コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「本人曰く付き合ってないらしいですけど、オレ付き合ってると思うんですよ。もう電話とか始めたら問い詰めるかもしれないです」
「噂では付き合ってないらしいよね。わかんないなあこの世って」
弟くんと奏と、何故かファミレスで集まることになった。ボクはポテトを冷めるのが待ちながら、話半分で適当に相槌を打つ。第一回まふえな会議だという。
「あ、そうだこの間セカイで──むぐ」
ボクはその言葉を聞いた瞬間、口を抑え小声で話しかける。
「弟くんセカイのこと知らないでしょ!」
「あ、そうだった。どうしよう、布団で寝ていた二人を共有したかったのに……」
「セカイ……?」
弟くんは眉を寄せ、不思議そうな顔をする。流石に聞かれていたか、誤魔化すしかない。
「うん、セカイ。まふゆと絵名の楽園のことを奏はそう呼んでるんだよ。恥ずかしいから隠してほしかったけど」
「流石師匠っすね。で、二人がどうかしたんですか?」
「布団をひいて二人で寝てて……」
「え?」
「その、サークルの四人でよく集まるところでまふゆと絵名が布団をひいて寝てたんだよね……」
「え……? 何してるんですか?」
「分からないよ……」
リンにパソコン越しで早くセカイに来てと言われた時はボクも驚いたな。その光景を見たときはつい足が止まったし。
「凄いっすね……」
「そういえば弟子くんは相談があるって言ってたよね?」
「ああ、そうなんすよ。オレ百合漫画置こうと思うんですけど、リビングのテーブルに」
「いいんじゃない?」
「やめといた方がいいよ!」
「家族に認めてもらうために、どうですかね。もし否定的な意見が出ても、オレがなんとか説得しようと思ってるんですけど……」
「いけ、我が弟子!」
「奏!?」
「ありがとうございます。頑張ります!」
弟くん、やけに生き生きとしてるな。そういえば……
「漫画と言えば少女漫画とか試してたんだよね。ボク達は見てないけど」
「少女漫画?」
「この前わたしが話した、壁ドン。実は少女漫画を参考にして挑戦してたみたいで」
「そうそう。何だっけな、好き恋?」
「じゃあ百合漫画もやってもらえるってことですか?」
「かもしれないね……!」
「やらないから。あんまり期待しちゃだめだよ」
「これ置く漫画めちゃくちゃ重要じゃないですか……」
「あまり過度なやつは駄目だよね。わたしあんまり詳しくないから……。瑞希は?」
「詳しいわけないでしょ。でも家族に認めてもらいたいなら、入門的な漫画が良いのかもね。あと、こんな恋愛の仕方もあるって思えさせれるような。だから欲しい漫画は、自分は間違ってないんだって共感を持たせつつ、家族にも頷いてもらえるような漫画かな」
「暁山、なんか意外と考えてるんだな」
「流石まふえな界隈の副リーダー。わたしが認めただけあるね」
「やめてやめてやめて。絵名ってほら、まだ自覚してなさそうだし、本人の確認作業も含めてってことで。そもそも好きなのか知らないけどさ」
「はあ!? 好きに決まってんだろ!」
「絵名が好きじゃない世界線とか知らないから!」
「過激派と厄介オタクかな、地獄じゃん」
「でもあんなに自分のパーソナルスペースに入れるか? なんかカーディガン朝比奈さんのっぽいし」
「あ、それ気になってた、あれ見た瞬間脳が止まったよ。怖すぎて聞けない……」
「弟くんあのカーディガンについて何か聞いてないの?」
「まふゆと交換した〜的なことを言ってたな。なんで交換するんだよ。友達ってそんなもん? 手を繋ぎながら寝て、カーディガン交換して、何、布団ひいて寝て?」
「……」
「……」
「「「付き合ってる?」」」