ないこは、静かにスマホを見つめていた。
🐶「……ログイン、やっぱり今日もある」
隣にいたいふが、それを覗き込む。
🐱「でも返事は、ないな、、、」
🐱「……いつも既読だけや」
悠祐が後ろからそっと声をかけた。
🦁「……それでも、嬉しいんや」
🦁「だって、“生きてる”ってわかるから」
ないこはうなずいた。
🐶「……俺らのこと、忘れたくないって思ってくれてるなら」
🐶「それだけで十分……そう思わなきゃ、壊れそうでさ」
マスクを深くかけたその男──
誰も気づかないように、客席の隅に立っていた。
💎「変わってないな、、ないちゃん達……」
でもその言葉に、少しだけ温度があった。
🐇『次の曲──「サヨナラ、の、その先へ」』
曲紹介でそう言ったのは、初兎だった。
🐇「この曲は、大切な人に向けて作った曲です」
🐇「今、どこかで聴いてるって信じとるから……届け」
いむのスマホが震える。
グループLINEの通知──
りうら:『今日の、見てくれた?』
初兎:『……いむくんのための曲やで』
いふ:『……話せへんくてもええ。でも、今日だけは“聴いてほしい”』
悠祐:『だいじょうぶや。こっちからは何も求めへん。生きててくれるだけでいいんやで』
ないこ:『おかえりって言う準備、ずっとしてるから』
画面を見つめるほとけの手が、わずかに震える。
何度も、何度も文字を打っては消す。
そして、ふと──一言だけ、送った。
💎『……ごめん、まだ“ただいま”が言えないや』
既読がつくのは、一瞬だった。
でもそのあと──
ないこ:『それでいい。そっちはそっちのペースでいい』
初兎:『言葉いらへん。いむくんが見てる、それだけで充分や』
りうら:『俺、ほとけっちの歌……待ってる。ずっと』
悠祐:『焦らないでええ。あんたの帰り道は、いつも開けとる』
いふ:『おかえりって、何回でも言うから』
ほとけはマスクを外し、
少し冷たい風を感じながら、
空を見上げた。
💎「“まだ”言えないだけで、きっと“いつか”言える──そう思えたんだ」
彼は、スマホを胸ポケットにしまい、
ゆっくりと前に進む。
どこか遠くから、微かに彼の曲が流れている。
いぬ「ほとけっち──ステージ、戻ってくるって」
ないこのその言葉に、楽屋は静まり返った。
誰も口にしなかったけど、全員が知っていた。
🐶「俺たち、また6人だ」
それはまだ“今日”じゃない。
でも、“いつか”の約束だった。
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