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この時間が永遠に続けばいいと思っていた。
彼との同盟は無くならないと思っていたし、なかったことにするつもりもなかった。
しかし、無情にもその時は訪れた。
彼はあっさりとその関係を切ってしまった。
たかが紙切れ一枚、されど紙切れ一枚。
その紙切れが繋ぎ止める関係を、その紙に書いた美しい文字が破り捨てた。
書き終えた後、彼は私に歩み寄りこう言った。
『今までありがとうございました。』
今も、その言葉が脳裏にこびりついて離れない。
彼が忘れられなかった。
彼の笑顔が、彼の瞳が、彼の存在を形どる全てが。
いつしか、彼を再現しようと思うようになった。
彼は死んだ、彼にはもう会えない。
わかっているのに、わかりたくなかった。
彼が存在していること、存在していたことを確かにするために。
海を隔てた隣国に笑われようとも。
自身の息子に憐れまれようと。
私は今日も手を、脳を動かす。
彼自身を取り戻すことが不可能であろうとも。
幸か不幸か、私にはまだ後何十、何百もの時間がある。
私が死ぬその日まで。
彼を諦めることは、絶対にないだろう。