気が付いたら、俺は病院のベッドの上だった。そして、俺の横には河合が居た。「おはよう やっと起きたんだ、もう昼よ。京ちゃんたら、ひえちゃんの容体をお医者さんから聞いてショックで倒れちゃったんだって」と、河合があざける様な口振りで俺に告げた。「そう言うおまえも、昨日か?比叡の姿を見て気を失ってたじゃないかよ! 」と俺は反発した。その時、看護師さんが飯を持ってきてくれた。俺は飯を食った後、軽い検査を受けて退院する事が出来ると医者に告げられた。俺は家に帰る前に比叡の居る集中治療室をのぞいてから帰る事にした。集中治療室をのぞいてみると、包帯や様々な管でまた姿が変わっていた。俺は比叡に「生きて帰って来い」とだけ言い残して病院を出た。病院を出ると、空は鮮やかなオレンジ色だった。そして、家に帰ると母が晩御飯を作っていた。晩御飯は俺が大好きな肉じゃがだった。いつもなら出汁などが効いて美味しいはずなのに、なぜか今日の肉じゃがは無味だった。ふと昨日の事が頭を過ぎった。俺は比叡がこのまま帰って来ないと言う最悪の事態を想像してしまい、そんな事は無いと自分に言い聞かせ足早に自室に入りそのまま眠りに着いた。その晩俺はとても不思議な夢を見た。多分小学三年生位の時の記憶だろうか。いつもの様に3人で木登りをして遊んで居た。「なぁ、京介おまえ今日何やらかして校長室に呼び出されてたんだよ笑」「何でも良いだろ!つうかてめぇその顔俺が何で呼ばれたか分かってんだろ!」「まぁまぁ2人とも落ち着いて、京ちゃんもこれ以上顔にあざを作りたくないでしょ ひえちゃんも、そんなに京ちゃんいじめると担任の首狩先生にチクってまた怒ってもらおうか?」俺も比叡も返す言葉が無かった。それどころか、比叡は怖がって居た。「そう言えば京ちゃんその顔の傷、今度は誰と喧嘩したの?」「あ〜、喧嘩高校の奴らだと思う。あのダセェ制服と拳の強さは喧高の奴らで間違えねぇ笑」と俺は笑みを浮かべながら話した。比叡は笑いながら「おまえ、また喧高とやったの? 今回は勝敗は、どうなったの?」と比叡が聞いてきた。「それがさ〜、ポリ公が来て、決着を付けられなかったんよなー笑」と俺は笑いながら言った。「も〜、喧嘩も程々にしとかないといつか死んじゃうよ」と、河合が俺の母の声真似をしながら言った。「いやー、本当に河合の声真似凄く似てるんだよな〜」と俺は笑いながら言った。その隣で木の枝に足を掛けて宙吊りになりながらゲラゲラと笑っている比叡が居た。俺は、はっと目が覚めた。外はほんのりと明るく時計の針は6と5の間を指していた。俺は3人でぴえん公園の木によじ登って、パーテイをした事や学校から木の頂上まで競走して、3人仲良く町内会長のおじさんに怒られた事などを思い出した。そして、2人の笑顔が浮かび上がってきた。同時に、「もう3人であの木の頂上で笑う事は出来ないのか〜」とつぶやいたら涙が再び込み上げてきた。
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