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教室では文化祭の準備の話が続いている。
でも政宗は少しだけ遠くを見ていた。
政宗(心の声)
(そういや……)
(あの時、俺珍しく泣いたな)
回想
まだ幼い頃。
病院から帰った日。
部屋。
政宗は一人で座っている。
いつもなら
「外行くぞー!」
とか
「遊ぼうぜ!」
とか言っているはずなのに。
その日は静かだった。
政宗
「……」
母
「政宗?」
政宗
「……」
母
「何か食べる?」
政宗
首を振る。
母
「そう」
母は無理に何も言わない。
ただそばにいる。
しばらくして。
政宗
「なんで俺なんだろ」
小さな声。
母
「……」
政宗
「みんな普通なのに」
政宗
「なんで俺だけなんだよ」
声が震える。
母
「うん」
政宗
「嫌だ」
政宗
「嫌だよ」
そして。
ぽろっ。
政宗
「……」
ぽろぽろ。
政宗
「……っ」
母
何も急かさない。
何も否定しない。
ただ隣にいる。
政宗はしばらく泣いた。
たぶん。
悔しかった。
悲しかった。
怖かった。
いろんな気持ちが混ざっていた。
でも。
泣いた後。
母
「少し楽になった?」
政宗
「……ちょっと」
母
「なら良かった」
そう言って笑った。
回想終了
教室
政宗(心の声)
(あの時は本当にきつかったな)
政宗(心の声)
(でも今は普通に笑えてるし)
政宗(心の声)
(人間どうにかなるもんだな)
小十郎
「政宗様?」
政宗
「ん?」
小十郎
「今日はよく考え事をしてますね」
政宗
「そうか?」
小十郎
「そうです」
政宗
「まあ、たまにはな」
友達A
「伊達が静かだと逆に怖い」
女子A
「熱ある?」
政宗
「失礼だな!」
女子B
「元気になった」
小十郎
「戻りましたね」
政宗
「だから何なんだよ!」
すると。
女子Aがニヤッと笑う。
女子A
「文化祭のメイド――」
政宗
「うわぁぁぁぁぁ!!」
政宗
「お前ら本当に容赦ねぇ!!」
こうして、少ししんみりした気持ちも、いつもの騒がしい日常の中に溶けていくのであった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第22話、読みました。 政宗くんの過去がちらっと見えて、胸がぎゅっとなりました…。「なんで俺だけ」って言葉、すごく重くて、でもその後に母さんがただ隣にいてくれたシーンが温かくて。 今は笑えてるって思えるのが、ちゃんと強さになってるんだなって感じました。文化祭のメイドネタで一気に空気戻るところも好きです🌙
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十色
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