テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「俺、学年主任に嫌われてんのかなぁ」
「そんな事ないだろ」
「なんで今日?しかも明日までにって‥‥あの人クリスマスとか知らないんかなぁ」
「主任も忙しかったんだよ。ほら、言ってないで自分の家に戻れ」
「‥‥ごめんな?一緒に居れなくて」
「俺の事はいいから、ローレンも頑張れよ」
ロウの部屋を出て、隣の自分の部屋の鍵を開ける
暗い部屋
生活感の無い空間
それもそのはず、俺は小柳先生の家でほぼ暮らしている
でも今日はそんな事は言ってられない
さっき貰ってきた資料が床に積み上がっているからだ
「もっと早く言ってくれよ」
ブツブツ文句を言いながらPCを開く
今の時間が24日の19時
ずっと頑張る‥‥のは無理だから、途中休んだとしても明日の夕方までは確実にかかるよな
とりあえずやるしかない
机の上にはエナジードリンクが何本も並んでる
コイツらの力も借りて頑張るか‥‥
25日
いや、もう少しで26日になろうとしている
俺は自宅へと車を走らせていた
夕方までに仕事を終え、大の字に寝そべっているとうたた寝をしてしまった
そして着信音で起こされる
相手は学年主任だった
俺が持ってきた資料の中に、主任が使うものが紛れ込んでいたらしく、今から取りに行くとの連絡が入った
本当の気持ちはそのまま取りに来て欲しかった
でもその時ふと頭を過ぎる
学年主任のお宅には小さなお子様がいるという事
休みだし、クリスマスなんだから一緒に過ごしたいだろう
そう思って俺が学年主任の家に届けることにした
でもまさか片道1時間以上かかるなんて思わなかった
しかも渋滞もあったし‥‥
家に着くと車を停め、助手席に置いてあった紙袋を手に取る
学年主任が持たせてくれたものだ
わざわざ来てもらったからとUberで頼んでくれたものだった
ドアの前に立ちインターホンを押す
中からは眼鏡をかけ、眠たそうな先生が出迎えてくれた
「ごめん寝てた?自分で鍵開けて入れば良かった」
「寝てねーよ。お前が帰ってくるのに」
先生が自分の家を俺が帰ってくる場所だと言ってくれるのが嬉しい
家の中に入り、紙袋をテーブルの上に置く
「なんだ?その袋」
「主任が家に届けてくれたからって 」
俺はそう言いながら紙袋の中身を出す
さらに二つ袋が入っていて、1つはチキン、もう一つは寿司だった
「凄っ‥‥こんなにわざわざいいのに」
「ローレン腹減ってないのか?俺は軽く食べたけど」
「先生食べないの?じゃあ俺も‥‥」
「食べろよ。俺も少しつまむから」
そう言うと先生は皿と飲み物を用意してくれた
そしてもう一つ‥‥
「小さくても良いだろ?」
「うわっ!ケーキだ!」
小さなホールケーキだった
しかもちゃんとクリスマス仕様
「凄くない?こんなに小さいのにちゃんとフルーツも飾り付けもしてある」
「今日の午後、買い出しに行った先のスーパーのケーキ屋さんで見つけたんだ。手作りだってさ。2人分にはピッタリだろ?」
「ごめん、俺何も用事してなくて‥‥しかもクリスマス終わってるし」
時計は0時を回っていた
「何日でも良いだろ?一緒に祝えるんなら」
「でもやっぱり24とか25が良くない?」
「ただの数字だよ。今がクリスマスだと思えばそうなるんだ」
「先生ってマジで考え方カッコよすぎ」
「そんな事言ってないで早く食べろよ」
「お腹ぺこぺこ!頂きます!」
食事を終え、ロウが後片付けをしている
「俺ここ全部やっとくからローレンは風呂入って来な 」
「本当?じゃあお言葉に甘えて。ロウも終わったら先寝てて」
「分かった」
服を脱ぎ扉を開ける
浴室は真っ白な湯気でいっぱいだ
いつお風呂を溜めてくれたんだ?
でも疲れた身体にはありがたい
身体を流し、湯船に浸かる
やっぱりシャワーだけとは違って気持ちが良い
ズルズルと口元まで湯船に浸かる
もうこのまま眠ってしまいたい
.