朱虎はさんざんバカにするけど、あたしにだってちゃんと考える頭はある。
騒ぎの中に突っ込んで行ったって、何もできずに捕まるのがオチだ。なのであたしは、暗がりに紛れてこそこそと近づいて行った。ラッキーなことに甲板の上には崩れた荷物やら何やらが散乱していて、身を隠す場所には困らない。
「フフン、あたしだって一度は潜入成功してるんだから。こんなの余裕だし」
サンドラから借りたワンピースが黒いのもあって、あたしは誰にも気が付かれずに騒ぎの近くに転がっているコンテナの陰に滑り込んだ。息を殺してそっと様子を窺う。
チカチカと不安定に瞬く照明が、大きくしなったロープからぶら下がって甲板の一角を照らし出していた。光が届くギリギリのところにがっくりとうなだれてへたりこんでいるのはサンドラだ。体を丸めるようにして、膝に何かを抱え込んでいる。
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