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「あれ…雨、?」
太陽の光に照らされぎらぎらと光るアスファルトの上に小雨が打ち付けられる
「狐の嫁入りか…」
生憎、傘は持っていない
いくら夏とはいえ、雨は少し冷たい
「このままじゃ風邪ひいちゃうな…」
"傘買わなきゃな"と小さく呟いたその時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた
「とーやさん!傘も持たずに何してるんすか!?風邪ひいちゃうっすよ?!」
その声の正体は僕の相方、伏見ガク。赤色の和風な傘を僕に差し出しながら話しかけてきた
「あぁ、学校帰りなもので傘を持ってなくて…」
「そうだったんすね、俺の傘貸すっすよ!」
「それじゃガっくんが濡れちゃうでしょ?一緒に使えば良くないか、?」
「えッ相合傘っすよ、?」
「?僕達相方なんですし、気にしなくて良くないですか?」
「そッ…れはそうですけど…」
「でしょう?ほら、ガっくんも入ってください」
「じゃあ…お邪魔します、」
「……」
"相合傘"別に気にしていなかった。でもなぜか顔が暑くなり、鼓動が早くなったように感じた
「…とーやさんは好きな人とか、いるんすか…?」
「ッえ?いきなりなんですか」
「いや気になっただけっす、」
「中学生の女子かよ」
「で?好きな人いるんすか?」
「まぁ居ますけど」
「…ッ、うわぁぁ青春だぁ!いいっすねとーやさん、!」
「そーゆーがっくんはいるんですか?」
「いや、まぁ…とーやさんの好きな人教えてくれたら言いますよ?」
「がっくんです。」
「…はい?」
「好きな人はがっくんです。」
「…え、」
「がっくんは誰ですか?」
「…とーやさんっすけど、」
「ふふ、わかりやすすぎるんですよ、」
"わかりやすい"そんなの嘘。動揺を隠そうと咄嗟に出た言葉だ
「え”ッ…まじすか、?」
「んふふ、両想いですね」
「…」
がっくんが黙ってしまい、気まづい沈黙が続いた僕はこれに耐えられず、考える前に
「ん、」
「ん”ッ、!?」
体が動いていた無意識に顔はがっくんの方へ向き、気がつくと唇には柔らかく甘い感覚が残っていた
「…狐に嫁入りですね、」
「誰が上手いこと言えと…ッ」
顔が赤くなっているがっくんを眺め満足した僕は
「ほら、置いていきますよ」
とだけ言って暑い日差しで雨が光るアスファルトの上を軽やかな足取りで進んだ
"愛してる"なんて言葉はまだ本人には言えないけれど
「愛して、ますよ」
そっと声に出してみた