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喫茶店到着! 今日のおすすめはチャイ。
「あらあら、まずまずの相性ね」
サアヤはちゃっかり相手の生年月日も確認してきたらしく、ツクシちゃんに彼との相性を占ってもらっている。
「まずまずっていいってこと?」
「そうね。お互い努力をすればどんどん良くなるってことよ。でも、どちらかが相手の気持ちを蔑ろにしたら終わることもある。そんな感じね」
「相手の気持ちをって、具体的にどういうことだろう。私は彼の仕事へのオンオフはっきりしてるところいいと思うんだけどな」
よっぽど気に入ってるんだな、その人のこと。
ツクシちゃんも頷きながら言う。
「そういうことよ。お互いをちゃんとリスペクトするの」
「まともな男ならきっと、サアヤの園児教育への情熱が伝わるはずだよ」
相手の人もサアヤの仕事っぷりをリスペクトしてくれたらいいな。私はそう願った。
「イチゴちゃんはどうするの? 昨日の今日でしょ」
ツクシちゃんが聞いてくれた。
「うん。私は今日はいいかな。何も変化ないし」
夢の話は途中まで、って感じでよくわからなかったからまた今度聞いてもらおう。
その時コトリから2人にメッセージが届いた。
「まだ喫茶店? その後サアヤんち行く? そしたら合流したい」
なんだなんだ。もうデート終わったのかな。もちろんOK出して、私たちは少し甘いチャイを飲み干しサアヤの家に移動することにした。
「またね、ツクシちゃーん」
「ええ。面白い話待ってるわよ〜」
ロマンティックな話や幸せな話を待っててよツクシちゃん。頑張るよ、サアヤとコトリが。
コトリとはほぼ同時にサアヤの家に到着した。
コトリは三人分の軽めのアルコール飲料を六本買ってきていた。飲まなきゃやってられないけど、しっかり話はしたいってことだろう。何があったんだ……
サアヤの部屋に入り、お菓子の袋を開けながら再度乾杯する。
「どの話から行く?」
私は二人の顔を見て聞いた。
「とりあえず私の占い結果から小鳥に報告しとこうか」
サアヤが、最近出会った男の人を気に入ってて、ツクシちゃんにもお互いにリスペクトし合えればうまくいくかもって言われた話を聞かせた。
「そっかぁ! 頑張って」
コトリはサアヤにエールを飛ばし、一本目を飲み干した。
「で? どうした?」
私とサアヤはコトリを促した。
「……結婚してくださいって言われた」
「えっ、いきなり?」
「『結婚を前提に』お付き合いじゃなくて?」
「うん。いきなり結婚」
「で? で?」
「考えさせてくださいって言って帰ってきた」
彼の残業後、電車で夜景が綺麗に見える公園まで連れていかれ、プロポーズをされたそうだ。ドライブデートですらなかった。
コトリはどちらかというと恋愛脳じゃない。だから冷静に、ちゃんと聞いたそうだ。
「どうしてお付き合いじゃなくていきなり結婚なんですか?」
と。で、帰ってきた答えが、
「母に好きなら早く結婚を申し込んだほうがいいと言われて」
だそうだ。これは……マザコンなのか? 普通のアドバイスとも取れる微妙なライン。
「母子家庭なの?」
「なんか聞けなくて聞いてない」
「花束とか指輪は?」
「それはなかった。良かった」
「私はどんな性癖かわからない男とは結婚できんけどな!」
サアヤが言う。私もそう思う。私みたいになったら大変!
「金銭感覚、様々な事柄に関する価値観、ちゃんと付き合って、擦り合わせていかないとねぇ」
私とサアヤはとにかく普通に付き合うことを勧めた。コトリが前から彼の仕事ぶりや真面目さを尊敬していたのは確かだし。
「そうだよね。近々話し合ってみる」
そんな感じでコトリの話も落ち着いた。
「んでー?」
サアヤが私に向かって聞いてきた。
「ツクシちゃんが何か面白そうなこと言ってたよね? 私たち聴いてないんだけどー」
「なになに?」
「イチゴ、昨日もあの喫茶店行ってたらしいよ、オトコノヒトト」
「変な言い方しないでよ。今日それを話したかったのに、ほとんど三人揃わなかったからさ」
「彼氏できたの?」
「違う違う。全然そんなんじゃないの」
私は、これまでの彼とのやりとりやツクシちゃんの前世のお見立てを話した。
それを聞いて、コトリとサアヤはゲラゲラ笑っていた。
「そんなことある? 国を救った女と女性たちを救った男だよ。もしかしてイチゴの会社ってものすごい徳を積んでるんじゃない?」
「運命じゃないの? 付き合ってみたら」
言いたい放題だ。
「そんなんじゃないの。同僚としてはいいやつなんだ。仕事もできるし」
「対決してみてほしいなあ。どっちが勝つのか」
「やめてよ、マジで。抱きたくなんかないとか言われちゃってんのよこっちは」
「それは酷いね」
「私だって、万が一負けてあいつにカラダでご奉仕なんて絶対にイヤ」
今のところ、数少ない対等に接することのできる男性だ。適度な友情をもって働きたいものだ。
私たちは急に三人とも周りがバタついてきたことを喜び、お互いベストを尽くそうと誓い合った。私だけ、毛色が違うバタつきかただなぁと思ったけど黙っておいた。