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これで終わりにしちゃうのか!?あべちゃん!!
そっかー🥹 よい恋でしたね😊
それからも俺たちは何も変わらず、いつも通りの関係を続けていた。
佐久間は相変わらず自由奔放で、無邪気な笑顔を振りまいている。
そんな佐久間に振り回されながら、それでも心地よくて、楽しくて。
だけど、ふとした瞬間に思う。
——もし、アイドルじゃなかったら。
もし、もっと自由に恋ができる世界にいたら、俺はこの気持ちを伝えていただろうか。
……いや、きっと伝えなかった。
だって、佐久間の隣で笑っていられる今が、一番幸せだから。
***
ある日、メンバー全員での食事会の帰り道。
夜風が心地よくて、少し酔いが回った体がふわりと軽く感じる。
「阿部ちゃん、送るよ」
佐久間がそう言って、俺の隣に並んだ。
「別にいいのに」
「俺が一緒にいたいから」
軽いノリで言うその言葉に、胸が少しだけ痛む。
「……そっか」
何気ない会話。何気ない時間。
佐久間の横顔をこっそり見つめる。
俺の恋は、今日で終わりにしよう。
好きな気持ちは消えないかもしれない。
でも、それでいい。
この恋を知ることができたから。
佐久間が、俺に恋を教えてくれたから。
「ありがとう」
小さく呟いた声は、夜風に溶けていった。
「え? なんか言った?」
「いや、なんでも」
「えー、気になる!」
佐久間がふざけて俺の肩を揺らす。
そんな変わらない日常が、これからも続いていく。
それだけで十分だった。
そっと、佐久間の笑顔を目に焼きつけた。
——ありがとう。
俺に、恋を教えてくれて。
さよなら、俺の初恋。