ストレート美人への好感度が少し上がり、包帯野郎の好感度が下がった今──
私は「嘘つきやがって」と云う冷めた目線を込めて包帯野郎を見た
「ちょっとした冗談ジョーク、ノリだよ?お願いだからそんな目で私を見ないで!?」
『ふんっ』
「え、可愛い…」
『は?』
「〇〇ちゃん可愛いッ」
『いやそんな要素何処にあった!?』
なんなのこの包帯野郎…
可愛い要素が今までの会話の中にあるわけないのに!
「〇〇ちゃんは存在自体が可愛いよね。やっぱり欲しくてたまらない」
「其れにはぼくも同感です。ずっと眺めていてもきっと飽きる事もないでしょうね」
「眺めているだけで満足なのかい?私なら我慢できないや」
「1つの例え話しとして云っただけですよ。無論其れだけで終わらせる気はありません。」
『ねぇ何の話しぃ!?』
意味の判らない話しをしないで欲しいんだけど!?
只でさえ誘拐されて困ってんのにこれ以上訳の判らない事を言わないで!
あと話しを脱線させるな!
『ねぇ包帯野郎、何で私の名前知ってんの?』
「「………」」
え、またお口チャック!?
そんなに都合悪い質問した覚えたないんだけど!
「…本当に覚えてないのだね」
『?、何が?』
「…君の事を此処に連れてきた人物が、君の名前を呼んでいたからさ」
『え、まじで…?』
私を此処に連れてきた人物が言ってたのか
それなら納得だし、通りで私の名前を知ってるわけだ。
「ぼくに提案があります。──ここは1つ、同じ状況下にいる者同士自己紹介をしませんか」
「ふむふむ、確かに此れから同じ環境下で過ごすのだから少しぐらいお互いの事を知っておくべきだね。まぁ私は君の事なんて知りたくはないけど」
「ぼくも貴方の事は知りたくありません、彼女の事だけ知りたいのです」
「なら君は喋らず、耳でも塞いで傍観していればいい」
『お願いだから私を置いてきぼりにしないで!!勝手に話しを進めないで!』
なんかこの2人、仲悪くない…?
勝手に話しを進めていく事もだけど、無闇に相手を煽ったりするのは良くないと思うんだよね…
もしかして私が眠っている間に何かあったのだろうか
何かあったにしろこんな部屋に閉じ込められて私だって叫びだしたい気持ちを抑えてるんだからあなた達も大人しくしててよ!
「じゃあ誰から自己紹介する?」
『あ、する事は決定なのね…』
どうやら自己紹介をする事は決まったらしい。
私に拒否権はないのだろうか?
「では発案者であるぼくから」
「どうぞ~」
すると右隣のストレート美人は身体と顔の向きを私に向ける体勢になった
え、なんで!?
「ぼくの名はフョードル・ドストエフスキーといいます。見ての通り異国露西亜の者です。」
『ひょー…?ごめんなさい名前が長くて覚えられませんッ!!』
「ブフッ」
ほんと申し訳ないんだけど名前長いよ!
最初しか聞き取れなかった
「…フョードルと呼んで下さい」
「魔人で十分じゃないか。わざわざ下の名前で呼ぶ必要があるかい?」
「今ぼくは彼女と話しているんです、口を挟まないで下さい」
『ああーもぅ喧嘩しないで!!』
この2人やっぱり何かあったな…
『えーっと、、ひょー?ふょーどるさん…?』
「〇〇ちゃん横文字苦手?」
『んー、苦手かもしれないけど苦手じゃないかもしれない』
「どっち!?」
いや単純に長くて聞き慣れてないからだけど、、
「フョードルです。ほら、復唱して下さい」
『ふょーどる、ふょードル、フョーどル……フョードル!!』
「フフ、有り難う御座います。」
「…………」
フョードル!言えた!覚えた!
私は子供のように嬉しくなって喜び、フョードルさんも何故か笑みを浮かべている
しかしそんな私たちをつまらないとでも云いたそうな表情で見ている人物が1人────
「じゃあ次は私ーっ!!」
『あ、』
私とフョードルさんの間に、わざとらしく乱入してきた包帯野郎
「私の名は太宰治、探偵さ!」
『探偵……?あなたが?』
「どうだい?驚いたでしょ」
『いや見えないね、どちらかと云うと逆に見える…』
「逆…?」
『女を弄んで泣かせて訴えられてそう』
「其の通りですよ」
「ちょっと待ち給え。〇〇ちゃん酷い!!」
云っちゃあ悪いが女癖悪そう。
ナンパとかしまくってそう。
ワンチャン結婚詐欺とかしてそう。
『太宰さんね、中々覚えやす「治」
_____ん?』
「私の事は“治”と呼んでくれ給え」
『え、だざ「治だよ」____…。』
ねぇなんで目が笑ってないの?
すっごく黒いオーラが漂ってるように見えるんだけどなんで?
「太宰くん、無理強いは良くありませんよ」
「君だけ名前で呼ばれるなんて不公平じゃないか」
「ぼくの場合名前の方が短く覚えやすいかと思いまして。
_嗚呼、貴方は両方同じ文字数でしたね」
「白々しいねぇ、〇〇ちゃんに自分の名を連呼させようと誘導したくせに」
「彼女に名前を呼ばれるのはとても気分が善いですよ」
『あ”ぁ!!ストップストップ!!言い合いしないで!!』
この2人下らない理由で言い争うとか子供か?
呼び方なんて苗字だろうと名前だろうと、どっちでもいいじゃん…
『あー…、治くん?さん?』
「治♡、がいい!」
『きっっしょッ!!』
「お願いだからもう少し優しくして!?〇〇ちゃんに云われると余計に傷つくッ!」
『へぇー』
「あれ、私に興味無いの…!?」
うん、どちらかと云うと興味ない。
顔はイケメンだし嫌いじゃないけど、きっとこの男は女の敵だ
あと今更だけど何で包帯グルグル巻いてんの…?
「ほら〇〇ちゃん、私の名前を呼んでおくれ」
『……治、くん…?』コテン
「ん”ん”ッ…!!(あーコレはやばい)」
『???』
え、何!?顔を覆って天井見上げてる…!何で!?
治くんは謎行動、私は困惑した顔でいたが
そんな私たちを表情の抜け落ちた顔で見ている者がいる─
コメント
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最高です!続き楽しみにしてますー!!
ありがとう𓏸︎︎︎︎𓈒*°꒰ঌ( ˘꒳˘ )໒꒱*°𓈒𓏸︎︎︎︎