コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
誰もいない教室は、とても静かだった。
あまりにも早く家を出てきたので、できるだけ長く公園にいたのだけれど、七時過ぎには教室に着いてしまった。
教室に一人、なんて漫画みたいなシチュエーションだな、と一人で考えながら自分の席に向かう。
とりあえず国語の教科書を出してみたけど、一人では何もわからないのですぐに諦めてしまった。
数学やるか、と呟き、仕方なく得意教科である数学のワークを取り出し、解き進める。
数学だけはなぜか出来て、この前のテストでも数学だけ80点を超えていた。呼び出しをされたときに先生が必ず言う言葉。
「数学みたいに全部頑張れよ」
僕だって頑張れるなら頑張りたいよ。出来るようになるならなりたいよ。
はあ、と大きなため息をつくと、青!と大きな声で呼ばれてはっと顔を上げる。
「もう!ずっと呼んでたんだから」
と、クラスメイトにキレ気味に言われ、もうそんな時間か、と思いつつ、ごめんごめん、と返す。
「青がこんな早く来るのめずらしくね?どした?」
などと言ってくるので、誰が珍しいだよ、と笑いながら返した。
でも、内心笑ってなんかいなかった。昨日のことが頭から離れないし、
今日だって、桃くんと話してくればよかったって考えてしまう。
今から桃くんの教室に行って話してくるか?いや、学校にまで家の話を持ち込みたくないか?
などと考えているうちに、無常にも授業開始のチャイムが鳴った。