テラーノベル
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ある穏やかな休日の午後
部屋の中には、甘く芳ばしい生地が焼ける幸せな香りが漂っていた。
僕はリビングのソファに腰掛け
ローテーブルの上に二枚の白いお皿を並べて、楽しみにその時を待っていると
「ひろ、クレープできたよ~」
エプロンを着けたままキッチンからリビングに立つ敦の、どこか誇らしげで陽気な声が響いた。
敦の両手には、それぞれ出来立てのクレープが乗った大きな丸いプレートが握られており
テーブルへ運ばれてきたそのクレープの表面は
まるで色鮮やかな宝石が散りばめられたようにきらきらと輝いている。
惜しみなく絞られた生クリームが山のように高く盛られ
その周りにはみずみずしいフルーツが極上のバランスで美しく並べられている姿に
僕は思わず目を見張って息を呑んだ。
「わ、すごい!なんかお店のより豪華!」
感嘆の声を上げる僕を見て、敦は目を細めて嬉しそうに微笑む。
「ふふ、でしょ?ひろが昨日甘いもん食べたいって言ってたからね」
敦は手にしていたプレートをテーブルにそっと置いてから
吸い寄せられるように僕のすぐ隣に腰掛けた。
彼の体温が伝わってきて、胸がふんわりと温かくなる。
僕は手元に用意されたスプーンを持つと、崩してしまうのが勿体ないと思いながらも
恐る恐る山盛りの生クリームをすくって一口食べてみた。
「どう?」
敦が期待に満ちた瞳で僕の顔を覗き込んでくる。
「んっ……?!」
口に入れた瞬間、思わず頬が緩んで声が裏返ってしまった。
「おいひぃ、すっごく美味しいよこれ…!」
しつこさのない甘さ控えめのクリームに
フレッシュなフルーツの甘酸っぱさが絶妙に相まって、本当に言葉にならないほど美味しい。
「よかった。ちょっと焼きすぎたかと思ったけど」
敦は胸を撫でおろすようにほっと息をついたけれど、僕はブンブンと首を振った。
「ううん!全然そんなことないよ、生地もふわっふわで美味しい!やっぱりしゅん天才?!」
「ひろは褒め上手だね」
敦が照れ隠しのようにクスッと笑う。
「しゅんの作るお菓子が本当に美味しいから…っ、夢中になるの……!」
一口ずつその贅沢な味わいを噛み締めながらも
美味しさのあまり、スプーンを持つ手が止まらない。
そうして夢中になって半分まで食べ進めたとき───。
「ひろってば…口元にクリーム着いちゃってるよ?」
「えっ!どこどこ?」
不意に敦に指摘され、僕はクリームを拭おうと慌てて手元を探した。
すると、僕がパニックになる間もなく
瞬く間に敦の整った顔が至近距離まで近づいてきた。
「今取ってあげるから、じっとしてて」
敦の指先が伸びてくる気配がしたので
てっきり、手かナプキンで優しく取ってくれるのだと思ったのも束の間
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莉乃ちゃん
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