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若井さーん😭絶対こうなるってわかってたけど、あまりにぱさんがカッコよかったので叫びたくなりました笑 そして❤️💛、おめでとうございます✨長かった💛ちゃんの切ない想いが報われてよかったなて思います☺️ 少女漫画のキラキラも大好きですけど、というか彼らの出会いが少女漫画以上だなと思いますけど、それはそれで夢の世界で現実恋愛のわかるー!も好きです笑
いやぁぁぁぁぁぁ❤️💛がやっとくっついて嬉しい気持ちでいっぱいなんだけど💙💛でくっついてもよかったかなぁぁって思ってる自分がいるぅ、、、ほんっっっっっっっっとうに!!!恐縮なんですけどもしほんっっっっっっとうに暇だなって日があったら(そんな日ないと思うんですけど)💙💛で結ばれた世界線も書いて欲しいです、、、
おはようございます。 💛ちゃん良かったね💕💕 次回最終回、寂しいけど、さらに続編もう書いてくださってるとの事✨ めっちゃ楽しみです😍 大人になると色々ありますもんね😆 ドロドロの関係も楽しみです❤️💙💛 ありがとうございます😊
僕たちは、とりあえず僕の部屋へ三人とも送ってもらった。
意識が混濁している現場マネージャーさんは、統括マネージャーさんに連れられて、事務所の方へと介抱の為に向かうようだった。
「涼ちゃん、とりあえずお風呂入ろう。」
「元貴、涼ちゃんこんな状態で入れるのか?」
「そっか、溺れちゃうかもな…。」
「…俺らで入れるか。」
「…涼ちゃん、いい?」
僕は、こんな状況で恥ずかしいとも言えず、こくんと頷いた。
元貴と若井が、二人がかりで、僕の難解な衣装を脱がせていく。ようやっと上の服が取れ、素肌が露わになると、元貴と若井も、少し躊躇っていた。
「…なんか、悪いことしてる気分なんだけど…。」
「俺も…。」
二人で悩んだ末、なんとか僕の腰にバスタオルを巻いてくれて、それから苦戦しながらズボンと下着を脱がせてくれた。
「も…大丈夫、シャワーなら…できそ…。」
ゆっくりと立ち上がると、二人は心配そうに僕を見つめて、一応ドアの前で待機してるから、と言ってくれた。
熱めのシャワーを頭から浴びて、なんとか髪や顔についた絵の具を落としていく。
僕は、顔を上に向けて、シャワーのお湯を口に入れた。何度も何度も、濯いでは吐きだす。
赤ワインを口移しされた気持ち悪さが、どうしても消えてくれなかった。 僕に向かってきたカゲヤマの姿を思い出してしまい、今になって身体がガタガタと震え出す。
怖かった。気持ち悪かった。あのまま助けが来なければ、僕は一体どうなっていたのだろう…。
震える身体を自分の腕で抱きしめて、涙をお湯で流しながら、身を縮めてじっとしていた。
浴室のドアをノックされ、元貴が声をかけてくる。
『涼ちゃん?大丈夫?』
「うん、もう、上がるよ、ありがと。」
思ったよりもしっかりと話せた僕に安心したのか、じゃあリビング行っとくね、と言って、元貴の影が遠ざかって行った。
脱衣所へ出ると、バスタオルと適当な洋服が用意されていた。元貴たちに、全部助けてもらっちゃったな…。
一人でも大丈夫だ、なんて息巻いて、元貴にも反抗して、それでこのザマだ。情けなくて、恥ずかしくて、申し訳なくて、僕は身体を拭きながらまた涙が出てきた。
リビングへゆっくり歩いていくと、元貴が水を用意していた。若井は、僕に駆け寄って、ソファーまで手を取り連れて行ってくれる。
「はい、お水。」
「ありがとう…。」
気付けば喉がカラカラで、一気に飲み干す。
「もっといる?」
「ううん、大丈夫、ありがと。」
かなり意識もハッキリしてきて、元貴も若井もホッとしているのがわかった。
「………ごめんなさい。」
ソファーの両脇に二人が腰掛け、僕の背中や肩に二人の手が触れた。何も言わず、優しくさすってくれる。
正直、責めてくれた方が、怒ってくれた方が、良かったかもしれない。こんなに優しくされると、余計にちっぽけな僕が惨めに感じる。
「…僕、一人でも大丈夫だって、思いたかった…。…も………二人がいなくてもしっかりやれる所を見せたかった…の…。」
『元貴がいなくても』という言葉は、何とか飲み込んで、また、消え入る声で、ごめんなさい…と言った。元貴が、手は僕に添えたまま、俯いている。
「…元貴のせいだろ。涼ちゃんがここまで追い詰められたの。」
若井が口火を切った。その顔は怒りを含んでいる。
「わ、若井、ちが」
「違くないよ。元貴に曖昧な態度ばっか取られてさ。振られたのどーのって気ばっかり揉んで。こんなに痩せて。そんで必死に元貴から離れようとして、結局こんな目に遭って。」
僕は泣きながら、ちがう、ちがう、と言って若井の服を掴んで首を振る。元貴の手はいつの間にか僕から離れていて、若井が僕の肩を抱く。
「…元貴、ここでハッキリしよう。これからのためにも。」
若井が、今度は諭す様に元貴に言った。元貴は黙ったままだ。僕は、若井に抱き止められたまま、若井の胸元に目を向けていた。元貴を見られない。怖い。
「………二人にしてくれる。」
元貴がぼそりと呟く。若井はしばらく僕を見ていたが、わかった、と言って、僕の肩をポンポンと優しく叩いて、部屋から出て行った。僕は、若井がいなくなっても、若井がいた方を向いたまま、元貴に向き合えずにいた。
「………ごめん。」
元貴がまた、その言葉を口にする。もう何度目かな、元貴に振られるのは。自分で勝手に始めた恋だけど、こんなにしんどいなんて。恋愛赤ちゃんのまま、何も知らずに、何も気付かずにいた方が幸せだったな。
「…俺、涼ちゃんに甘えてたんだ。好きって言われて、答えなくていいって言われて。…涼ちゃんにずっと想われたまま、このままでいられると思ってた。」
僕は、静かに元貴の方へ向き直る。元貴は、自分の手元に視線を落としたまま、話を続ける。
「俺、自分一人でも、生き方が下手だから。スピード感もおかしいし、限界まで走り続けちゃうし。そんで、潰れちゃうし。こんな生き方に、涼ちゃんを付き合わせるのはダメだなって思ったんだ。」
元貴が僕の足元に視線を移す。
「もちろん、ミセスとしては、どこまでもずっと付き合ってもらうつもり。じゃないと困るし。だから、もし涼ちゃんの想いに応えたら、涼ちゃんの人生全部を俺が縛りつけちゃうのか、って、思って…。」
怖かったんだ、と元貴が小さく漏らした。
元貴も、怖かった…?僕と同じで、不安を抱えてたの…?
元貴が顔を上げて、僕をまっすぐに見つめる。
「………涼ちゃん。好きだよ。」
元貴が、困った様に笑う。
「好きなの、俺。涼ちゃんが。」
元貴がまた、視線を外す。
「…若井ならね、いいかな、とはちょっと思った。若井なら絶対涼ちゃんのこと大事にするし。めちゃくちゃな俺より、涼ちゃんもきっと…。」
でもさ、と言葉を続ける。
「カゲ…アイツに、涼ちゃんの事傷つけられた時、もうなんも考えらんなくて。自分でも訳わかんないくらい、勝手に動いてた。」
元貴が、そっと僕の手を握る。
「…やっぱ、ダメだったわ、俺。涼ちゃんなしじゃ生きてけないわ。」
ごめんね、と付け加える。
「…つまり、…どういうこと…?」
僕が泣きながらそう言うと、元貴は吹き出した。
「なんでわかってないの。」
「わかんないよ、元貴ごめんねばっかりだし、難しいことばっか言ってるし。結局どういうことなの?もっと簡単にハッキリ言ってくれないと…。」
一気に捲し立ててから、自分でもハッとする。
「…僕、めちゃくちゃ答え欲しがってんじゃん。ごめん。」
元貴は、また困った様に笑って、僕の頬を撫でた。
「…そうだね、結局、俺たち、見返りが欲しいんだよな。相手を想ってるだけで充分とか、そんなの無理なんだ。」
うん、と僕は頷く。
「俺、多分これからもずっと、仕事ばっかだよ。」
「…うん。」
「制作中はピリピリしちゃうし、八つ当たりもするかも。」
「うん。」
「涼ちゃんに甘えたり、キツく当たったり、たぶん超めんどくさいよ。」
「うん。」
否定しないんかい、と元貴が力無く笑う。
「でも、涼ちゃんにずっとそばにいて欲しい。」
僕が、瞳を揺らすと、元貴がフッと笑った。
「ミセスとしてだけじゃなくて、だよ。藤澤涼架として、俺のそばにいて。 」
僕は、耐えられなくなって、両手で顔を覆って嗚咽を漏らした。元貴も、元貴もこんなに僕を好きでいてくれてた。僕だけじゃなかった、僕だけの恋じゃなかったんだ。
元貴が、ゆっくりと僕を抱きしめた。
「いっぱい待たせてごめんね。大好きだよ。」
「ぼ、ぼく、も、ごめんね…ひ、一人で、バカみたいに…」
「ホントだよ、もう勝手に仕事受けるの禁止ね。」
「はい…。」
元貴がテーブルの上のティッシュを数枚渡してくれる。僕は、ティッシュがくしゃくしゃになるまで涙と鼻を拭いた。
「…涼ちゃん、若井のこと好き…?」
元貴が、伏し目がちに聞いてくる。ドキッとした。
「正直に言うと…ドキドキしたし、カッコいいとも思った…。弱ってる時に、あんなに好き好き言ってくれるし…。」
「そんなに好き好き言ってたんだ…。」
「…うん。甘えんボーイだった。」
「なんだそれ。」
「だけど、どうしても…どうやったって僕の中から元貴は追い出せなかったよ。」
ぎゅう、とまた抱きしめられる。
「追い出さないで。そこにいさせて。」
「うん、だから無理なんだってば。僕は元貴しか好きになれないの。」
「…若井に、言える?」
「うん…僕がちゃんと言わないと。若井に失礼だから。」
「そっか…。」
元貴が、若井を呼んでくる、と言って部屋を出て行った。
しばらくして、入れ違いに若井がリビングへ入ってきた。
「…若井、座って。」
「ん、いや、ここでいいよ。」
ドアの近くに立ったまま、若井はこっちを見ずに言った。
「…若井、僕、やっぱり元貴が好き…だから…その…。」
「…元貴にも、ちゃんと応えてもらえた?」
「…うん…好きだって、言ってもらえた…。」
「そっか…。」
ふー、と若井がため息をつく。僕は俯いて、何も言えなかった。
「やっとくっついたか、赤ちゃん同士で。」
若井の言葉に顔をあげると、眉を下げてニヤリと笑っていた。
「良かったね、涼ちゃん。おめでとう。」
「若井、…ありがとう。」
ごめんね、とは言わない方がいい気がして、僕は笑顔を向けた。若井も、何度かうんうん、と頷いた後、僕に近づいて、ハグをした。慈愛に満ちた、優しいハグだった。
「よかった。俺、まだ全然本気じゃなかったから。大丈夫だからね。」
「うん…支えてくれて嬉しかったよ、ほんとにありがとう。」
若井の言葉は、もしかしたら僕に気を遣ってくれているだけなのかもしれない。だけど、僕も、若井の気持ちが本当に支えになってくれたから。だから、感謝の言葉だけで、若井との小さな小さな恋は、終わらせることにするね。