テラーノベル
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防犯カメラの画像とともに届いた、あの男からのメッセージ。
『新しいお家、見つけるの大変だったよ。今度はどこから見ててほしい?』
美咲の心臓は、凍りついたように動かなくなった。ここは都内でも有数の、トリプルオートロックを完備した20階建ての高級タワーマンションだ。不審者が簡単に侵入できるわけがない。そう信じていた防犯システムが、一瞬で無意味なガラス細工に変わった。
(どうやって……? なんで私の場所が分かったの!?)
狂いそうな頭で必死に理由を探す。引っ越し業者は大手に頼み、身元も確認した。役所の住民票も閲覧制限をかけている。どこで情報が漏れたのか。その時、画面の通知が再び光った。
『ヒント:お洋服』
(お洋服……?)
美咲の目が、部屋の隅にあるハンガーラックへと向く。そこには、あの古いアパートから唯一捨てずに持ってきていた、お気に入りのブランドの冬用コートが掛かっていた。美咲は震える手でコートに掴みかかり、裏地やポケット、ボタンの裏側を狂ったようにむしり取った。──あった。コートの裾の厚い縫い目の裏側に、米粒ほどの小さな黒いプラスチック片が埋め込まれていた。
「GPS……」
男は最初から、美咲の居場所など探していなかった。ただ、スマホの画面で、美咲が逃げ惑う位置情報を楽しそうに眺めていただけだったのだ。その瞬間、部屋のインターホンが静かに鳴った。
『ピンポーン』
美咲は悲鳴を上げてスマホを落とした。画面に目をやると、インターホンのモニターには、配達員の帽子を深くかぶった、あの痩せこけた男が立っていた。男はカメラのレンズに向かって、ゆっくりと自分の首を横に切るジェスチャーをしてみせる。
「美咲ちゃん、お届け物だよ。早く開けて」
インターホンのスピーカーから、あの耳障りな声が響く。ここは20階。ベランダから逃げることはできない。玄関のすぐ外には男がいる。美咲はGPSを握りしめ、逃げ場のない超高層の密室で、ドアが破られる音を待つしかなかった。
コメント
1件
おわ、第5話でここに来るか…!もう胸が締め付けられるわ。 トリプルオートロックの高層マンションが“ガラス細工”って表現、ゾッとした。コートにGPSって発想、現実にありそうで怖すぎるし、最初から逃げる様子を眺めてたってのがもうね…最後のインターホンで「首切りジェスチャー」は映像が脳裏に焼きつくわ。次どうすんだこれマジで。続き気になりすぎる🔥