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俺は鵜飼 優汰オカルトが好きなだけの、ただの平凡な男子高校生だ。
んで今日はとにかく学校に着くまで、いや着いてからも運が悪かった。
目覚まし時計が壊れていたし、久しぶりに弁当を作ったけどひっくり返してしまったし、登校中に鳥に囲まれたし、着いてからは花壇に水を上げていた生徒に何故か水を掛けられた。
そして今日は転入生が来るらしい、まあ転入生が来ることよりも大事なのは今日のテスト返しだけど…
そんなことを考えていると肩を叩かれる。
「なぁなぁ優汰、今日来る転入生ヤベぇーやつらしいぞ」
こいつは同じオカルト部の部員、釘宮 要。
オカルト部に入ってる理由は早く帰れるからという理由だ。
「ヤバいやつ?それよりテストの点数のがヤバいんじゃないか?」
「まぁそれもそーだけど、それより!転入生がヤバいんだって!!確か__
釘宮が言う前に、先生が教室に入ってくる。
転入生の挨拶やら色々ありそうなので今日は早めにホームルームを始めるらしい。
俺がそう考えている内に釘宮はそそくさと自分の席へ帰っていった。
「転入生を紹介する」
先生がそう言うと、教室のドアが再び開く。
入ってきたのはめちゃくちゃ身長の高い男だった。
「ってえ」
身長がドアより高かったのか、転入生は勢いよく天井に頭をぶつけていた。
その後頭を押さえながら教壇の方に移動し、黒板に文字を書く。
「あ、えー-っと上化田です、え、他になんかいる感じ?」
彼は、どこか異質な男だった。
女子は異質なところを、不思議なイケメンと捉え質問をしていく。
上化田は質問に対し一つ一つ丁寧に返していた、女子達は紳士な人だと思ったのかどんどん話しかけに言っていた。
すると先生がコホン、と気を取り直すように話し始める。
「今日のホームルームは自由に過ごして良いことにする、だが授業はちゃんと受けるように。」
先生はそう言って教室を去った。
「藤野先生って優しすぎるよな~」
気づいたら釘宮が隣に来ていた。
オカルト部員ではなくこいつ自身がオカルト的存在ではないかと思い始めそうだ。
そういえば釘宮に聞いてなかった事があるな、と思い出し小声で聞く。
「そういやヤバい噂って?」
俺がそう聞くと、釘宮は「え?今聞くの??マジで?」と聞いてくる。
確かにタイミングは悪いが気になったものは仕方ないだろ。
釘宮は、顎に手を当て、思い出している仕草をし、小声で話し始める。
「えっと確か、前の高校で上化田くんにちょっかい出してた3年が行方不明になったらしく、それをやったのが上化田くんなんじゃないか…と噂がありまして…」
詳しく聞くと、こういう事らしい。
上化田は元の高校でその3年にパシリにされたり、物を盗られたりしてたらしく、先生はそれを生徒同士の遊びと思って何も対応をしなかったらしい。
そしで3年の一人が上化田が大切にしていた何かを盗ったらしく、そこから全員が行方不明になったそうだ。
タイミング的に上化田がやったんじゃないかと一部で噂されてるようだが、あくまで噂は噂だ。
そう思っていると上化田の声が何故だか、はっきりと聞こえた。
「そうだよ」
思わず上化田の居る方を振り向く。
釘宮には聞こえなかったのか、俺が急に振り向いたことに驚き声をあげていた。
「優汰~どうしたよ急に振り向いて、流石に此処からは聞こえないって」
俺の様子がおかしいことに釘宮が気づいたのか、宥めてくる。
確かに釘宮の言った通り聞こえないだろうが、なんとなく、上化田は俺達の会話を聞いて、肯定をしたように感じた。
「転入生くんよりテスト結果って自分で言ってませんでしたか~?」
俺がいつまでたっても上化田の方を見て、釘宮の言葉を無視しているからか、少し拗ねたように煽ってくる。
「悪い、なんか聞かれたような気して、聞かれたたら申し訳ないなと…」
「気のせいだって、それよりそろそろ席戻るわ俺、もうホームルーム終わるし」
釘宮にそう言われ、かなり時間が経っていることに気づいた。
釘宮の事、何分無視していたんだろう…そう思い申し訳なくなってきた。
そういえば上化田の席はどこなんだろう、丁度俺の横が空いてるが…
席の事を考えていると、先生が教室に戻ってくる。
上化田は自分の席が分からなかったのか、先生に聞きに行く。
「あぁ、丁度鵜飼の横が空いてる、鵜飼!」
想像通り、上化田は俺の隣になった。
上化田は俺の隣に来て「あー…」と視線を彷徨わせる。
「俺は鵜飼、鵜飼優汰、好きに呼んで」
「ゆーたくん、オレは上化田、よろしく~」
最初は得体の知れない人物だと思ったが、愛想良く人懐っこい性格らしい。
ヤバいやつだと思って申し訳ないなと思い始めると上化田が言う。
「さっきの、ほんとだよ」
授業開始の号令の声がした。