︎︎「 光との間に生まれたのは。 」
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︎︎第 1 話
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夜の森は静かだった。
月明かりが木々の隙間を縫い、地面に淡い銀色の模様を刻んでいる。
ヨークシンシティから遠く離れたこの森の一角で、キルア=ゾルディックは焚き火の前に座り膝を抱えていた。
火の揺らめきが彼の銀色の髪に映り、鋭い瞳を一層際立たせる。だがその瞳は今、どこか曇っている。
少し離れた場所で、ゴンとクラピカが話をしていた。ゴンの声はいつも通り明るく、まるで森全体を照らすような無邪気さで響いている。
クラピカの声は落ち着いていて、普段の硬い口調とは違い、どこか柔らかい。
キルアはそっと視線を二人に向けた。
クラピカがゴンの冗談に小さく笑った瞬間、キルアの胸の奥で何かがチクリと刺さった。
「…何だよ、あの笑顔」
と、キルアは心の中で呟く。
クラピカがあんな風に笑うのは珍しい。いや、ほとんど見たことがない。
普段のクラピカは、緋の眼の復讐に囚われた硬い表情か、冷静沈着な仮面を被っている。
それなのにゴンと話しているときだけまるで別の人間のように穏やかになるような気がする。
「ゴンってほんとバカっぽい話しかしねえな。まあそこがゴンのいい所か。」
と、キルアは自分を誤魔化すように呟くが、声には力がなかった。
彼の目は、クラピカの横顔を離さない。
クラピカの金髪が月光に輝き、ゴンに向ける視線にはどこか温かみがある。
キルアはそれを「特別」だと感じ、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。