの楽しみ」
「おまっ! お前、変なこと言うなよ」
「え~? それはさ~その時の状況次第でさ~」
「お前マジで言いそうだから怖い」
「大丈夫。樹くんの株下げるようなことは絶対言わないから」
「頼んだぞ」
「でも、今日もちゃんと誤解解いておきなね。多分私が今日ここにいること透子さん最初はビックリするだろうから」
「もうわかってるんじゃない? 透子のこと好きだって」
「そういうことじゃないんだよね~。ちゃんと私からも誤解だって説明しておきたいし。私達のこんな感じの仲も多分気になると思うんだよね。女はちゃんときちんと言葉にしてもらわないと不安って案外消えないもんだから」
「そうなんだ・・・。わかった。じゃあ、ちゃんと説明しとく」
透子がそこまでまだ不安になっているかはわからないけど、でも栞のいうことも一理あるし、ここは素直にちゃんと説明しておくか。