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夜。
21:20。
都内・大型スタジオ。
松村北斗の撮影は、予定より少し早く終わっていた。
スタッフ「松村さん、お疲れ様でした!」
北斗「お疲れ様でした」
今日の撮影はドラマの番宣用の特別VTR。
朝から続いていたが、奇跡的に巻いて終わった。
北斗は楽屋に戻り、静かにソファへ座る。
スタッフ「今日は珍しく早く終わりましたね」
北斗「そうですね」
スタッフ「この後予定あります?」
北斗「特にないです」
スタッフ「じゃあ今日はゆっくり休めますね」
北斗「そうですね」
スタッフが出ていく。
楽屋は一気に静かになる。
北斗はスマホを手に取る。
今日のスケジュールを見る。
そしてふと思い出す。
今日。
このスタジオのすぐ近く。
第3スタジオ。
そこでも撮影がある。
〇〇の撮影。
北斗「…」
北斗は天井を見る。
別に行く理由はない。
仕事でもない。
でも。
北斗は立ち上がる。
北斗「ちょっと外出ます」
マネージャー「もう帰る?」
北斗「少しだけ」
マネージャー「分かった」
北斗はスタジオを出る。
夜の廊下。
スタッフたちが慌ただしく動いている。
北斗は第3スタジオの前まで歩く。
中から撮影の声が聞こえる。
監督「カット!」
スタッフ「もう一回いきます!」
まだ撮影中らしい。
北斗は壁にもたれる。
北斗「…まだだな」
スマホを見る。
21:35。
その時。
ポツ…
ポツポツ…
雨。
北斗は外を見る。
雨が降り始めていた。
北斗「雨か」
すると近くのスタッフが声をかける。
スタッフ「松村さん?」
北斗「はい」
スタッフ「まだいたんですね」
北斗「少しだけ」
スタッフ「今日雨予報だったんですよ」
北斗「そうなんですね」
スタッフ「傘持ってます?」
北斗「持ってないです」
スタッフ「余ってるのあるんでどうぞ」
黒い傘を渡される。
北斗「ありがとうございます」
スタッフ「よかったら使ってください」
北斗「助かります」
スタッフは去っていく。
北斗は傘を見る。
黒いシンプルな傘。
北斗「…」
少し考える。
そして。
スタジオの出口近くの柱の影に立つ。
22:02。
スタジオの扉が開く。
〇〇「お疲れ様でした!」
スタッフ「お疲れ様でした!」
〇〇が出てくる。
髪を軽く結び直しながら歩いている。
少し疲れた顔。
でも、いつもの明るい声。
〇〇「今日長かったー」
マネージャー「朝からだもんな」
〇〇「もう足パンパン」
マネージャー「飯食う?」
〇〇「食べたい」
二人は出口へ向かう。
その時。
〇〇が外を見る。
〇〇「え」
〇〇「雨じゃん」
マネージャー「降ってるな」
〇〇「うそ、傘ない」
マネージャー「マジ?」
〇〇「持ってきてない」
マネージャー「コンビニ寄る?」
〇〇「いや、今日近いんだよね家」
〇〇は外を見ながら困る。
雨は思ったより強い。
〇〇「どうしよ」
その時。
後ろから声。
北斗「傘」
黒い傘が横から差し出される。
〇〇「え?」
振り向く。
そこに立っていたのは。
北斗。
〇〇「…北斗?」
北斗「持ってないだろ」
〇〇は目を丸くする。
〇〇「なんでいるの?」
北斗「近くで撮影」
〇〇「ほんと?」
北斗「さっき終わった」
〇〇「全然気づかなかった」
北斗「気づかれないようにしてた」
〇〇「なんで」
北斗「なんとなく」
〇〇は少し笑う。
〇〇「びっくりした」
北斗は傘を差し出す。
北斗「使えよ」
〇〇「北斗は?」
北斗「スタッフにもらった」
〇〇「でも北斗帰れないじゃん」
北斗「帰れる」
マネージャーが横で笑う。
マネージャー「もらっとけ」
〇〇「え?」
マネージャー「濡れるぞ」
〇〇「うーん」
〇〇は少し迷う。
そして傘を受け取る。
〇〇「ありがとう」
北斗「いいよ」
少し沈黙。
雨の音だけが聞こえる。
〇〇は北斗を見る。
〇〇「北斗って優しいよね」
北斗「普通」
〇〇「普通じゃない」
北斗「傘渡しただけ」
〇〇「それが優しいの」
北斗は少し目線を外す。
北斗「そうか」
マネージャー「車来たぞ」
〇〇「はーい」
〇〇は傘を差す。
車の方へ歩く。
でも途中で振り返る。
〇〇「北斗」
北斗「ん?」
〇〇「今度ご飯行こ」
北斗「いいよ」
〇〇「ほんと?」
北斗「うん」
〇〇「約束ね」
北斗「覚えてたら」
〇〇「絶対覚えてる」
マネージャー「ほら乗るぞ」
〇〇「今行く!」
〇〇は車に乗る。
ドアが閉まる直前。
〇〇「北斗!」
北斗「なに」
〇〇「ありがとう!」
北斗「どういたしまして」
車はゆっくり走り出す。
雨の中。
北斗はその車を見送る。
静かな夜。
北斗は空を見上げる。
北斗「…」
少し笑う。
北斗「傘渡しただけなのに」
でも。
それだけで。
ここに来てよかったと思った。
雨はまだ、静かに降り続いていた。
ーーーー
また違う日では、
STARTO ENTERTAINMENT 本社
午後。
タレントやスタッフが行き来する事務所の廊下。
エレベーターが開く。
中から出てきたのは
北斗。
北斗はキャップを軽く被り、スマホを見ながら歩いている。
さっきまで打ち合わせ。
次の仕事まで少し時間がある。
北斗は廊下を曲がる。
その先。
ソファスペース。
誰かが座っている。
北斗は足を止める。
北斗「…あ」
〇〇だった。
マネージャーと話している。
〇〇はソファにだらっと座って、頭を後ろに倒している。
明らかに疲れている顔。
〇〇「はぁ〜…」
マネージャー「どうした」
〇〇「疲れた」
マネージャー「まだ今日半分だぞ」
〇〇「うそでしょ」
マネージャー「本当」
〇〇「帰りたい!」
マネージャー「帰れない」
〇〇「冷たい笑」
マネージャー「芸能界だから」
〇〇「それ万能ワードじゃない?」
マネージャー「だいたいそれ」
〇〇はソファに沈む。
〇〇「もうダメ」
マネージャー「ドラマの台本覚えた?」
〇〇「昨日3時間しか寝てない」
マネージャー「自業自得」
〇〇「ひど」
北斗は少し離れたところからその様子を見る。
北斗「…」
(相変わらず忙しそう)
雨の日のことがふとよぎる。
傘を渡したあの日。
疲れていた顔。
今日も同じ顔をしている。
北斗は少しだけ息を吐く。
そしてゆっくり歩いていく。
北斗「なに騒いでんの」
〇〇が顔を上げる。
〇〇「…北斗?」
マネージャー「あ、北斗」
北斗「お疲れ様です」
マネージャー「お疲れ」
〇〇「なんでいるの」
北斗「事務所だから」
〇〇「まぁそうだけど」
北斗「お前うるさい」
〇〇「今疲れてるの」
北斗「顔死んでる」
〇〇「失礼」
北斗「寝てないだろ」
〇〇「3時間」
北斗「少な」
〇〇「台本覚えてた」
北斗「真面目だな」
〇〇「普通」
北斗は隣のソファに座る。
〇〇「北斗は?」
北斗「5時間」
〇〇「負けた」
北斗「勝負してない」
〇〇「してる」
北斗「してない」
マネージャー「俺ちょっと電話してくる」
〇〇「はーい」
マネージャーが離れる。
二人だけになる。
少し静かな空気。
北斗は〇〇の顔を見る。
北斗「今日の俺のビジュアルどう」
〇〇「普通」
北斗「ひど」
〇〇「ほんとに普通」
北斗「かっこいいって言えよ」
〇〇「なんで笑」
北斗「元気出る」
〇〇「自分で出して笑」
北斗「冷たいな」
〇〇「北斗が変」
北斗「イケメン」
〇〇「自分で言う人初めて見たw」
北斗「事実だからww」
〇〇は少し笑う。
北斗「笑った」
〇〇「なにw!!」
北斗「今日初めて笑っただろ」
〇〇「さっき笑った!」
北斗「あれ愛想笑い」
〇〇「バレてた?」
北斗「分かる」
〇〇「怖」
北斗「長い付き合いだから」
〇〇「確かに」
〇〇は背もたれに寄りかかる。
〇〇「疲れたなぁ」
北斗「顔に出てる」
〇〇「出してるの」
北斗「プロ意識」
〇〇「北斗うるさい」
北斗「元気出せよ」
〇〇「どうやって」
北斗は少し考える。
そして真顔で言う。
北斗「俺を見る」
〇〇「は?」
北斗「元気出る」
〇〇「出ない」
北斗「ファンは出てる」
〇〇「私はファンじゃない!」
北斗「じゃあ今からなれ」
〇〇「嫌」
北斗「冷たい」
〇〇「北斗が変!!!」
北斗「イケメン」
〇〇はとうとう吹き出す。
〇〇「なにそれwwwww」
北斗「笑った」
〇〇「笑わせようとしてた?」
北斗「まぁ」
〇〇「くだらないww」
北斗「効果あった」
〇〇「ちょっとだけw」
北斗「よかったw」
〇〇は少し北斗を見る。
〇〇「北斗ってさ」
北斗「なに」
〇〇「こういう時よく笑わせてくるよね」
北斗「そう?」
〇〇「うん」
北斗「たまたま」
〇〇「違うよ」
北斗「違わない」
〇〇「絶対わざと!」
北斗は少しだけ目線を逸らす。
北斗「…まぁ」
北斗「笑ってる方がいいだろ」
〇〇「え?」
北斗「〇〇」
〇〇は少し驚く。
でもすぐ柔らかく笑う。
〇〇「ありがとう」
北斗「どういたしまして」
遠くからマネージャーの声。
マネージャー「〇〇!そろそろ行くぞ!」
〇〇「はーい!」
〇〇は立ち上がる。
〇〇「北斗」
北斗「ん?」
〇〇「今日ちょっと元気出た!」
北斗「それは良かった」
〇〇「またね」
北斗「うん」
〇〇はマネージャーの元へ走る。
廊下の奥へ消えていく。
北斗はその背中を見る。
北斗「…」
小さく息を吐く。
北斗「笑ったならいいか」
静かな事務所の廊下。
北斗はゆっくり立ち上がり、
反対方向へ歩いていった。
ーーーーーーー
またまたある日では、
ロケ。
冬。
朝早い時間。
空気が冷たい。
吐く息が白い。
外ロケの現場。
スタッフたちが準備をしている。
その中にいるのは
北斗 と〇〇。
二人は同じ番組のロケ。
控えの椅子に並んで座っている。
風が吹く。
〇〇は肩をすくめる。
〇〇「寒い」
北斗「知ってる」
〇〇「ほんと寒い」
北斗「冬だから」
〇〇「今日特に寒い」
北斗「外だから」
〇〇は手をこすり合わせる。
〇〇「手が冷たい」
北斗「手袋は?」
〇〇「忘れた」
北斗「だろうな」
〇〇「北斗持ってる?」
北斗「持ってない」
〇〇「使えない」
北斗「ひど」
また風が吹く。
〇〇「うわ寒っ」
北斗は〇〇を見る。
本当に寒そう。
指先も赤い。
北斗はポケットからカイロを出す。
北斗「ほら」
〇〇「カイロ!」
北斗「さっきスタッフにもらった」
〇〇「神」
北斗「持っとけ」
〇〇は受け取る。
〇〇「温かい…」
北斗「よかったな」
〇〇「北斗優しい」
北斗「普通」
〇〇「またそれ」
北斗「普通だから」
〇〇はカイロを両手で握る。
しばらく黙る。
そして北斗を見る。
〇〇「北斗」
北斗「なに」
〇〇「寒い」
北斗「知ってる」
〇〇「寒すぎる」
北斗「だから冬」
〇〇は少し近づく。
椅子と椅子の距離が少し縮まる。
〇〇「…寒い」
北斗「さっきからそれしか言ってない」
〇〇「だって寒い」
北斗「カイロあるだろ」
〇〇「足寒い」
北斗「靴履いてるだろ」
〇〇「北斗冷たい」
北斗「理不尽」
〇〇は少し黙る。
そして。
そっと北斗の腕にくっつく。
北斗は一瞬止まる。
〇〇「ちょっとだけ」
北斗「…」
〇〇「暖かい」
北斗「そりゃ体温あるから」
〇〇「離れない」
北斗「ロケだぞ」
〇〇「まだ準備中」
北斗「スタッフ見てる」
〇〇「いいじゃん」
北斗「よくない」
〇〇「ちょっとだけ」
北斗はため息をつく。
でも腕は動かさない。
〇〇「北斗暖かい」
北斗「人間だから」
〇〇「優しい」
北斗「普通」
〇〇「最近さ」
北斗「なに」
〇〇「前より優しくない?」
北斗「気のせい」
〇〇「絶対そう」
北斗「変わってない」
〇〇「変わってる」
北斗「変わってない」
〇〇「変わってるって」
北斗は少し空を見る。
そして小さく言う。
北斗「…寒いって言うから」
〇〇「え?」
北斗「しょうがなく」
〇〇は笑う。
〇〇「やっぱ優しい」
北斗「違う」
〇〇「違わない」
北斗「寒いからだろ」
〇〇「北斗が?」
北斗「お前が」
〇〇「優しい」
北斗「うるさい」
スタッフ「本番準備いきまーす!」
〇〇「あ」
〇〇は北斗の腕から離れる。
〇〇「カイロありがとう」
北斗「どういたしまして」
〇〇「あと」
北斗「なに」
〇〇「暖房ありがとう」
北斗「俺暖房じゃない」
〇〇「北斗暖かい」
北斗「それさっき聞いた」
〇〇は笑いながら立ち上がる。
〇〇「行こ」
北斗「はいはい」
二人はロケ場所へ歩いていく。
北斗の横を歩きながら、
〇〇はまた少し近づく。
北斗は何も言わない。
でも。
ほんの少しだけ歩幅を合わせた。
北斗side
冬。
朝。
外ロケ。
吐く息が白い。
控えスペースの椅子に座っている。
北斗はスタッフから渡された台本を軽く見ている。
今日のロケは朝が早い。
しかも外。
寒い。
北斗「…寒」
その時。
後ろから声。
〇〇「寒い」
北斗は振り向く。
〇〇がいた。
厚めのコートを着ているのに、
肩をすくめている。
北斗は少し笑いそうになる。
北斗(絶対言うと思った)
〇〇「寒い」
北斗「知ってる」
〇〇「ほんと寒い」
北斗「冬だから」
〇〇「今日特に寒い」
北斗「外だから」
〇〇は椅子に座る。
手をこすり合わせている。
北斗はその手を見る。
指先が赤い。
北斗(手袋持ってないな)
〇〇「手が冷たい」
北斗「手袋は?」
〇〇「忘れた」
北斗(だと思った)
〇〇「北斗持ってる?」
北斗「持ってない」
〇〇「使えない」
北斗「ひど」
また風が吹く。
〇〇「うわ寒っ」
北斗は少しだけ視線を逸らす。
さっき。
スタッフにカイロをもらった。
自分用にポケットに入れている。
北斗はそれを取り出す。
北斗「ほら」
〇〇「カイロ!」
〇〇の顔が一瞬で明るくなる。
北斗(分かりやすい)
〇〇「神」
北斗「さっきスタッフにもらった」
〇〇「ありがとう」
〇〇は両手でカイロを握る。
すごく嬉しそう。
北斗はそれを見る。
北斗(子供みたい)
〇〇「北斗優しい」
北斗「普通」
〇〇「またそれ」
北斗(優しいとかじゃない)
ただ。
寒そうだったから。
それだけ。
〇〇「北斗」
北斗「なに」
〇〇「寒い」
北斗(まだ言う)
北斗「知ってる」
〇〇「寒すぎる」
北斗「だから冬」
その時。
〇〇が少し近づく。
椅子の距離が縮まる。
北斗は気づく。
北斗(近い)
〇〇「…寒い」
北斗「さっきからそれしか言ってない」
〇〇「だって寒い」
北斗「カイロあるだろ」
〇〇「足寒い」
北斗(知らない)
〇〇「北斗冷たい」
北斗(理不尽)
北斗「理不尽」
〇〇は少し黙る。
そして。
北斗の腕にくっつく。
北斗「…」
一瞬、体が止まる。
北斗(近い)
〇〇「ちょっとだけ」
北斗(ちょっとじゃない)
〇〇「暖かい」
北斗「そりゃ体温あるから」
〇〇「離れない」
北斗(離れろとは言えない)
北斗「ロケだぞ」
〇〇「まだ準備中」
北斗(スタッフ見てる)
〇〇「いいじゃん」
北斗(よくない)
北斗「よくない」
でも。
腕は動かさない。
〇〇「北斗暖かい」
北斗(暖房じゃない)
北斗「人間だから」
〇〇「優しい」
北斗「普通」
〇〇「最近さ」
北斗「なに」
〇〇「前より優しくない?」
北斗(バレてる?)
北斗「気のせい」
〇〇「絶対そう」
北斗「変わってない」
北斗は空を見る。
冬の空。
白い息。
北斗(変わってないわけない)
ずっと好き。
廉と付き合う前から。
ずっと。
でもそれは言えない。
言うつもりもない。
だから。
北斗「…寒いって言うから」
〇〇「え?」
北斗「しょうがなく」
〇〇は笑う。
北斗(その顔)
北斗は視線を逸らす。
〇〇「やっぱ優しい」
北斗「違う」
〇〇「違わない」
北斗(違わないかもな)
スタッフ「本番準備いきまーす!」
〇〇「あ」
〇〇が腕から離れる。
北斗は少しだけ腕を見る。
北斗(…寒い)
さっきまであった体温がなくなる。
〇〇「カイロありがとう」
北斗「どういたしまして」
〇〇「あと」
北斗「なに」
〇〇「暖房ありがとう」
北斗「俺暖房じゃない」
〇〇「北斗暖かい」
北斗「それさっき聞いた」
〇〇は笑って立ち上がる。
〇〇「行こ」
北斗「はいはい」
二人はロケ場所へ歩く。
〇〇は北斗の横を歩く。
少し近い距離。
北斗はその距離に気づく。
北斗(近いな)
でも。
北斗は何も言わない。
ただ少しだけ。
歩幅を合わせて歩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
きっかけは仕事だった。
ある番組の収録。
〇〇と髙地が一緒の現場だった。
収録の休憩時間。
控室。
髙地はスマホを見ながら話す。
髙地「この前キャンプ行ったんだよ」
〇〇「また?」
髙地「また」
〇〇「ほんと好きだよね」
髙地「楽しいんだよ」
〇〇「行ったことない」
髙地「え、マジ?」
〇〇「ガチでない」
髙地「人生損してる」
〇〇「そんな?」
髙地「そんな」
〇〇は少し興味を持つ。
〇〇「何するの?」
髙地「BBQとか」
髙地「焚き火とか」
髙地「星見るとか」
〇〇「星いいね」
髙地「めっちゃ綺麗」
〇〇「ちょっと行きたい」
髙地「じゃあ来る?」
〇〇「え」
髙地「今度行くとき」
〇〇「いいの?」
髙地「全然」
〇〇「みんなで行きたい!」
髙地「みんな?」
〇〇「グループとか」
髙地は少し考える。
そして笑う。
髙地「じゃあさ」
髙地「SixTONESとtimeleszでやる?」
〇〇「楽しそう」
髙地「絶対楽しい」
〇〇「やろう!」
髙地「決定」
〇〇「みんな誘う」
髙地「俺も誘う」
その場でスマホを取り出す。
まず〇〇。
timeleszのグループLINE。
〇〇
「みんなオフの日キャンプしない?」
すぐに既読がつく。
風磨
「誰と?」
〇〇
「SixTONES」
勝利
「楽しそう」
聡
「行きたい!」
将生
「BBQ??」
原
「肉!!」
寺西
「キャンプ?」
篠塚
「俺テント張れる」
周杜
「絶対行く」
グループは一瞬で盛り上がる。
〇〇
「じゃあ決定」
風磨
「日程決めよ」
勝利
「楽しみ」
その横で。
髙地もスマホを触っている。
SixTONESグループLINE。
髙地
「キャンプやらない?」
ジェシー
「いいね!」
樹
「また?」
髙地
「今回はtimeleszも」
既読。
そして。
北斗
「行く」
早い。
樹
「早」
ジェシー
「北斗早」
大我
「めずらしい」
慎太郎
「絶対〇〇いるからだろ」
既読。
北斗
「違う」
樹
「嘘つけ」
ジェシー
「バレてる」
きょも
「顔に書いてある」
慎太郎
「キャンプ<〇〇」
北斗
「うるさい」
髙地は笑う。
髙地「決定だな」
一方その頃。
timeleszの別LINE。
風磨が動く。
風磨
「みんなに言っとく」
将生
「何?」
風磨
「北斗〇〇のこと好き」
既読。
数秒。
原
「え?」
寺西
「マジ?」
聡
「そうなの?」
篠塚
「知らなかった」
しゅうと
「ガチ?」
将生
「いつから?」
風磨
「廉と付き合う前から」
勝利
「ずっと」
聡
「長い」
寺西
「知らなかった」
原
「じゃあ今回…」
風磨
「そう」
風磨
「全員協力な」
将生
「了解」
聡
「楽しそう」
寺西
「応援する」
原
「BBQよりそっち楽しみ」
勝利
「バレるなよ」
風磨
「〇〇以外全員知ってる」
そして。
キャンプ当日。
山のキャンプ場。
集合場所は郊外のキャンプ場近くの駐車場。
それぞれ現地集合。
朝。
まず最初に着いたのは
髙地。
髙地「よし」
キャンプ道具を下ろす。
髙地「天気もいいし最高だな」
そこへ車。
降りてくるのは
樹。
樹「おはよ」
髙地「早いじゃん」
樹「北斗迎え行ったから」
髙地「なるほど」
助手席から降りてくる
北斗。
北斗「おはよ」
髙地「おはよ」
樹「北斗今日静かだな」
北斗「朝だから」
樹「嘘つけ」
そこへもう一台。
降りてくるのは
ジェシー と
森本慎太郎。
ジェシー「キャンプー!」
慎太郎「肉ある?」
髙地「まだ」
ジェシー「えー」
慎太郎「腹減った」
次の車。
大我。
きょも「おはよう」
樹「SixTONES集合」
髙地「あとtimeleszだな」
そこへ車が到着。
降りてくる
風磨 と勝利。
風磨「おはよ」
勝利「早いね」
樹「あと何人?」
風磨「いっぱい」
そして続々と到着。
松島聡
寺西拓人
原嘉孝
篠塚大輝
橋本将生
わちゃわちゃ。
原「キャンプー!」
聡「楽しみ!」
寺西「自然すごい」
将生「空気いい」
篠塚「テントどこ?」
勝利「あと〇〇としゅうと」
風磨「まだ来てない」
樹「天然2人」
ジェシー「迷ってそう」
慎太郎「ありえる」
その時。
風磨のスマホが鳴る。
風磨「…あ」
全員見る。
風磨「〇〇」
電話に出る。
風磨「もしもし」
〇〇(電話)
「風磨」
風磨「どこ」
〇〇
「分かんない」
全員爆笑。
樹「やっぱり」
ジェシー「予想通り」
風磨「今どこ」
〇〇
「なんか…山」
風磨「ここも山」
〇〇
「道がいっぱい」
風磨「住所送っただろ」
〇〇
「ナビが…」
その時。
電話の向こうから声。
猪俣
「〇〇迷った?」
全員さらに笑う。
慎太郎「しゅうともいる」
樹「終わった」
風磨「お前も迷ってんの?」
しゅうと(電話)
「迷ってる」
風磨「2人一緒?」
〇〇
「さっき合流した」
ジェシー「天然コンビ」
聡「すごい」
原「奇跡」
風磨「場所送れ」
〇〇
「分かんない」
風磨「…」
樹「迎え行くしかない」
風磨はみんなを見る。
風磨「じゃんけん」
北斗「なんで」
風磨「迎え行く人」
慎太郎「いいね」
ジェシー「やろう」
樹「負け2人」
きょも「面白い」
全員円になる。
風磨「いくぞ」
樹「最初は」
全員
「グー!」
一回目。
半分残る。
二回目。
三回目。
残ったのは。
風磨。
北斗。
樹。
ジェシー。
四人。
慎太郎「やばい」
きょも「北斗」
風磨「いくぞ」
じゃんけん。
風磨
「チョキ」
北斗
「チョキ」
樹
「グー」
ジェシー
「グー」
ジェシー「よし!」
北斗「…」
樹「決定」
ジェシー「風磨と北斗」
慎太郎「迎え行き決定」
風磨「まじか」
北斗「…」
樹ニヤニヤ。
樹「よかったな北斗」
北斗「何が」
ジェシー「〇〇とドライブ」
慎太郎「2人きり」
きょも「運命」
北斗「違う」
風磨「行くぞ北斗」
北斗「うん」
車へ向かう2人。
その後ろで。
timeleszメンバー小声。
将生「チャンス」
聡「チャンス」
原「チャンス」
寺西「チャンス」
篠塚「チャンス」
勝利「頑張れ」
風磨の車が出発。
北斗は助手席。
北斗(〇〇迷子…)
北斗(ほんとに天然だな)
一方その頃。
山の分かれ道。
迷子になった山道。
分かれ道の近く。
〇〇と
猪俣周杜 は完全に立ち止まっていた。
〇〇「迷った」
しゅうと「迷ったね」
〇〇「ナビ消えた」
しゅうと「俺も」
〇〇「どうする?」
しゅうと「とりあえず…」
少し周りを見る。
森。
山。
道。
しゅうと「…座る?」
〇〇「座る?」
しゅうと「うん」
2人。
道の端にしゃがむ。
〇〇「キャンプまだ?」
しゅうと「まだ」
〇〇「お腹すいた」
しゅうと「分かる」
〇〇「BBQ楽しみだった」
しゅうと「肉」
〇〇「肉」
2人笑う。
天然同士。
ゆるい空気。
その時。
〇〇が空を見る。
〇〇「空きれい」
しゅうと「ほんとだ」
〇〇「写真撮ろ」
しゅうと「撮ろ」
2人スマホを出す。
しゅうと「はいチーズ」
〇〇「え待って」
しゅうと「もう撮った」
〇〇「早い」
しゅうと「もう一回」
2人くっついて写真。
〇〇「これいい」
しゅうと「いいね」
〇〇「風磨に送ろ」
しゅうと「迷子報告」
〇〇「迷子記念」
その時。
遠くから車の音。
一台の車が近づく。
停まる。
ドアが開く。
降りてくるのは
風磨
そして
北斗。
風磨「何してんの」
〇〇「迷子」
しゅうと「迷子です」
風磨「知ってる」
北斗はその光景を見る。
道端。
並んで座る2人。
笑ってる。
スマホを見せ合ってる。
距離近い。
北斗「…」
〇〇「北斗!」
手を振る。
〇〇「助けて」
北斗「迷うなよ」
〇〇「だって道いっぱい」
しゅうと「分かりづらい」
風磨「ナビ使え」
〇〇「使った」
しゅうと「消えた」
北斗は2人を見る。
仲良さそう。
自然。
楽しそう。
北斗(…仲いいな)
しゅうと「さっき写真撮った」
〇〇「見る?」
しゅうと「ほら」
2人でスマホを見る。
〇〇「これいい」
しゅうと「いい」
北斗は少し目を逸らす。
北斗(なんで俺…)
北斗(ちょっとイラついてるんだ)
風磨はそれを見る。
風磨(分かりやす)
風磨「おい北斗」
北斗「何」
風磨「拗ねるな」
北斗「拗ねてない」
風磨「顔」
北斗「普通」
〇〇「北斗?」
北斗「なに」
〇〇「助けてくれてありがとう」
北斗「別に」
〇〇「優しい」
北斗「普通」
風磨「ほら乗れ」
しゅうと「助かった」
〇〇「ありがとう」
後部座席。
〇〇としゅうとが並ぶ。
〇〇「キャンプ楽しみ」
しゅうと「肉」
〇〇「肉」
また笑う2人。
その声を聞きながら。
助手席の北斗。
窓の外を見る。
北斗(…なんで)
北斗(ちょっとだけ)
北斗(嫉妬してんだろ)
風磨が小声で言う。
風磨「北斗」
北斗「なに」
風磨「分かりやすい」
北斗「うるさい」
風磨「頑張れ」
北斗「何を」
風磨「恋」
北斗「…」
車はキャンプ場へ向かった。
後ろではまだ
〇〇「肉何あるかな」
しゅうと「牛」
〇〇「牛!」
北斗は小さくため息をついた。
山道を抜けて。
風磨の車がキャンプ場の駐車スペースに入る。
すでにそこには何台も車が停まっていた。
テント用の道具。
クーラーボックス。
準備しているのは
先に着いたメンバー達。
ちょうどその時
樹「来た」
ジェシー「迷子組」
慎太郎「やっと」
車が止まる。
ドアが開く。
まず降りてくる風磨。
風磨「連れてきたぞ」
その後ろ。
北斗。
さらに後部座席から
〇〇。
そして
しゅうと。
全員の視線が一斉に向く。
樹「遅い!」
ジェシー「迷子!」
慎太郎「天然コンビ!」
〇〇「違う!」
しゅうと「違います!」
きょも笑う。
きょも「完全に迷子だったよね」
髙地「どこまで行ってたの?」
〇〇「山」
樹「ここも山」
聡「迷子なのに楽しそうだったね」
〇〇「楽しかった」
しゅうと「写真撮った」
原「迷子記念?」
〇〇「迷子記念」
寺西「ポジティブすぎる」
将生「さすが天然」
篠塚「すごい」
風磨はクーラーボックスの上に座る。
風磨「とりあえず」
風磨「全員集合」
髙地「やっとだな」
慎太郎「腹減った」
ジェシー「肉!」
樹「まだ焼いてない」
しゅうと「肉ある?」
樹「お前も肉か」
〇〇「BBQ!」
きょも「テンション高い」
その横で。
北斗は少し離れて立っている。
樹が近づく。
樹「北斗」
北斗「なに」
樹「迷子迎え楽しかった?」
北斗「別に」
樹「顔」
北斗「普通」
樹「嫉妬してたろ」
北斗「してない」
風磨「さっき車の中で無言だった」
北斗「朝だから」
樹「嘘つけ」
ジェシーも来る。
ジェシー「北斗」
北斗「なに」
ジェシー「しゅうとに負けるな」
北斗「勝ち負けじゃない」
風磨「でも仲良かったな」
北斗「…」
その時。
〇〇が走ってくる。
〇〇「北斗!」
北斗「なに」
〇〇「助けてくれてありがとう」
北斗「だから別に」
〇〇「優しい」
北斗「普通」
樹「それしか言わない」
全員笑う。
髙地が手を叩く。
髙地「よし!」
髙地「キャンプ開始!」
ジェシー「イェーイ!」
慎太郎「肉!」
聡「テント!」
寺西「準備しよ」
原「火起こす!」
篠塚「任せて」
将生「楽しみ!」
わちゃわちゃと動き出すメンバー。
その中で。
〇〇が北斗の横に立つ。
〇〇「北斗」
北斗「なに」
〇〇「迷子楽しかった」
北斗「楽しいのかよ」
〇〇「しゅうといたし」
北斗「…」
少し沈黙。
〇〇「でも」
北斗「なに」
〇〇「迎え来てくれて嬉しかった」
北斗「…そう」
〇〇「ありがとう」
〇〇は笑って走っていく。
「聡ちゃん!手伝う!」
その後ろ姿を見る北斗。
樹が横に来る。
樹「北斗」
北斗「なに」
樹「キャンプ長いぞ」
ジェシー「チャンスいっぱい」
慎太郎「頑張れ」
きょも「恋のキャンプ」
北斗「うるさい」
でも。
北斗は少しだけ笑った。
このキャンプ。
まだ始まったばかりだった。
高地「よし、一回ちゃんと決めよう」
高地「人数多いから、担当バラけさせる」
樹「確かに」
ジェシー「被ったら大変だ」
慎太郎「俺は肉」
高地「まだ肉じゃない」
〇〇「何あるの?」
高地がホワイトボードみたいな板を出す。
高地「まず」
高地「テント設営」
高地「釣り」
高地「火起こし」
高地「料理準備」
高地「買い出し」
高地「薪集め」
原「本格的」
寺西「ガチキャンプだ」
将生「楽しそう」
高地「テントは3人1組」
高地「全部で5テントだから」
高地「15人必要」
風磨「ちょうど全員だな」
高地「じゃあまずテント」
高地「3人ずつ決める」
少し話し合う。
そして決まる。
テント①
高地
慎太郎
樹
慎太郎「任せろ」
樹「絶対早い」
高地「俺が教える」
テント②
ジェシー
原
将生
ジェシー「パワー系」
原「力仕事」
将生「頑張る」
テント③
きょも
寺西
篠塚
きょも「キャンプ初めて」
寺西「俺も」
篠塚「俺できる」
テント④
北斗
聡
勝利
聡「平和」
勝利「落ち着いてる」
北斗「普通」
テント⑤
風磨
〇〇
しゅうと
樹ニヤニヤ。
樹「天然テント」
ジェシー「面白そう」
風磨「俺大変じゃん」
〇〇「頑張る」
しゅうと「頑張る」
風磨「不安」
全員笑う。
高地「テントは後で」
高地「今から役割」
高地「被らないように」
高地が書く。
釣り 3人
火起こし 3人
料理準備 3人
薪集め 3人
買い出し 3人
高地「よし、担当決めるよ」
樹「人数多いからな」
ジェシー「被ったら大変」
風磨「人数ちょうどいいな」
高地「あと」
慎太郎「釣り!」
高地「早いな」
慎太郎「絶対釣る」
原「俺も釣り」
将生「やりたい」
釣り班
慎太郎
原
将生
慎太郎「魚任せろ」
次。
火起こし。
樹「俺」
ジェシー「俺」
寺西「やる」
火起こし班
樹
ジェシー
寺西
ジェシー「ファイヤー」
樹「キャンプっぽい」
次。
料理。
聡「料理やる」
勝利「俺も」
高地「あと1人」
みんな〇〇を見る。
〇〇「え?」
風磨「料理班どう?」
〇〇「無理」
樹「即答」
〇〇「私料理できない」
慎太郎「マジ?」
〇〇「いつもウーバー」
全員笑う。
聡「じゃあダメだ」
勝利「危ない」
風磨「BBQ終わる」
〇〇「ごめん」
高地「じゃあ料理は」
料理班
聡
勝利
風磨
聡「任せて」
勝利「大丈夫」
風磨「やるか」
次。
薪集め。
篠塚「行く」
きょも「俺も」
しゅうと「俺も」
薪集め班
篠塚
きょも
しゅうと
きょも「森探索」
しゅうと「楽しそう」
次。
買い出し。
高地「俺行く」
北斗「俺も」
〇〇「私も行く」
買い出し班
高地
北斗
〇〇
樹ニヤニヤ。
樹「北斗」
北斗「なに」
樹「よかったな」
北斗「何が」
ジェシー「〇〇と買い出し」
北斗「違う」
〇〇「?」
風磨笑う。
高地立ち上がる。
高地「よし!」
高地「キャンプ開始!」
慎太郎「釣り行くぞ!」
原「魚!」
将生「行こう!」
樹「火起こし!」
ジェシー「木!」
寺西「集める」
聡「料理準備」
勝利「手伝う」
風磨「食材確認」
きょも「薪探し」
篠塚「森!」
しゅうと「森!」
そして。
高地「買い出し行くぞ」
北斗「はい」
〇〇「行こ」
3人で車へ向かう。
樹が北斗に小声。
樹「北斗」
北斗「なに」
樹「神展開」
ジェシー「デート」
慎太郎「買い出しデート」
北斗「違う」
その時。
〇〇が振り向く。
〇〇「北斗」
北斗「なに」
〇〇「食材いっぱい買おう」
北斗「そうだな」
〇〇「BBQ楽しみ」
北斗「だな」
〇〇は笑う。
北斗は少しその顔を見る。
風磨小声。
風磨「北斗」
北斗「なに」
風磨「キャンプ長いぞ」
北斗「知ってる」
風磨「夜が本番」
北斗「…うるさい」
車が出発する。
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