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結局、来てしまった。そう後悔してももう遅い。何故かって?もう先輩の前にいる。
「あーつっ!?ベンチ座れたもんじゃないわ笑」
わざわざ肌がよく見える水着を着ておいてこの人は何を言っているんだろう。
「って!萌ちゃん!!ラッシュガード着てくるなんて用意周到やね!!」
ほんと、五月蝿い。そんなに肌を見られたいの?じゃあわかったよ。
「先輩…海、泳がないんですか?」
先輩の態度が大嫌いだ。
「泳ぐわけないでしょ笑、萌ちゃんに会いたかっただけだよ。」
本当に嫌いだ。気持ち悪いことを平然と言うな。先輩の様子を伺いつつ、やりたくも無いことをさせられていく。周囲の人間が先輩に視線を向ける。その視線にイライラしてしまった。これだから、独占欲が強いのだ。
自分が着ていたラッシュガードを先輩の肩にかけた。驚いた先輩は目を丸くした。そういうところ鈍感で大嫌い。
「これでも着てください」
きょとんとした表情の君、ほんともどかしいな。
「…海、やめてカフェに行きませんか?」
と誘った。
気がつくと先輩は私の手を枕代わりにして仮眠していた。
「……ん。」
何で嫌いなのにここまで寄り添ってしまうんだろう。つい、心にも思っていない言葉をぽろっと紡いでしまった。
「好き…なんかな」
意地でも信じたくはない。紛れもない事実に頭を悩ませる。
その言葉を聞いて起きた先輩は
「好きなの?私のこと。」
と、質問した。何を言っているのか意味が全く掴めない。
「…大嫌いですけど?」
そう言うと、先輩は見たことの無い真面目な様子で
「私は萌香のこと大好きだけどね。」
と、恥じらいなくストレートに伝えられた。”大好き”?私のことを?しばらく頭の中が真っ白になった。
「…本気ですか?笑、冗談ですよね。知ってます笑」
「嘘に聞こえる?私、この夏は萌と過ごす気満々なんよね笑」
先輩とずっと?ストレスで病みそう!
「…心音先輩は私と違って人気者で部活だってあるんですよね。過ごせないですよね笑」
少し煽り口調で話を無理やり終わらせると、珍しく先輩は頭に血を上らせていた。
「萌…流石に傷つくよ。」
大嫌いな筈なのに謝ってしまった。
少し経って、今先輩はスマホをいじっている。しかも内容がエグいのだ。
「「私に嫉妬していたんじゃないの?__心音」」
と、連投メールが降ってくるのだ。結局、認めざるを得なかった。私は嫉妬してただけでクラスメイト、部活の仲間、家族、先生、そして友達に。酷い悪態をついてしまった。今更、送ってしまったことに後悔している。
「「好きですよ先輩のこと__萌香」」