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チュリ赤nmmn
⚠attention⚠
幼い頃から、感情というものが分からなかった。生まれつき異様な見た目を持つ私を、両親は心底気味悪がった。異様な見た目と言えど、全身の色素が薄いだけであるし、周りと違う目で見られる事の意味が分からなかった。それでもまだ、この世界には”アルビノ”という生まれつき色素が薄く生まれた子供も居たみたいだし、周りも次第に受け入れて馴染めていた。小学生の頃までは_。
物心がついた頃。見た目以外に周りと違う点がいくつもいくつも自分の中にある事を知った。
例えば、同級生が転んだ時。転んだ本人は「痛い、痛い」と泣き喚いた。だが、私にはその目か出る水は何故出るのか。どうすれば出せるのかを知らなかった。ただ、その泣き声は耳にとてもよく響き、少し嫌悪感を抱いた。
ある日、転んだことがあった。学校での行事で遠足というものに行った時だ。走り回って遊ぶのは好まない為、花を見ていたのだが、後ろから飛びついてきた同級生の体重に押し負けて膝をついた。それこそなんの痛みも無かったが、花壇に強く擦れた膝は赤い液体がドロドロと流れ出していて、私を押した張本人は泣きじゃくっていて、わらわらと先生が集まってきて。流れる液体を見て手をかざすと、みるみる内に綺麗な膝が生成される。「なぜ心配するのだろう」「こんなものすぐ治せるのではないのか」そう思っていたが、周りはそうでは無かったみたいだ。
綺麗に元通りになった膝を見て、ある者は腰が抜けて崩れ、ある者は悲鳴をあげ、生徒たちは固まっていた。その時はじめて、”おかしい”と思った。
またある時、車に轢かれた。中学生の時だ。いつも通り痛みを感じなかったが、体が動かず、意識だけはあったが、生成が上手くいかず倒れたままだった。いずれ救急車が来て、運ばれた。医者からの説明によると、片目を消失したらしい。体が動かなかったのは骨折のせいだと。だが運ばれている間に完治してしまった。
片目だけは生成が聞かなかった。目の細胞は繊細で、その細部まで細かく形成するのは、中学生という年齢では難しかったのだ。
私を心配する者は既に居なかったが、悲しくはなかったし、寂しくもなかった。いつも通り、何も感じなかった。
翌日、目に違和感を感じて起床した。ズズズ”…と何か蠢くものがあり、目から黒く液体のようなものが流れ出し、蝶を飾り、片目を覆った。
朝食を運びに来た看護師が、病室に入るなり腰を抜かして叫んだ。駆けつけた数名が私を嫌悪し、病院から追い出した。
そこから10年程経った_
彼岸花の咲く紅色の大地に邸を建て、1人静かに暮らしている。孤独は何も嫌では無いし、何も思わない。だが少し前から、不思議な青年が邸を訪れるようになった。名を『黒いチューリップ』と言った。
青年はある日、興味本位で邸に来て、本人が言うに一目惚れしたとの事。突然感情は無いに超したことはなくて、そこに善し悪しは無いが、ただ同じ気持ちを返すことはできない。とだけ説明した。それでも黒いチューリップはめげなかった。
毎朝私の邸に来ては夜遅くに返る。
今朝も早くに目が覚め、紅茶をいれるていると気づけばそこに居た。
「赤服サマの容れる紅茶、好きです僕。」
避けるほどに口角を上げて私が紅茶を出すのを待っている。もうこれも日課になってしまった。黒いチューリップの事は何も知らない。名前以外、何も。聞いてみようかと思うことはあるが、必要も無いと感じてしまう為に質問はできていない。
「毎朝飽きないな。こんな屋敷に来て…楽しいはずも無いだろう。」
紅茶を差し出すと、少し見つめたあとに私に目を移し、口にする前に言葉を発した。
「楽しく無い事なんて絶対に無いです、僕は貴方が好きだ。赤服サマの感情を探したい。色んな顔を見たいんです。」
真剣であろう眼差しで語る黒いチューリップに、私は返す言葉に悩んだ。どう頑張っても、感情というものが出ることは無いし、孕むのは虚空のみだからだ。
「私は、感情が分からない。本当に何も…何も感じることができないんだ。痛い思いも、悲しい思いも、誰かを好きだという気持ちも、分からないんだよ。」
黒いチューリップは俯いて、歯を食いしばる。すると声を出して、「それでも、諦めないから。」と一言。その日はそれきり帰ってしまった。怒らせてしまっただろうか。と考えてはみたが、自分には怒りの原理がよく分からないため、考えるのを辞めた。黒いチューリップが1口飲んだ紅茶を口にする。それはほろ苦く、ぬるく冷めていて、居心地が悪いような気がした。
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