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流星の手をひいて、電車を降りた。
小さく手を振って、流星と別れた。
この世から機会が消えたかのように音がしない。
まるで自然が音を奏で、音楽をつくっているかのようだった。
私はこの音が、どこか懐かしくて好きだった。
学校に近づくにつれ、生徒たちの陽気な声が聞こえてくる。
この自然の音楽にボーカルを吹き込むような声。
全てが美しい音色に感じた。
時々、母親にも聞かせてあげたかったと思うことがある。
きっと、私が音楽が好きなのは母親の遺伝だ。
ずっとそう思っている。
「おーい!玲音!」
私を呼ぶ声がした。
あっちの方で大きく手を振り、笑顔で私を見ている。
あの子の名前は葉菜(はな)。
私が高校生になってから初めてできた友達。
葉菜は人柄が良くて、どんな人とでも仲良くできるような性格をしている。
私は自分から話しかけるのは得意じゃないから、私との出会いも葉菜から話しかけてくれた。
私に興味を持ってくれたのかな、とか思っていたけれど、本当はとりあえず色々な人に話しかけて、そこから仲良くなっていこうと思っていたらしい。
つまり、私を一点として見てなかった。
少し期待をしてしまった私がバカだと思った。
でも、その少しの期待を言語化して伝えた結果がこれ。
それなら、期待するのも悪くないと思った。
「ねぇ、今日玲音の家行ってもいい?」
初めての質問に私は困惑した。
家に友達を呼んだことなんてなかったから、どうしたらいいのか分からなかった。
固まっている私に葉菜はそのまま笑顔で私の肩を叩き、
「じゃあ放課後ね!」
と言って、去っていった。
私は体が固まり、口が開いたまま立ち尽くしていた。
チャイムが鳴り、ハッとして急いで教室に向かった。