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単独任務13日目(昼)
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次の日、3人は久しぶりに私服で朝の支度を済ませると、ハスネとキヨを使用人の部屋へと呼んだ。
テーブルの片方にレイナ、ライネ、カイクと並び、向かい側にはハスネとキヨが座っている。
キヨは何故呼ばれたのかあまりわかっていないようだが、ハスネはなぜ呼ばれたのかがわかっているよぅで、レイナに何故ライネ達とキヨがここに居るのかと目線で問いかけてきていた。
「珍しいですね。何か、問題でもございましたか?」
キヨがニコリと言う。
「問題というか、今回は、依頼の関係で呼ばせて頂きました」
ライネが思いっきり営業スマイルを作って言った。正直、わざわざ使わなくても良いと思うが、仕事として一線引いているのだろう。
ライネの言った事に、ハスネが肩をピクリとさせる。その目は、相変わらずレイナに説明を求めていた。
「依頼の内容が被ってる同業者が居ましたので、今回は協力して調査させていただきました。その為、報告も一緒にした方が良いのではないかとなり、今、この場にキヨさんとハスネさんを呼びました」
レイナはもう既に最初に来て説明を受けた時から営業スマイルは剥いでいたので、無表情でただ淡々と言う。
「そういう事でしたか。それで、調査の結果の方は…?」
「こちらになります」
カイクが昨日作成した資料を出す。カイクが撮った写真をレイナとライネは見ていない為、どのような写真が載っているのかは分からないが、資料を見ている2人の反応を見るに、隠し部屋や図書館の写真を撮ったりしたのだろう。
「…こういうことだったんですね…」
資料を読み終わったハスネは、どこかスッキリしたような顔で言った。
「このままこの資料を警察とかに届ければ恐らく今の市長は捕まるでしょう。それとも、料金は増えますが捕獲までやりますか?」
「!?」
カイクが少し企んでいるような表情で言った。レイナはもう依頼が終わったと思っていたので、思わず思いっきりカイクが座っている方を向いてしまう。
「因みに、料金の方なのですが、それぞれ話し合って、報酬はお互いの依頼者から頂くという話になって居ます」
ライネは相変わらず営業スマイルを貼り付けた顔で淡々と報酬について話している。
「それでは、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「じゃあ、お願いします」
ハスネとキヨがほぼ同時に言った。
『分かりました』
「分かりました」
2人が言ってからワンテンポ遅れてレイナも追加の依頼を受けることにする。
「それなら、今市長は寝ていると思うので、いま捕まえて来ますね」
カイクが物凄く軽く言う。
「よろしくお願いします」
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市長の部屋の前。3人は誰がどの役割をするか話し合っていた。
「じゃあ、ウィンがドアを開けて、私とカイクが突入と捕獲。カイクはそのまま市長を取り押さえて、私とウィンは捕まえた市長を縛りあげるでいいね?」
「うん」
「あぁ」
確認を済ませると、それぞれの位置につく。
「それじゃあ…行くよ!」
ライネの合図で、レイナが勢いよく扉を開け、ライネとカイクが勢いよく部屋に突入する。扉の開く音と足音で目を覚ました市長が全力で抵抗しているが、カイクがそれを押さえつけ、レイナとライネがお互いの魔法で作り出した縄で手際よく市長を縛り、声がうるさかったため猿ぐつわを噛ませる。
「ん”ー!ん”ー!」
縄でがっちり縛られ、猿ぐつわのせいで声も出せなくなった偽市長が床に転がる。
カイクが偽市長の顔に手をかけて引っ張ると、顔がバリバリと剥がれた。今まで変装マスクの様なものを被っていたのだろう。
マスクを外した顔の下から、写真で見た息子さんを何十年分か老けさせたような顔が出てきた。
「よっし。完了」
カイクが床に転がっている偽市長を見下ろしながら、手をパンパンと払う。
「にしても、ウィンがこれを受けるなんてね。てっきり依頼は終わりましたって断るかと思ってた」
「ちょっと欲しいものがあってね」
そういうレイナの目はキラキラと光っていた。
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あの後、縛られた偽市長と証拠の資料をハスネ達と一緒に警察に届け、3人は報酬を貰って屋敷から街へと戻るバスに乗っている。
偽市長を捕まえた分の金を貰った2人の隣で、欲しいものが手に入ったレイナが、ほくほく顔で幸せに浸っていた。
「まさか、欲しいものって本だったんだね」
「うん」
そう。レイナが追加の分で頼んだものは、地下室の大量の魔導書やポーションの調合、薬草についての辞典だった。
「でも、そんなにボロボロの本まで頼むなんて。それ、娘さんの部屋にあったやつだろ?良かったのか?」
カイクが、レイナが沢山の魔導書等を異空間にしまって持ち帰る中、唯一手で持って帰ると言った本を指さす。
それは、以前探索した娘さんの部屋で、開いた時に急な頭痛が襲ってきた本だった。
「うん…なんでかは分からないけど、何となく離れられなくてね」
この本だけは、レイナは特別欲しいと思わなかった。だが、何故かハスネに好きなだけ本を持って行っていいと言われた時、最初に思い浮かんだのがこの本だったのだ。
「キヨさん、それは新品の本を買ってたお嬢様が唯一持ってた中古の本って言ってたよね」
「もう発売されてないんだっけ?」
「そうらしいね」
レイナは大切そうに本を見る。ボロボロで絵や文字も色あせているし、紙も所々破れているが、これくらいなら魔法で修復できるだろう。
「…」
ライネがレイナの顔をジッと見つめてくる。
「何?」
「いや、転生者って必ずしも前世の記憶を完璧に覚えているヒトだけじゃ無いのかもしれないなって」
「いきなりどうしたの?」
いきなり関係の無い話をしだすライネに、怪訝そうな顔をする。
「あ、もうすぐで目的地着くぞ」
そこで、カイクがバスの降りるボタンを押した。
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バス停をおり、近くのトイレに入りお互い変装を解く。レイナは髪の色を戻し、カラコンを取り、化粧も落として髪型も元に戻すと、久しぶりの素顔が鏡に映っていた。
レイナの方が先に変装をとき終わり、トイレから出て待ち合わせにしてた近くの公園のベンチに向かう。カイクは能力で変装していた為、変装を解くのが早かったのか、先にベンチに座っていた。
「…」
「…」
なんというか…うん。普段見ている見た目からは全く想像が出来なかったとだけ言っておこう。
相手も同じような感想だったのか、お互い無言のままそっと目を逸らし、何となくベンチの隣に座った。
「あ、2人とも先に着替え終わってたんだ」
そこで、素顔のライネも登場した。
「おっ、いつもより早かったな」
「…」
普段からお互いの素顔を知っていた2人は普通に会話をしているが、初めて見る顔にレイナは謎の気まずさを感じていた。
「それじゃあ、見た目に触れるのは一旦置いといて、先に名前から明かすか。まず、俺はカイクじゃなくてキアだ」
「じゃ、次は私ね。私はライネじゃなくて、ハイロだよ」
「最後に私か。私は、ウィンじゃなくてレイナっていう名前、です…?」
謎の気まずさからか口調が敬語とグチャグチャになってしまう。
レイナは、別に2人の名前を予想していたとかそういうことは特に無かったのだが、なんか今までの呼び名で慣れていたため、見た目と同じように2人の名前にも違和感を感じていた。
「おぉ〜。なんか、今までの呼び名と見た目で定着してたから、違和感感じるな」
「そうだね。別に私らは普通に普段からお互いの名前と見た目知ってたからあまり違和感無いけど、ウィン…じゃなくて、レイナの奴にはめっちゃ違和感感じる」
「今私それで変な気まずさ感じてるよ…口調も迷走して敬語使っちゃったし…」
一通りお互いの名前についての感想を言い終えると、ついに見た目について触れ出す。
〖キア(カイク)〗
〖ハイロ(ライネ)〗
レイナが手を挙げて言う。
「どうぞ」
「まずはカ、じゃなくてキア。能力で顔変えてたからか変装前と変装後が違いすぎて脳が今バグってる。次にハイロ。ど偏見だけどライブとかフェスとかに居そう」
レイナは遠慮なく思っていた事を言わせてもらった。
「あ〜。確かにハロ、ライブとか居そう。今はしてないけど、普段これにピアスつけてるからね」
キアが言う。ハロというのは恐らくあだ名だろう。
「ヒドっ、くはないけど、実際私あんまライブとか行かないよ?」
「じゃあ、次は俺な。ハロに対する感想はないとして、レイナはオッドアイだったのに驚いたな。後、そのメッシュは元々?それとも染めたのか?俺の髪色は元々だよ」
まぁ、まずはオッドアイとメッシュに触れられるだろうなと思っていた為、普通に答える。
「メッシュは元々。オッドアイに関しては、私もキアの目が赤で瞳孔が×なのに驚いた」
「じゃあ、次私ね。殆どキアと同じだけど、他にあるとすればレイナの髪が変装姿はくせっ毛だったけど元はストレートだったって事くらいかな?」
それぞれ見た目の感想も言い終え、連絡先を交換すると、駅で別れた。
「またな~!」
「次は魔法とかの話しよ〜ね!」
「うん。じゃあね」
それぞれ反対の方向の新幹線に乗り込む。
「ふぅ…」
レイナは自由席に乗り、久しぶりに肩の力を抜いた。
新幹線が出発した後も暫くボーッとし続け、ふとナギに今から帰るとLINEを送ることにして、スマホを取り出す。
やっと仕事終わった、と送り、暫くしても既読がつかなかったため、仕事中なんだなとレイナはスマホを閉じる。
異空間にスマホをしまうと、レイナは今まで遅寝早起き+ずっと変装のため髪の色を魔法で変えていた疲労の分で、すぐに眠りに吸い込まれた。
どうも。三連休なので家でダラダラしてたい 僕VSせっかくの三連休なんだから2泊3日で出かけたい母で少し言い争い、負けて現在2泊3日の旅に連れ出されてる主です。
今日は田代島に行ってきました。人口より猫の方が多い猫島です。猫好きの僕にとってはただの天国でした。なんで猫ってあんな可愛いんだろ…今日だけでも最低50回位尊死しかけた…
それでは、さよなら~(^•ω•^ノ