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_________??年前
新しい飲み屋さんが出来たとか。
そんな拙い噂を聞いて、僕はバァ、”Lupin”に足を向けた。
下に続く階段を降りてみれば、綺麗で、少し狭い部屋の中のカウンターにある椅子に座ってみる。
「いらっしゃいませ。」
そんな言葉が聞こえて、そっとカウンターの方を見れば所謂、”マスター”がニコリと微笑む。
雷「ふは、お邪魔します。」
マスター「御注文がありましたら、いつでもお呼びください」
当たり障りのない会話を少し、交わしてみれば注文表を見てみる。
矢張りバァだ、飲み物が多い。当たり前だけれども。
雷「そうだなぁ……なら、マスターのお気に入りを。」
変に格好つけてみて、自分が未成年など知らないマスターに、マスターのお気に入りを頼んでみる。
マスター「畏まりました。」
カシャ、カシャ、と音を立てて綺麗な飲み物が出来上がって行く様は、とても綺麗だった。
洒落たコップに、洒落た丸い氷。
そこに綺麗な、見惚れるものが注がれる。
薄紫色に、1粒、黄桃が乗る。
下手すれば、ずうっと、見ていられる。
マフィアで働いて、真っ黒く染まった血が、浄化されていくような気がして仕方がなかった。
雷「……!、ありがとう、ございますっ!」
マスターは満足気に僕にお酒を渡してくれた。
1口、口にしてみる。
思ったよりかも、甘くて、後から苦味が来て、大人になった気分。
_________今度、兄さんにも紹介しなくっちゃ。
マスター「貴方が1番目のお客様です。」
ぱっと、僕は少し酔ったのか嬉しくて、ヘラり、とマスターに笑ってしまった。
嗚呼、人を殺めた僕に、こんな幸せがあっていいのだろうか?