テラーノベル
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桜の花がひとひら。俺の肩に落ちた。
春だな、なんて思いながら空を見上げる。
薄いピンクが風に揺れて、静かに舞っていた。
茈「今年も咲いたな」
隣でいるまが呟く。
いつも通りの声。いつも通りの距離。
俺は頷いて、それからスマホの画面に目を落とした。
そこには、君がいる。
画面の向こうで笑う君は、今日も綺麗で、
遠くて、届かなくて。
桃「手を伸ばしても触れないけど、(笑」
ぽつりと零れた言葉に、いるまが「は?」って顔をする。
茈「なにそれ」
桃「別に、推しの話」
そう言うと、いるまは少しだけ目を細めて、
それ以上は何も言わなかった。
放課後、いつもみたいに並んで帰る。
特別な会話なんてない。
くだらないことで笑って、適当に時間を潰して。それでも、楽しかった。
茈「……なあ」
ふと、いるまがこっちを見る。
茈「お前さ、そいつのこと、そんなに好きなの」
桃「うん。好きだよ」
迷いなんてなかった。
だってその気持ちは、ちゃんと “恋” だったから。
桃「いるまには想像出来ないかもね(笑)」
冗談みたいに言うと、いるまは一瞬だけ黙って、
それから小さく笑った。
茈「…..ふ~ん..」
その声が、少しだけ低く聞こえた気がした。
夜、ひとりの部屋で配信を見る。
コメント欄は流れていって、
君はその中のどれにも触れない。
それでもいいと思ってた。
桃「手を伸ばしても触れないけど…」
だから、この気持ちは綺麗なままでいられる。
届かないから、壊れない。
近づけないから、失わない。
そう思ってた。
ある日。
何気ない帰り道で、
何気なく、いつも通りに話していたはずなのに。
茈「……それ、俺だよ」
いるまが、そんなことを言った。
一瞬、意味が分からなかった。
桃「なにが?」
茈「お前の推し」
冗談にしては、声が静かすぎた。
笑えなかった。
桃「……は?」
茈「だから、るま。俺」
心臓が、変な音を立てた。
違う、って思った。
違うに決まってる。
だってあの人は、触れられなくて、遠くて、
だから好きでいられて。
なのに。
目の前にいるのは、いつも隣にいる親友で。
茈「触れない距離に居るやつより」
「俺で良くね?」
違う。
違う、違う、違う、違う、違う…
チ臥甕 … 稚峩盂 、 垁菏ウ嚘 、
触れられる。
今だって、手を伸ばせば届く距離にいる。
ずっと前から。
笑って、話して、並んで帰って。
全部、触れてた。
それなのに俺は、
触れられないって思って、?
桃「それでも笑うの偉いでしょ?」
鏡の前ひとり。
意味も無い言葉をそっと口にする。
でも俺はうまく笑えなかった。
偉いわけない。
だって俺は、
同じ人を好きになって、
同じ人を好きじゃないって言って、
隣にいるのに気付かなくて、
ずっと、否定してた。
恋じゃないって。
何が本当だったのか、分からなくなる。
あの気持ちは恋だったのか。
それとも、ただの憧れだったのか。
じゃあ、隣にいた時間は?
あれは、なんだったの。
桜の花が、また舞っていた。
同じ場所。同じ季節。
なのに、何もかもが違って見える。
桃「手を伸ばしても触れないけど…、」
伸ばした手は、空を切った。
さっきまで隣に居たはずなのに、
どこにもいないみたいだった。
最初からいなかったみたいに。
桃「それでも笑うの、偉いでしょ?(笑)」
返事は、なかった。
偉くなんてなかった。
ただ、怖かっただけだ。
触れてしまえば、壊れてしまうから。
だから、
触れられないままでよかったのに。
桜の花舞う季節
心の中の言葉を、さよならを
言わなかったのは、君で。
言えなかったのは、俺で。
ねえ、
今なら分かる。
触れられないから好きだったんじゃない。
触れてしまうのが、怖かっただけだ。
だから俺は、最後まで、手を伸ばさなかった。
そして今も、
手を伸ばしても、触れられない
俺の意思と体を連れて花弁は舞った
解き放たれた様な、後悔をまとった様な。
矛盾した物も共に。
めろでぃはバトエン厨です✋🏻
分かりにくいので解説は書こうと思ってます💭
#アナログ絵多め
#LAN いるま 暇72 すち みこと こさめ
コメント
1件
【メモ&解説】 ◻︎推し様と親友が同一人物だった。 ◻︎推しへとんでもない愛を持っている 親友へは恋愛感情を抱けなかった ◻︎画面の中の彼へは触れないのに= 「手を伸ばしても触れないから」 ◻︎触れられない思い。 =「あなたの横で笑うの偉いでしょ?」 ◾︎最終的に最大の矛盾を抱え死ぬ 桜の花まう季節さよならその一言が言えず = 推し側がさよならを言えなかった (主人公のことが好きだったから) 今回「花を唄う」って言う曲パロです🙇🏻♀️❤︎