「へぇー」
白髪の男が私をジロジロと見ながら言う。
「お前が傑の妹?」
礼儀のれの字もない男だ。
私がそんなことを 考えていると、男は後ろで
「ちょーガキじゃん」なんて言っている。
「誰ですか。私はあなたみたいな人知りませ
ん。兄とどういう関係ですか。」
私は聞きたいことを端的に全て聞いた。
すると男はムッとした表情で
「まずは自分から名乗んのが礼儀じゃねーの」
なんて言ってきた。
知らない人に名前を教えちゃいけないなんて今
どき幼稚園児でも知ってる。
ただこの男は兄と同じ制服を着ている。
信用なんて出来ないけど別に私が誘拐されても
殺されても悲しんでくれる人はもう居ない。
なら、それなら
「私は夏油理沙。あなたは?」
正直怖い。この人の呪力量、、、
というか術師としての格が違う。
別にどうなってもいいと思ってても恐怖は感じ
るみたい。
「俺は五条悟。てか」
「なんですか」
私は警戒しながら聞いた。
「ませてんのな。最近のガキは。」
「まぁ、あれが兄なので。」
「ははっ、まぁ確かにねw」
そんな意味の無い会話が続いた。
「それで本題なんですけど。」
そう言う私の声は誰が聞いても分かるほど震え
ていた。そんな私の声を聞いて鼻で笑ってから
五条悟は言った。
「俺はアイツの親友だよ。」
想像の斜め上を行く言葉に私は目を見開く。
「そんな驚くことか?」
不思議そうな顔で問いかけてきた。
「いや、まぁ普通驚きますよね。兄の親友が急に訪ねてきたら。」
「、、、、」
私が黙っていると男が
「どうした?」と聞いてきた。
「兄の親友なら、、、、」
私が言葉を濁していると
「あぁ、別に俺はどうともないし言ってみろよ。何言われても気にしねー自信ある。」
「兄の親友なら、、なんで、、、どうして!」
人生で初めて声を荒らげた。
「どうして、気付けなかったんですか、、?」
私は続けて
「どうしてあんなに思い詰めるまで気が付かな
かったんですか、、、?」
言ったあと、しまった、と思った。
「ぁ、、すみません!」
もしかしたら自分はとんでもないことを言って
しまったのではないかと、血の気が引き、頭が
真っ白になった。
こんなことを親友の人に聞いてしまった。
「なんでお前が謝んだよ」
「辛いのはあなたなのに、本当にすみません!、、」
男は笑った。
「ぷっ、はっはははwwww」
「え、?」
今日一の予想外で驚いた。
もっとこう、、怒鳴るとか叱るとか怒るとか
そういう反応が返ってくると思ってた。
「どうして、、、」
「お前、おもしれーガキだなwww」
、、、、は?
私が意味がわからないという顔をしていると
男は「はー笑った笑った笑」と呼吸を落ち着か
せてから私に向き直った。
「その反応が正常なんだよ」
「普通はみんなそうやって言うんだ。
お前ぐらいの歳のガキは特にな。
お前は大人びすぎてんだよ。
やっとガキっぽいとこ見えたかと思ったら
顔面蒼白で謝ってくるし、、、笑」
「わっ、私は本気で―」
「わかってるよ」
男は落ち着いた声で、宥めるように言った。
「お前が本気で俺の事を心配してくれてんの
も、傑をどれだけ大事にしてたのかもな。」
こういうのは少し、反応に困る。
どう反応したらいいかが分からない。
私が固まっていると、
「悪かったな。辛いこと思い出させて。」
急に謝られてまたもや驚くが、
すぐに理解した。
この男は両親とその他大勢を殺した兄のことを
思い出させたことを言っているのだろう。
別に気にしてないのに。
「別に、気にしてませんよ。」
私は思ったことをそのまま言う。
「気にしてないようには見えなかったけどな」
全てを見透かしたような蒼い目で私を見る。
「、、、この話、、終わりません、、?」
「私があなたに謝って、あなたも私に謝ったの
でおあいこってことで、、、」
「wwwそーゆーとこはガキっぽいのな笑」
「分かった、この話は終わりだ」
そう言ってまた、すぐに私の方を見た。
「じゃ、次の話な」
、、、ん?次?
「お前天涯孤独だろ?俺ん家来いよ。」
「、、、え?」
想像より遥かにズレた問いかけに私は固まる。
「だから、俺ん家来れば?」
「え、でも食費とか―」
私の話を遮って男が言う。
「あーあー、ガキがそんなこと気にしてんじゃ
ねーよ」
正直ありがたい。私はまだお金を稼げる歳じゃ
ないし。
危うくそろそろホームレスになりかけるところ
だったし。
てかこのままじゃ餓死だし。
怪しいけど、もうなるようになれ。
「お願い、してもいいですか?」
「よっしゃ決まり!」
「でも!怪しいと思ったらすぐ逃げますかから
ね」
「へーへー、大丈夫だから笑」
これが私夏油理沙と五条悟の出会いだった。
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