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#也
@ j _ .
152
#M!LK
はる☻
24,340
💛💙
朝七時。仁人の家。
カーテンの隙間から差し込む光で、太智はゆっくり目を覚ました。
「……ん」
まだ眠そうなまま隣を見る。
そこには、静かに眠る仁人。
「……おる」
それだけで、なんだか少し安心する。
太智は小さく笑って、そっと布団から抜け出した。
「朝ごはん作ろ」
鼻歌まじりでキッチンへ向かう。
冷蔵庫を開けて、卵を取り出して、フライパンを温める。
「今日はうまく焼けるやろ」
そう言った瞬間。
「太智」
後ろから、落ち着いた低い声。
振り返ると、寝ぐせのついた仁人が、いつも通り静かな顔で立っていた。
「起きたん?」
「匂いした」
「もうちょい寝とってもよかったのに」
「太智がいなかったから」
淡々とした言い方なのに、太智の手が一瞬止まる。
「……それ、普通に言うやつ?」
「事実だろ」
短くそう返して、仁人はキッチンへ歩いてくる。
距離は近いのに、必要以上には詰めない。
それがこの12年の距離感だった。
仁人は隣に立つと、何も言わず太智の頭を軽く見て。
「寝ぐせ」
「え、ほんま?」
「後ろ」
そう言って、指先で一瞬だけ髪を整える。
それだけ。
それだけなのに、太智は少しだけ嬉しくなる。
「……吉田さん、今日やさしない?」
「変わんなくない?」
「いや、なんか」
「気のせいだよ」
即答。
相変わらずの温度。
でも太智はそれが嫌いじゃない。
卵を割ろうとして、少し手元が狂う。
「あっ」
「太智」
「やってもた!」
小さく焦る太智を見て、仁人はため息をひとつ。
「料理は成長しないな」
「うるさいわ」
「貸せ」
そう言って、フライパンを自然に受け取る。手際よく卵を返す動きは無駄がない。
「ほら」
「……すご」
「見てないで覚えろ」
「厳し」
そう言いながらも、太智は隣から離れない。その距離感が、もう当たり前になっていた。
「吉田さん」
「ん?」
「俺さ」
「うん」
「朝これ毎日やったら、ちょっと幸せやなって思った」
言った瞬間、太智は「あ」と小さく声を漏らす。
言うつもりなかった顔。
仁人は一瞬だけ手を止めた。
でもすぐに、いつも通りの声で返す。
「別にいいんじゃない」
「え」
「邪魔じゃなければ」
「邪魔ってなんやねん」
「うるさいからな、お前」
そう言いながらも、卵焼きはきれいに仕上がっている。太智は少しむくれて、それでも笑う。
「仁人さぁ、そういうとこやで」
「何がだ」
「優しいのバレへんようにしてるとこ」
「勘違いでしょ」
即否定。
でも、皿に盛る手は丁寧だった。
仁人が最近ハマってるオシャレな皿。
少しだけ静かになるキッチン。
太智は横目で仁人を見る。
昔からずっと一緒で、距離は近いのに、ベタベタはしない関係。それでも。
「……まあ」
仁人が小さく言う。
「朝くらいなら、悪くないかもな」
その一言に、太智は一瞬固まる。
「……今なんて?」
「聞こえなかったならいい」
「いや聞こえたけど!」
「ならそれでいい」
そう言って、仁人は味噌汁の鍋に視線を戻す。太智はしばらく黙って、それから小さく笑った。
「吉田さんさぁ」
「なんですか」
「それ、ずるいわ」
「何が」
「なんでもない」
そう言って、太智は卵焼きを一口食べる。
いつも通りの朝。
変わらない距離。
でも少しだけ、いつもよりあたたかい。
それが、ふたりのちょうどいい朝だった。
-———–
💙の吉田さん、じんちゃん、仁人って呼び名ころころ変わるの好きです。ちょっと距離があるような、でも1番近いような。
💛は別に外にアピールしないけど💙のこと1番知ってるのは俺でしょ、感がだいすき。
コメント
2件
めっちゃ分かるかも!結局お互いを一番理解してるのは塩レモンなきがする! ほのぼの系の塩レはニヤケが止まらんね
読了しました〜!朝のキッチンの空気がほんとにそのまま見えてくるみたいでした。「太智がいなかったから」の淡々とした一言が刺さりましたね…。距離が近いのにベタベタしない、12年の関係性がちゃんと滲んでて。「朝くらいなら悪くないかもな」で太智くんが固まるシーン、こっちまで照れました。ラストの「いつもよりあたたかい」が沁みます。続きも楽しみにしてます🌷