『耳元の約束』
tg視点
夕日の廊下。
先輩が名前を呼んでくれた――
「……ちぐさ」
その一声で、胸がぎゅっと締めつけられる。
世界が一瞬止まったみたいで、息さえも忘れそうだった。
「せんぱい……」
俺の声は震えて、でも嬉しくて、思わず耳まで赤くなる。
先輩が小さく笑って、肩をそっと抱き寄せた。
体が触れるたびに、心臓が爆発しそう。
「……ちゃんと、俺の名前で呼んでくれるんやな」
「はい……俺、ずっと呼んでほしかったです……!」
その言葉を聞いて、先輩の顔が一気に真剣になった。
目の奥が、柔らかく光って、でも独占欲に燃えているのがわかる。
「そしたら……俺も、ずっとおまえのそばにおる」
耳元に顔を寄せて、低く、けど優しく囁かれる。
息がかかって、顔が熱くなる。
そして――
「……俺の犬、逃がさんからな」
その瞬間、心の中で何かが弾けた。
嬉しさと甘さとちょっとのドキドキが混ざり合って、胸がパンパンになる。
「はい……!」
思わず返事をした俺に、先輩はにやりと笑った。
「……あとは、毎日教えてや」
「え?」
「どれだけおまえが俺のこと考えとるか、ちゃんと教えて」
顔を上げると、先輩の笑顔が、夕日に照らされて眩しかった。
でも――次の瞬間、チャイムが鳴って廊下に響く。
俺たちの時間は、一瞬で遮られてしまった。
「ほかは…?」
「……それは、帰り道に教えたる」
言いかけて、また少し笑う先輩。
俺は思わず小さく唸った。
(……もう、帰り道まで待てるかな……?)
心臓をぎゅうっと掴まれたまま、俺たちは校舎を出る。
次の瞬間が、待ち遠しすぎて、もう息もできない。
♡>>>>2000
コメント
2件
tgちゃんっっ!💕そりゃ気になるよねっ! 続き楽しみにしてるね〜!
これはもう付き合ったと言ってもいいのでは🤔(?)