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類「司くん…?奏さん…?……父さん…?」
司くんと姉さんの体温に囲まれながら、車は発進した。
聞いてもいいのだろうか?なんで、どうして、あなたが。とても、聞ける雰囲気では無い。姉さんと司くんは、僕に体重を預けているし、奏さんと父さんは表情が見えない。…これは、どういうことなのだろうか。少なくとも、衝動的に事を起こした訳では無いようだった。
一周回って冷静になった頭で、考える。
司「全て終わったら、ショーをしよう。その台本の、類が考えた演出で。」
司くんが、壊れものを扱うように、類が持っている台本の背表紙を撫でた。僕は、返事の代わりに、頷く代わりに、司くんの手の上に、自身の手を被せた。
オレは、台本のテープ部分…凹凸に触れた。そして、類はこの状況を問い詰めるのを、一度諦めた様子だ。目を閉じている。
沈黙の時間が終わり、アパートの前に車が止まった。
司「類、降りるぞ」
色々な意味を込めて、類に手を差し出した。
類は、きちんとそれを汲み取った様で、迷う様に瞳を忙しなく動かす。
まだ、怖いのか。
まあ、仕方がないか。まふゆの手を取ることすら、きっと相当な勇気を出したろうから。
今は、オレが。
手を差し出すことを辞め、出しあぐねていた類の手を取った。証明しなければ。オレはお前の手を取ることを迷わないぞ、と。
類「…司くん」
類の手に、力が込められた気がした。
類「ありがとう」
久しぶりに、類の笑う姿を見た。ああ、類はやはりオレを驚かせる。
アパートの部屋に戻ったまふゆたち。類は、まふゆと司に座らされた簡易的な椅子に座って、父さんを見ていた。
類「…もう、聞いても良いよね」
誰に何を、とは言わなかった。ただ、1人を見ていた。
朝比奈父「…ああ」
類「姉さん達が動いてくれてたのは前々から知ってた。けれど…なんで、あなたが…父さんが?」
父さんは、類を撫でようとして、手を降ろした。
朝比奈父「この子らに、気付かされたんだ。」
父さんは、膝を付いて類と目線を合わせた。
朝比奈父「私はずっと類を犠牲に回る家庭が…この家庭とも呼べない家庭が惜しくて…世間体を気にして、逃げていた。」
その告白を、類は否定しなかった。否定も肯定も、拒絶も受容も、しなかった。ただ、耳を傾けていた。
朝比奈父「まふゆが、逃げるなと言ってくれたから。3人がまだやり直せると言ってくれたから。」
既に、許されようともしていない。ただ、伝えたかった。
朝比奈父「だから、今私はここに居る。…今まですまなかったな」
父さんは、類の頭を撫でた。ずっとこうしたかった。いつしか、その願いすら忘れ去ってしまっていたが、確かにそう想っていた。
#兄弟パロ
かの
456
#暁山瑞希
ねる
722
101
今まで、頭を撫でるという行為は、類の中では特段意味の無い行動だった。それが、今塗り替わった。暖かい、優しい、それを、実感した。
類の頬に、また雫が伝った。
類(涙脆くなってるみたいだ…)
母親の傀儡人形となり、自分の感情を諦めた、あの頃の類は居ない。生きているけど、殺さない。癒えない傷として、付き合っていく。
でも今は。
感情表現が少しだけ苦手な、無垢な少年だった。
コメント
3件

一気読みしちゃった… レム聴きながら読んだら余計に涙が…!!
えっとね…もう、この回…泣いちゃったよ😭💕 類くんの戸惑いと、それでも受け入れようとする優しさが伝わってきて胸がぎゅーってなったよ…。特に「生きているけど、♡♡♡ない」のところがすごく刺さった。あと司くんが手を差し出すのをやめて、代わりに類の手を掴むシーン…!あれ、もう最高のキュンだったよ…🥺✨ お父さんが膝ついて謝るところも、類の子どもみたいな涙も、全部が尊すぎて言葉にならないよ…!続きが気になりすぎる〜!!🌸