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「いやっ……司くんっ……置いていかないでっ……一緒に逃げよう?」
大好きな類の悲痛なお願いオレは胸がとてつもなく苦しくなった。
ごめんな、類。オレも行きたくない。
でも、類を助けるためには
__逝くしかないんだ。
「お前が最近仲良くしてるヤツ、再来年くらいの生贄だぞ。」
後輩の彰人に珍しく呼び出されたかと思えば、こんな突拍子もないことを言われた。
「は?それって」
「ソイツと仲良かったクラスメイトに聞いた。」
嘘だ、そんなわけ。あの朗らかな笑顔を埋めるのか?そんな
「…………彰人。その人の名前を聞いていいか?」
「え、ああ」
一縷の望みをかけて、オレは問う。そうだ、もしかしたら人違いかもしれない。
「名は確か……」
頼む、頼む。類以外の
「神代、と言ったかな。」
「かみ……しろ………」
『僕は、神代類だよ。』
「あ……そ、そうか……」
何故だ?何故類を……
「あいつ髪の毛メッシュ入ってるだろ?それが幸せの印だからとかなんとか。」
と、黄色の差し色が入った本人から言われたら、オレはやはり「お前が行けよ。」と思ってしまう。後輩より類だ。
すると彰人は爆笑しだした。
「な、なんだ?急に」
「お前が行けって顔してるな?オレも4年後行く。」
…………は?
「すまない、本当すまない。死んで詫びる。」
彰人は、先程とは代わり、目を細めて微笑んだ。
「死ぬなら俺の為じゃなくて神代の為に死んだらどうだ?」
「え?」
そうか、その手があったか。
「ありがとう、彰人。」
すると彰人は、目を見開き、そして笑った。
___ごめんな、類。一緒にいてやれなくて。
でも、オレはどうしても最愛の類が征くのが耐えきれなかったんだ。
こんな方法でしかお前を救えなかったオレを。どうか許してくれ。
「愛してる、類。」
__天馬司の最期の脳裏には、最愛の少年がうつっていた。
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「え?類?」
「やぁ、司くん。」
「お前、なんでここに」
「だって、司くんのいないセカイなんかいても意味がないだろう?」
「……お前ってやつは。」
「ははっ……でも良かったな。ここでまた司くんと出会えて。」
「まぁ……そうかもしれないな。」
「……ねぇ、司くん。」
「ん?」
「来世では、僕と付き合ってくれる?」
「……もちろんだ!」
「ふふ、嬉しいな」
「……じゃあ類。」
「ん?」
「じゃあ、行こうか」
「次のセカイに」
___これは、あの世へ咲くはずだった少年の代わりに咲いた少年と、後を追った少年が次のセカイで繋がることを約束した。
そんな幸せに続く物語。