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第19話「圧倒的」
男「……どうしてここ、に」
思わず声が漏れる。
路地の入口に立つ、その人。
莉々。
静かな表情のまま、こちらを見ている。
莉「……立てますか?」
男「え……」
莉「無理なら、そのままで構いません」
淡々とした声。
まるで、目の前の状況が特別でも何でもないように。
敵の男たちは顔を見合わせる。
「へぇ」
リーダー格の男が笑う。
「本当に来たんだな、梵天の幹部」
莉「……」
「ちょうどいい」
ナイフを軽く回す。
「ここで捕まえれば、大手柄だ」
次の瞬間。
三人が同時に動いた。
ナイフ、鉄パイプ、拳。
一直線に莉へ向かう。
男「危ない!!」
叫んだ瞬間。
――ガッ。
鉄パイプが、空中で止まる。
莉の手が、それを掴んでいた。
男「……え」
次の瞬間。
バキッ。
鉄パイプが、膝蹴りで折れる。
「は……?」
敵の男の声が震える。
莉は、そのまま体を回す。
肘打ち。
男の顎に直撃。
「ぐっ……!」
一人、地面に崩れる。
残り二人が一瞬怯む。
その隙を逃さない。
踏み込み。
ナイフを持つ男の手首を掴む。
捻る。
「がっ!」
ナイフが落ちる。
そのまま肩を押し、地面に叩きつける。
三人目が後ろから殴りかかる。
だが。
莉は振り向きもしない。
足だけが動く。
後ろ蹴り。
「っ!!」
腹に直撃。
男が壁に叩きつけられる。
数秒。
本当に、数秒だった。
三人とも、地面に倒れている。
男「……」
言葉が出ない。
莉は、静かに息を整える。
乱れた様子は、ほとんどない。
莉「……」
倒れた三人を見下ろす。
莉「命までは取りません」
冷たい声。
莉「ですが、次はありません」
三人は恐怖の顔で頷く。
「……くそ」
「撤退だ!!」
男たちは、這うようにして逃げていった。
路地に静寂が戻る。
男「……」
まだ状況を理解できない。
莉は、ゆっくりこちらへ歩いてくる。
莉「怪我は」
男「……大丈夫、です」
莉「そうですか」
短い返事。
それから、少し沈黙。
男は、やっと口を開いた。
男「……あなた、本当に」
言葉が続かない。
莉「……」
男「……すごい人なんですね」
莉「凄くありません、」
即答。
男「普通じゃないですよ」
思わず苦笑する。
数人を、数秒で倒す人間が普通なはずがない。
莉々は少しだけ視線を逸らす。
莉「……あなた」
男「はい」
莉「なぜ、彼らの命令を断ったのですか」
男は、少しだけ笑う。
男「……簡単です」
真っ直ぐ、莉を見る。
男「あなたを、危険な目に遭わせたくなかった」
莉「……」
男「任務で利用されてても、関係ないです」
静かな声。
男「それでも、俺はあなたを守りたい」
莉は、しばらく黙っていた。
そして。
莉「……無意味ですよw?」
男「え」
莉「私は、守られる側ではありません」
淡々と告げる。
さっきの戦闘が、それを証明している。
男「……それでも」
男は小さく笑う。
男「思うくらい、いいでしょう」
莉「……」
答えは返さない。
ただ、静かに言う。
莉「今日は帰ってください」
男「……はい」
立ち上がる。
体は痛むが、歩ける。
少し歩いたところで、振り返る。
男「……助けてくれて、ありがとうございました」
莉「任務ですから、」
それだけ。
それでも、男は嬉しそうに笑った。
男が去ったあと。
莉は、静かに空を見上げる。
莉「……」
小さく息を吐く。
――面倒な任務になりましたね。
本当にどうしましょう
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