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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

14 - 疑惑【1】

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2025年08月23日

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疑惑


大学の教室。まなみが遅れて入ってくると、友達がすぐ声をかけてきた。

「ねぇまなみ、今日めっちゃ寝不足じゃない?」

「え、そんなことないよ?」

「目の下ちょっと赤いし、髪も寝癖残ってるよ~」

「あ、ほんまや。くせ治ってない……」

鏡で髪を直そうとしていると、別の子がぽろっと言った。

「まなみ、最近よくそらとと一緒におるよね?」

「え?まぁ、幼なじみやけん」

「いやいや、それにしても多くない?昨日もそらとの車で帰ってたし」

「え……見とったん?」

「見た見た!でさぁ……もしかして付き合っとる?」

突然の質問に、まなみは目を瞬かせて固まる。

「……つ、つきあっとらんよ?」

「えー、ほんとにー?なんか、ほぼ同棲カップルに見えるんだけど」

「そ、そんなことないよぉ!」

必死に否定していると、教室の後ろから低い声が飛んできた。

「……お前ら、なに勝手なこと言いよるん」

振り向くと、教室のドアにもたれかかるそらとがいた。

腕を組んだまま、鋭い視線で女子たちを睨んでいる。

「ひっ……そ、そらと!?」

「おう」

「な、なんでここおるん……!」

「おれの教室、隣やけん」

「で、でも……」

「お前らが変なこと言いよるの聞こえたけん、来た」

そらとはまなみの机までゆっくり歩いてきて、

机に片手をついて覗き込んだ。

「お前、なんでそんな必死に否定しよるん?」

「え、そらとまで……っ」

「“同棲しとらん”って必死に言うけん、逆に怪しいやんか」

「そ、そんなこと言わんでよ!」

まなみがぷくっと頬を膨らませると、

そらとは一瞬だけ口元を緩めたけど、すぐに真顔に戻る。

「……まぁ、否定せんでもよか」

「え、なに?」

「“同棲疑惑”とか、放っときゃいい」

「でも……」

「ほっとけ。おれが全部“ほんま”にしたるけん」

耳元で低く囁かれて、まなみは一気に顔が真っ赤になった。

昼休み。

ふたりで中庭のベンチに座っていると、まなみは小声でそらとを睨んだ。

「さっきの……『ほんまにしたる』ってなに意味なん」

「……言わんとわからん?」

「わ、わからんもん!」

「……なら、今夜来るか?」

「な、なんでそうなるん!」

「泊まればええやろ。そしたら疑惑じゃなくて、ほんまやけん」

「そ、そらと、ほんまアホや……」

「アホでよか。お前が泣いたら迎えに行くし、寝坊したら起こすし、腹減ったら飯作る」

「……それ、完全に旦那さんやん」

「……お前が言うんやろ、それ」

まなみがぽつりと呟くと、そらとは耳まで赤くなりながら帽子を目深に被った。

「……もう黙れ」

「んふふ、照れた?」

「照れとらんっちゃ」

「照れとる~」

「……あとで覚えとけ」

そらとの低い声に、まなみの鼓動が跳ねた。

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