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チチチ、チチチ、

まだ朝日すら顔を覗かせないような、そんな早朝。

大量の私物をキャリーバックの中に詰めて、あたふたする私に1番最初に挨拶を零したのは小鳥であった。

もう鳥が鳴く時間になってしまったのか?と慌てて手元の腕時計を見やるが、針が示す時間は4時半過ぎであり、まだまだ時間に余裕はありそうでほっと息をつく。

この大荷物は、何、旅行のパッキングだとか、はたまた某動画配信サービスでよく見かける推しの生誕祭の準備だとか、そういう可愛らしいものでは無い。

まず、旅行をするならば恋人や友人を誘うであろう。

これは、私ひとりで行うもの。

尚且つ、決して周りに知られてはいけないものであるのだ。

まあ、言ってしまえば正真正銘の、家出___

否、簡易的な“夜逃げ” である。

詳しく説明すれば長くなるのだが、重要なポイントだけ述べていけば、これは私の恋人兼同居人である『角名倫太郎』から逃げる為のもの、であることだけはわかって頂きたい。

元々、恋愛にさほど興味がなく、数年前、大学時代に『学年の人気者の角名くんに告白されたから付き合った』だけの淡白な私。

対して彼は束縛が強く、下手をすれば、『“私”の為だ』と言って、犯罪に手を染めかねない男だった。

だからなのか。というか薄々分かってはいたけれど、そんな私たちの足並みが揃う訳もなく彼の激重感情や束縛はエスカレートしていくばかりであった。

それに耐えきれなくなって夜逃げ….。

簡単な説明はそんなところだろうか?

___私よ、彼が起きてくるのはいつもくじを回ってからであろう?何の心配もないではないか。

不安と怯えのあまり戦慄く唇にそう鞭を浴びせる。

いつもより五感が鋭くなっている感覚がして、ちょっとした音にまで神経を研ぎ澄まさせてしまう。

キィ、と勢いよく私の沢山の私物が詰め込まれたキャリーバックが閉じる。

さあ、逃げなきゃ。

これに失敗したら、私は確実に殺される。

そう分かっているはずなのに、明らかなハイリスクだと言うのに、逃げ出すことを辞められない。辞めきれないのだ。


午前5時5分。

押し出して大きく開いたドアが、今日1番の大きな音を立てて閉まった。

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