︎︎「 光の間に生まれたのは 」
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︎︎第 2 話
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︎︎( キルアの嫉妬 )
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キルアは物心ついたときから感情をコントロールすることに長けていた。ゾルディック家の暗殺者として育ち、喜怒哀楽を表に出すことは弱さだと教え込まれたからだ。
だが、今彼の心は制御不能だった。ゴンとクラピカの会話が耳に入る度キルアの内側で何か黒いものが膨らんでいく。
それは、所謂嫉妬だった。
(クラピカのやつ、ゴンと話すときだけなんでそんな顔すんだよ。)
と、キルアは心の中で毒づく。
ゴンはキルアの親友だ。誰よりも信頼し、誰よりも大切な存在だ。それなのに、クラピカがゴンと親しげに話す姿を見ると、キルアの心は乱れる。ゴンがクラピカを笑わせ、クラピカがゴンに心を開いている。その光景が、キルアには耐え難いものだった。
「俺だって…」
キルアは言葉を飲み込む。
俺だって、クラピカにあんな笑顔を向けさせたい。あの硬い仮面を剥がして、クラピカの本当の心を見たい。でも、キルアにはその方法がわからない。クラピカはいつもどこか遠くを見ているようで、キルアの言葉や行動は彼の心に届いているのかどうか、確信が持てなかった。
ゴンが立ち上がり、焚き火に薪をくべるために離れた瞬間、キルアはクラピカに近づいた。
クラピカはまだゴンの去った方向を見つめ口元に微かな笑みを浮かべている。
キルアはその笑みが自分に向けられていないことに苛立ちを覚え、つい鋭い口調で言った。
「なあ、クラピカ。ゴンとそんなに話すことあんのかよ?」
クラピカがゆっくりとキルアに視線を移す。その瞳は、いつもの冷静な色を帯びていた。
「?ゴンは…純粋で話していると、頭と心の中が少し軽くなるんだ。」
クラピカの声は穏やかだが、どこか遠い。
キルアは唇を噛む。
「 ふーん、純粋ね。俺には関係ねえけど」
彼はわざとそっけなく答え、クラピカの反応を窺う。だが、クラピカはただ小さく頷き、視線を焚き火に戻した。その無関心さが、キルアの胸をさらに締め付ける。
「…ゴンといると、気が楽なんだ」
と、クラピカがぽつりと呟いた。
「ゴンとは純粋に、ただ…友人として話せる」
その言葉に、キルアの心がざわめく。友人?
クラピカにとって、ゴンは「友人」なのか。
(じゃあ、俺は? )
キルアはクラピカの横顔を見つめながら、喉の奥で言葉が詰まる。俺は、クラピカにとって何なんだ? ただの仲間? それとも…。
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