ワンクッション
Iris様二次制作小説
桃様病み作品
るー 様コンテスト参加作品
部門【貴方をスカウトします賞】
タグ【#るーさん2000人ってマ!?】
今作の題名【もしもの話。】
もしも俺が、この活動をしていなかったらどうなっていたのだろう。
俺は今、幸せになれていたのだろうか。
俺のリスナーさん達は、違う人を推しているのだろうか。
俺がいることで命を救われたと言っていたファンの人は、俺がいなかったらもうこの世にはいなかったのだろうか。
もしも、もしも俺が、この世界に生まれていなかったら、存在していなかったら__________。
桃「………あー、だめだ。」
最近変な事ばかり考える。
考えたってキリがないことなのに、どうも難しく考えてしまう。
なにか原因がある訳でもない、ふと、考えてしまうのだ。
それが今の俺にとっての最大の悩みであり、ストレスであった。
桃「はぁー…」
深夜のミーティング終わり、一人真っ暗なオフィスに取り残されている。
桃「………しんど。」
桃「……………」
桃「……ぁれ、俺今なんて…」
桃「あー”、だめだ。」
何も考えるな。ただ今は家に帰ることだけ考えろ。
桃「よし。…..うん、大丈夫」
桃「…………」
とはいったものの、先程から状況は変わっていない。
家に帰れるというのに、どうも気分があがらないのだ。
それもそうだ。もう深夜で、今頃家に帰っても数時間後、またここに来なくてはならないのだから。
なら、もう会社で夜を明けるのを待っていた方がいい。
桃「……今日もオールで仕事しばき倒すか〜…」
桃「…………はぁ。」
桃「………ぁ、また、、、」
先程から定期的に出てくる溜息。
気をつけていても、油断するとすぐ溜息をついてしまう。
桃「ふわぁーッ…、、ねむ。」
あくびもさっきから出てるんだけどなー。
眠たいのに寝れない。
薬はあんまり摂取したくないけど…さすがに意地でも寝とかんと心配される。
桃「ぇっと…1回何錠だ….?」
暗くてよく見えない。
きっと3錠ほどだとは思うが…確実に寝れるために倍の6錠飲んでおこう。
桃「…ゴクッ」
桃「ぁ……」(グラッ
薬を飲んで数秒たった。その数秒間で薬が体の中でどうなったのかは分からないが、急に頭の重心が揺れた。
凄いな、こんなに即効性だなんて…
これで、ちょっとは眠れそう…だな_________。
桃「……………」
桃「…..ッ、」
桃「ぅ…ん”、?」
桃「……………」(ボー
桃「…はっ、!ぇ、え?」
桃「ぇちょ…今なんッ…______」
桃「______ぅぷッ…!」
あぁ、これやばいやつだ。
そういえば深夜結構の量の薬飲んでたっけ。
なんで倍の量飲んだんやろ…それただのODと一緒なのに…。
バカやん。
桃「はぁッ…はぁ…..。」
なんとかトイレで吐くことができた。
今の時刻は午前の10時。
そして俺はあることに気がついていた。
桃「………今日、、会社休みやん。」
もう10時だが、このトイレにたどり着くまでの間、誰一人メンバー達や社員さんに会っていない。
あーあ、休みならあの時普通に帰っときゃよかった。
桃「…………何やってんだろ。」
ほんとに。何やってんだよ。
そんなこんなが重なってか、余計な事ばかり考える。
もしも、俺が歌い手になっていなかったら__________?
きっと、俺がいなくてもみんなは幸せ。
リスナーさんも、他の人を好きになって、推して、笑顔になってる。
今いるメンバー達だって、愛せる人と結婚して、子供なんかも作って、笑顔いっぱいで暮らしてる。
俺がこの活動を通して救えた命だって、きっと他の人がその人を救ってる。
幸せになれてる。
俺が今まで届けてきたものは全部。他の人がきっと、届けてる__________。
そして、たどり着いた結論。
俺は、いてもいなくても変わらない。
俺の、ないこの代わりなんていくらでもいるんだ。
なら、
桃「俺が生きる意味は…..なんなんだろう。」
自分でも思った。あー、これ病んでんなー。って。
こんなにも気分が沈むのは初めてだ。
病む、って、結構精神的にも肉体的にもしんどいな。
何もやる気が出ない。
生きる気力も、死ぬ気力も__________。
「大丈夫か?」
桃「ぇッ…?」
そう声をかけられたのは”俺、ないこがいてもいなくても変わらない”、そう結論を出した二週間後のことだった。
“大丈夫か?”
そう声をかけてくれたのは、真剣な眼差しを俺に向けたまろだった。
その隣には心配そうに俺を見つめ、何かを伝えたそうな顔をしているほとけ。
真っ白な壁に、夕暮れの透き通ったオレンジ色が照らしつけた、一室の中でのことだった。
初期メン。今ではそう呼ばれている。ほとけ、いふ、俺ーないこーの、三人での通称。
あぁ、このメンツ、久しぶり。なんか、懐かしいな。
そんなことを一瞬思った。
が、今目の前にある、”大丈夫か?”そうさし伸ばされた手。
彼は優しい。ほんとに。
水『最近ないちゃん………上手く、表現出来ないんだけど…』
ずっとなにか伝えたそうな顔をしていたほとけが、言葉に迷いながら手元にある紙にペンを走らせている。
俺は、黙って次の言葉を待つことしかできなかった。
水『今のないちゃんは…ないちゃんじゃ、ないっていうか……』
水『僕の知ってるないちゃんじゃないよ。』
今にも泣きそうな、彼の顔。
手も震えていた。
青「無理せんといてや。ないこ。」
今なら、さし伸ばされた手を掴み、彼たちは俺を助け出してくれる。でも__________
__________怖い。
そう思ってしまうのは、なぜだろう。
真剣な眼差しと、不安そうな眼。
そのふたつの瞳が、俺のドス黒い目に光を宿してくれるはずなのに。
桃「怖いッ…..」
水「…ッ…..?」
なにが怖いのか分からない。
それでも今は、目の前にある綺麗な心を持った彼たちから逃げたかった。
青「ぁ、、ないこ、!」
桃「……………。」
社員「ぁ!社長お疲れ様です!!」
社員「お疲れ様でした〜!」
桃「………。」
社員さん達が今から帰る____
_____逃げる俺に挨拶をしてくる。
社員「ぁれ、?聞こえなかったのか?」
社員「疲れてるんだよ、ほら、最近も結構予定多そうだったし。」
挨拶を返す気力もない。
そして、いふとほとけ、優しい彼達なら、きっと追ってこない事も分かってる。
そんな追い込めるようなことは、わざわざしない。
社員「お仕事お疲れ様です!」
桃「…ッ、、」
“お疲れ様”その言葉は”お仕事お疲れ様でした”の意味だ。
なのに、今はその言葉を違う意味で捉えてしまう。
社員「お疲れ様でしたー!」
桃「…ふぅッ、」
“人生お疲れ様でした”
イコール
“死ね”
勝手な解釈なのも分かってる。
でも今はなんでも悪い方に、自分で自分を苦しめる方向に思ってしまうのだ。
これ程辛いなら、自分で自分を傷つける、自傷行為をしている人の気持ちもわかる。
だってこんなにも”命”が痛いのだから。
家に帰って、手も洗わず薬の入っている棚の引き出しを漁る。
この前会社で無理に寝るために飲んだものはあれで使い切ってしまったため、新しい薬を取り出す。
よく見ると、あのとき暗くて見えなかった部分に注意書きが書かれていた。
※18歳以上の方・・・1回1錠。1日3錠。
この薬は強力なため、過度な摂取はお控えください。
副作用が出る可能性が十分にあるため_________
そう綴られている。そして最後の行には
__________最悪の場合、死に至ります。
そう書かれてあった。
桃「………死、、」
別になんとも思わなかった。
別に、死にたいわけではない。かといって、生きたいわけでもない。
ただ、あの時みたく、倒れるように眠れればいい。
どうせ翌日吐くことも分かってる。でもそんなことはどうでもいい。
こうするしかないんだ、確実に眠るためには。
そう心の中で唱えながら、口の中に6錠放り投げた。
桃「ふわふわ…してる、、」
が、この前ので体が慣れてしまったのか、ふわふわしているだけで寝れない。
桃「だめ…..もっと飲まなきゃ…!」(ポロッ
あの時みたいに寝れない恐怖が俺を襲い、涙が溢れ出てくる。
精神がおかしくなる、これも副作用の1つだということは分かっていた。
でももう何も考えられない。
そして、再び何錠かを口の中に放り込んだ。
桃「げほっ…はぁッ…ごほごほッ…」(ポロッ
案の定、最悪な朝を迎えた。
そしてまた吐いた。今度は間に合わず、ベッドが汚れてしまっている。
それでも俺は動じることなく、まだ頭がぼーっとしている。
桃「会社…..行かなきゃ」
まるでロボットかのように、部屋をそのままにし、会社に相応しい格好を身につけ家を出た。
会社へ1歩、1歩と進む度に俺がしていた重大差に気がつく。
桃「……俺…ほんとに、今やばいな。」
メンバーや社員さん達にどう顔を合わせればいいのか分からなかった。
こんな俺が社長だなんて、信じられない。
恐る恐る会社へと入った。
桃「………よし、ちゃんとしなきゃ。」
そう決意した。
と、その時前方から誰か来ている。それが誰なのか、見なくとも、こんな朝からいるのは1人しかいなかった。
黄「ぁ、ないこやん、今来たとこか〜?♪」
桃「ぁ…うん。」
何故か顔を見ることが出来ない。それに冷や汗までも出ている。
きっと、アニキもなにがあったのか聞いてくるはず。
それが、怖かった。
黄「そういえばやねんけど」
桃「ッ…」
次の言葉が怖い。
黄「今日俺の飯食いに来(こ)おへん?最近めっちゃ上手く作れるようなったやつあってさー♪」
桃「…ぇッ、?」
黄「いや〜ほんまに美味そうに作れんねん、実際バカ美味いけどなw」
桃「ぁッ…えっ…..と、」
予想外すぎて言葉が詰まる。
黄 「…………大丈夫やで、ないこのペースでゆっくり聞かせてや。」
黄「俺はずっと待っとるから。な?♪」
黄「……♪」(撫
桃「………!」
ポン、と頭の上に置かれた彼の優しい手。
黄「じゃ、また返事は連絡でもえぇから教えてな♪」
桃「ぁ…」
行ってしまう。掴みたいと思った光が。
桃「ぁま…まって、、!」(涙目
黄「?もう決まったんか?」
黄「ぅおっ…!」
俺は彼に抱きついた
桃「………違うッ」(ポロッ
桃「…わがまま…、言ってもいい?」(ポロポロ
彼に抱きついたまま言葉を放つ。
それでも彼は俺を撫で、軽く抱きしめ返してくれていた。
桃「今…あにきのご飯、食べたい」(ポロポロ
これが俺の、精一杯のSOSだった。
黄「そんなんわがままでもなんでもないで。」
黄「今からでも作りに帰りたいんやけど…このままやと俺たち無断欠勤になってまうな?」
桃「…ぇ、」(ポロポロ
黄「ここの社長さんに許可貰うか、そう命令でもしてくれへん限り…♪」
俺の目を見て、どこまでも優しい顔で話かけてくる。
桃「ぅ…..」(ポロポロ
桃「社長…命令です」(ポロポロ
黄「……そうか♪」
黄「社長命令やったら仕方ない!今すぐないこに飛びっきり美味い俺の料理食べさせな!」
黄「な?♪」
そう俺に明るく呼びかけ、あの時の2人みたいに、俺に手を差し伸べた。
桃「…ッ……」(ポロポロ
もう、怖くない。
俺は今度こそ、その光を掴んだ。
END
コメント
11件
ここに天才がいるんだ😭