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そして再びシャボンディパーク内を歩き始める。無法地帯の酒……う~~ん、ちょっと気になる……。でも1人で行く勇気がイマイチねぇんだよな~~。そんなことを考えていた時だった。

ガツンッ!! という大きな音が聞こえたのだ。

音の方に目を向ければ、そこにはボロ雑巾のように倒れ伏している若い男の姿があった。殴られたのか口の端が切れており、そこから血が出ている。

その目の前には、明らかに倒れている男を攻撃したであろう人物が立っていた。黒いロングコートに身を包んでいる。その人物の手は真っ赤に染まっていた。

足が折れているのだろうか、もう抵抗する気のない男に向かってその人物は拳を振り上げた。気づけば俺の体は動いていて、倒れている男を抱き上げた。



「ッ!?」



多分これ、海賊同士の喧嘩だよな~、自分から首ツッコむのはバカだってわかってんのに、つい体が動いちまった。そのまま適当なところまで逃げて黒コートを撒く。



「応急手当てするからじっとしてろよ」

「……何故助けた?」

「え~、ンなこと言われても困る……。体が咄嗟に動いただけだし……」



男の足に添え木をして、固定させる。とりあえずこれで大丈夫だろ。あとは擦り傷、切り傷の類だな。消毒液は……あった。ガーゼもよし。

とりあえずテキパキと処置を施していく。



「お前さ、海賊だろ? どこの船?」

「……答える義理はない」

「は~? じゃあ何、お前その足で自分の船に帰るってか? その足で? さっきの黒コートが来たらどうすんのお前その足で」



折れている足を指さしながら言う。男は黙ったままそっぽを向く。



「どこの船だ」

「…………ドレーク海賊団だ」

「…マジ? 俺船長と知り合いだよ」

「嘘をつけ」

「嘘かどうかは実際に見てから言え。船どこに泊めたんだ?」

「……26番GR」

「OK、また担ぐからな。痛かったら言え」



よいしょ、と俺は男を担ぎ上げる。さっきも思ったけどコイツ男のくせに軽いよな。クソムカつくわ~。

大人しく担がれたままの男と特に会話することはなく、26番GRの停泊場所に着いた。……のはいいのだが、どう切り出すべきか。もういっそ叫ぶか? どうせ有名人でしょ。



「ドレークさーーーん!!!」



名前を呼んでみる。するとすぐに船から誰かが出てきた。もちろんそれはドレークさんだ。ドレークさんは己のクルーを抱えている俺に向かって殺気を飛ばす。やっぱ顔が隠れてると誰か分からないものなんだな。そりゃそうだ。



「……何をしている」



ドスの効いた声だ。俺、ドレークさんに凄まれたことねえなあ。

とか呑気なことを考えながら俺は抱えていた男を下ろして、狐の面を取る。



「俺ですよ、ドレークさん」



そう言って俺は笑みを浮かべた。

その瞬間、ドレークさんの表情が驚きに変わる。船から降り、ドレークさんは俺を抱きしめた。



「う、わわっ」



支え切れるわけもなく、倒れるかと思ったのだが、ドレークさんがそのままさらに抱きしめる力を強める。俺の足ちょっと浮いてる。



「ジェディ」

「はい」

「急にいなくなったからずっと心配していた」

「すみません」



俺が謝ると、ドレークさんの体が離れていく。少しだけ名残惜しそうな顔をしていたが、自分のクルーのことも心配なのだろう。

俺がここまで連れてきた男もドレークに説明しているようだった。黒コートの男はドレーク海賊団を敵視している集団らしく、ここ、シャボンディ諸島までわざわざ追っかけてきたらしい。



「そうか、ここまで追ってきていたか……」



俺が思っていたよりも深刻そうな雰囲気だ。席を外した方がいいかな、と思ったのだが、無言で席を外すわけにもいかず、俺はその場に残っていた。それから俺が連れてきた男は船へ戻り、船医に見てもらうらしい。

それからドレークさんはクルーたちに一言話してから再び俺の方に戻ってくる。



「少し話そう」

「はい、いいですよ」

「行きたいところはあるか?」

「えーっと、24番GRにある酒場、美味しいって教えてもらって…。1人で行く勇気なかったので、せっかくならそっちに行ってみたいなぁ、と」

「わかった」



そうして俺たち24番GRの方に向かった。ドレークさんが選んだ酒場で、店の雰囲気が落ち着いている。お客さんもまばらだし、なんか良さげな感じだ。

適当に座って注文をする。そして酒が来る前に本題に入った。



「それで、今までどこで何をしていたんだ?」

「えーっと、南の海にいたり、アラバスタにいたり……ですね」



簡潔に答えれば、ドレークは呆れたようにため息をつく。そんな姿すら絵になるからイケメンってズルいな。

そんなことを思いながら、酒をちびちびと飲んでいく。美味しい。



「ドレークさんは海賊になってたんですねぇ」

「……色々あってな」

「深くは聞きませんよ。まあ海軍だろうが海賊だろうがドレークさんが優しいことに変わりはないですからね」



そう言えば、どこか照れくさそうにしている。こういうところがちょっと可愛かったりするのよな。ギャップってやつ? それからも他愛のない話をしていく。

それから日が暮れ、ほろ酔い気分の俺はドレークさんにホテル街の方まで送ってもらった。



「ふふ。わざわざありがとうございます、ドレークさん」

「別に大したことじゃない」

「また会いましょうね。俺、しばらくはシャボンディ諸島にいるんで」

「ああ、またな」



軽く手を振って別れる。

そのまま俺はホテルの部屋に戻り、シャワーを浴びてからベッドへダイブする。今日は疲れた。でも楽しかったな。明日はどこに行こうかな。ルフィはあとどれくらいで来るのかな。

そんなことを考えているうちに眠りについた。

【1】海賊世界の転生者は男

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