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ー『十年越しの星の橋』ー
◆幼馴染だった二人
いるまとなつは、小さな町で育った幼馴染だった。
毎日一緒に遊んで、毎年七夕の日には、
二人で短冊を書いて笹に結んだ。
「来年も一緒に見ような、いるま」
「うん、なつ。絶対、ね!」
その約束は、
子どもらしい無邪気なものだったけれど——
二人にとっては何より大切だった。
しかし、
ある年の夏の終わり。
なつの家族が突然、遠くの街へ引っ越すことになった。
理由は複雑で、子どものいるまには理解できなかった。
なつは泣きながら言った。
「いるま……ごめん……俺、行かなきゃいけないんだ……」
いるまは必死に言った。
「じゃあ……来年の七夕は?また一緒に見ようよ……!」
なつは震える声で笑った。
「……うん。絶対、戻ってくるから」
でも——
その約束は、叶わなかった。
◆十年間の空白
なつが引っ越してからも、いるまは毎年七夕の日になると、あの公園に行った。
二人で短冊を結んだ、あの笹のある場所。
こさめは心配してついてきた年もあった。
すちは「今年こそ来るって!」と励ましてくれた。
みことは黙って隣に座ってくれた。
らんは優しく背中を押してくれた。
でも——
なつは一度も戻ってこなかった。
いるまは短冊に同じ願いを書き続けた。
『なつに会えますように』
十年間、ずっと。
◆七夕の前日、揺れる心
十年目の七夕の前日。
いるまは笹飾りを見つめながら、らんにぽつりと言った。
「……今年も、来ないかもしれない」
らんは首を振った。
「いるま。願いってね、願い続けてる人のところに届くんだよ」
こさめが短冊を揺らしながら言う。
「いるまくんの願い、ずっと見てきたよ。きっと届くよ」
すちは笑った。
「十年でしょ?そろそろ奇跡起きてもいいと思うなぁ〜」
みことは静かに言った。
「……ちゃんと行ってな?今年も、あの公園に」
いるまは深く息を吸った。
「……うん。行くよ。最後まで、信じたいから」
◆七夕の夜、曇り空の下で
七夕当日。
空は薄い雲に覆われていた。
いるまは一人、十年間通い続けた公園へ向かった。
笹はもう古くなっていたけれど、
毎年誰かが新しい短冊を結んでくれていた。
いるまはそっと短冊を結んだ。
『なつに会いたい』
その瞬間——
風が吹いた。
雲がゆっくりと流れ、天の川が少しずつ姿を見せ始める。
いるまは息を呑んだ。
「……見える……」
そのとき。
背後から、聞き慣れた声がした。
「……いるま、?ッ」
いるまは振り返った。
そこに——
なつが立っていた。
◆十年越しの再会
いるまは言葉を失った。
なつは少し大人びた顔で、でも昔と同じ目で笑った。
「……久しぶり。十年ぶり?だな」
いるまの目に涙が滲んだ。
「……なんで……なんで今まで来なかったの……」
なつは苦しそうに目を伏せた。
「来たかったよ。でも……戻れなかったんだ」
「どうして……」
「家の事情とか……俺自身の問題とか……いろいろあって……
いるまに会う資格、ないって思ってた」
いるまは首を振った。
「そんなの……関係ねぇって…!
俺は……ずっと……ッ!
なつに会いたかったんだよ……!」
なつの目にも涙が溢れた。
「……俺もだよ。十年間……ずっと……
七夕の日はとくに……
いるまのこと、思い出してた」
二人はゆっくり近づき、触れられる距離まで来た。
なつが震える声で言った。
「……いるま。これからは……一緒に見ような。天の川」
いるまは涙を拭いながら笑った。
「うん……ずっと一緒に見よう……」
なつは微笑みながら言った。
「いるま、ずっと待っててくれてありがとう。」
天の川が、二人の頭上に白い橋をかけていた。
◆みんなのもとへ
家に帰ると、らん・こさめ・すち・みことが心配そうに待っていた。
こさめが目を丸くする。
「なつくん……!!」
すちが叫ぶ。
「本当に来たんだ!!」
みことは呆れたように笑う。
「十年ぶりの再会って……ドラマみたいやん!」
らんは優しく言った。
「おかえり、なつ」
なつは照れくさそうに言った。
「……ただいま」
いるまは隣で笑った。
「みんなで天の川、見よーぜ!」
◆星の橋の下で
みんなで空を見上げると、天の川がはっきりと見えた。
こさめが言う。
「きれい……!」
すちは笑う。
「今年は一段と綺麗だなぁ…っ!」
みことは静かに呟く。
「……また出会えてほんまによかった。」
らんは微笑む。
「来年も、これからも、みんなで見ようね」
なつはいるまの手を握りながら言った。
「……来年も、再来年も……ずっと一緒に見ような、いるま」
いるまは強く握り返した。
「うん。もう離れないよ」
星が道をつくる夜に、十年越しの願いが叶った。
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せな⚡️
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コメント
3件
うわあ…読んでて泣きそうになった…! 十年間毎年同じ願いを書き続けたいるまの気持ちを思うと胸が詰まるし、なつが「会う資格ない」って思ってた葛藤も切なかった。でも最後に再会して「これからは一緒に見ような」って言えたシーン、本当に良かった。みんなが温かく迎えてくれて、天の川が橋みたいに見えた描写も綺麗だった。次も楽しみにしてる!