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あのあと警察の人から詳しい話を聞いた。

父は車で三人家族を轢き殺したらしい。

動機は”幸せそうな三人家族を見てイライラしたから”だって。

父が逮捕されたことに喜びも悲しみもなかった。ただ、できるならまた、母さんはいなくとも

三人だけでもあの幸せな日々に戻りたかった。

でももう無理だ。なぜなら弟は”自殺”してしまったから。

学校の屋上から飛び降りたらしい。このことで父さんは虐待の罪も追加された。

学校に行かせなければよかった。一人にさせるべきじゃなかった。

どうして、どうして、どうして。

弟はどうして一人で逝ってしまったのか。私はどうして弟を一人にしてしまったのか。

ただただ、後悔が押し寄せる。

毎日のように泣いた。もうこれ以上涙なんかでないんじゃないかと思うほどに。

そしてある日、本当に涙が出なくなった。でも、それと同時に感情までなくなってしまったようだった。

何を見ても、何をしても面白くない。幸せだったあの日々を思い出せない。

笑うってどうやるんだっけ。

ただ、家族がいなくなって変わったのは私自身だけではなかった。


ある日、ゴミが溜まってきたので外に出るとどこからか声が聞こえてきた。


〈あの家のお父さん他の家族を殺して捕まったんですって。〉

[まぁ。そうなんですか?確かあの家って子供が二人いたわよね?]

〈そうそう!それで、弟さんとお姉さんがいるんだけどね、弟さん飛び降りて亡くなったらしいわよ。〉

[そうなんですか!?それはお姉さんのほうがかわいそうね…。]

〈でも犯罪者の娘よ?あの家にはなるべく近づきたくないわ…。〉


私の住んでいる地域はすごく狭い。

地域内であれば些細な噂でも過ぎに広まってる。

そんな地域で私は”犯罪者の娘”というレッテルを貼られた。

これでは、学校にも噂が広まっていると思った私はそれから学校にいけなくなった。

でも、月イチで家庭訪問に来る先生に「みんな待っているから、来てみない?」と言われ、

行ってみることにした。最初は「私を待っている人なんていない。」と思っていたが、

どうしても先生の言葉を信じたかった。何もかも失って、私が頼れるのはもう学校しかなかった。

でも、やっぱり間違ってた。

教室に入ると一斉に目線がこちらに向けられ、さっきまで扉越しでもうるさかった教室に

ヒソヒソとした声だけが響く。

そして、ある陽キャの男子が言った。


犯罪者の子供のくせに学校に来んなよ。


違う違う違う違う違う違う。何も知らないくせに。

教室では「犯罪者」と何度も繰り返される。

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。


「黙って!」

気づけば口に出ていた。言ってしまった。

その後、すぐに教室を飛び出し、ただひたすらに走った。

耳にはまだ「犯罪者」という声が響いていた。それを振り払うようにただ走り続けた。

気づけば家の玄関に倒れ込んでいた。

もう無理だった。生きた心地がしなかった。

明日死のう。

そう思うとふと心が軽くなった。

そうと決まったときに一番最初にやったのは弟の部屋の整理だった。

弟は母がいなくなってからも唯一私を支えてくれた。まぁ、父さんと私と父さんと私と弟しかいなかったんだけど。

そんな弟の部屋がもし散らかったままだったら嫌だから荷物を整理してあげようと思った。

中に入ると意外と綺麗だった。学校に行くといったあの時にはもう決めていたのかな…。

なんて思っていたら机の上に”遺書”と書かれた手紙が置いてあった。

遺書を手に取り、読もうかどうか悩んだ。手紙にはきっと辛かったことが描いてあるはずだ。

それを改めて知ることが嫌だった。もうこれ以上間接的でも、苦しい思いをしたくなかった。

でも、弟が覚悟を決めて書いた遺書だ。これを読むことが私の姉としての義務だと思い、

手を震わせながら遺書を開く。そしてまた私は自分の行動を後悔することになる。


〜遺書〜

お姉ちゃん?この手紙ちゃんと読んでる?捨ててない?まぁそれでもいっか。

とりあえず、読んでいると信じてこの遺書を書きます。

まず最初に、ごめんなさい。たぶん許してもらえないけどごめんなさい。

それと、ありがとう。父さんから僕を守ってくれて。

学校に行きたいって言ったら優しいお姉ちゃんはきっと、良いよって言ってくれる。

それで、きっとこのことを後悔すると思う。

でも、僕がいなくなるのはお姉ちゃんのせいじゃない。

お姉ちゃんがだめだって言っても僕はいなくなることをやめなかった。

だからこのことに関してお姉ちゃんが気にすることはない。

なんて言っても気にしちゃうのがお姉ちゃんか。

お母さんの葬式の日、お姉ちゃんは泣かなかったね。

おばさんはお姉ちゃんのことを冷たいなんて言ってたけど、僕はちゃんとわかってるよ。

お母さんがいなくなって一番悲しかったのはお姉ちゃんだったって。

ただ信じたくなかったでけでしょう?当たってる?

もし当たってたらさ一つだけ言うこと聞いてくれない?

今からすっごい無責任なこと言うから先に謝っとく。ごめん。

お姉ちゃん。生きて。

僕がいなくなってきっとお父さんのやってきたことが警察にもバレると思う。

そうすればあの地獄から解放される。もう逃げなくて良いんだよ。

お姉ちゃんは頭もいいし顔も結構可愛いから生きていたら幸せになれる!

もしそうならなかったら僕が助けてあげる!

お姉ちゃんは一人じゃないよ。僕がついてる。

大好きなお姉ちゃんへ

無責任な弟より。


「大正解だよ…。」グスッ

だめだな。さっき決めたばかりなのにもう死ねない理由ができてしまった。





あとがき(?)かくの忘れてた。

過去編を書くのをもっと後にすればよかったと後悔してます…。

あと、前回の話でハートありがとうございました!




君に笑顔を。心に灯火を。

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