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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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『…近いです』


「聞こえねェな」


『すっごい至近距離ですよ私達』


マシュマロみたいな白くてふかふかのベッドの上に2人一緒に倒れ込むように寝転ぶ。酒の零れたシミや煙草の跡が一つもない綺麗なベッドを初めて見て、つい感嘆の声がもれる。

今日一日だけなのに初めての経験がとても多く、見慣れない世界に妙に落ちつかない。


『…離してください』


「聞こえねェって」


もう少しだけこのベッドを体全体で機能したいのだが、前からイザナさんに抱え込む様に抱きしめられていて、身動きが出来ない。心なしかさっきよりもずっと強く力を込められているような気がする。体全体がミシミシと軋んだ悲鳴を上げる。


「…はぁぁぁぁぁ、好き」


イザナさんはそう呼吸を忘れていたかのように大きく息を吸うと、いつものように好きの2文字を吐き出すように呟く。

何日経ってもイザナさんの言うこの“好き”の真意は分からない。哀れみから出た同情の言葉なのか。それとも本当に好きなのか。


『…分かんないなぁ』


イザナさんの腕の中で顔を俯かせ、苦笑混じりに誰にも聞こえないほどの小さい声で呟く。

どちらにせよ、イザナさんの気持ちは分からない。それ以上考えてもし真実を知ってしまったらと考えると何何故だが怖くなり、思考の箱にふたを閉める。

そして次に来るのはあの鶴蝶さんが話していた“殺人”の話。話をする、なんて言ったのに何もできていない。自分の不甲斐なさに胸を打たれる。

ふと頭上に居るイザナさんはさっきからずっと黙ったままの事に気づく。もう眠ってしまったのだろうか。抱き締められた腕が耳を塞いでいるせいで周りの音が聞こえづらい。動くたびに髪の毛や服が掠る音だけが大きく鼓膜に響く。

私も眠ろうかな、と瞼を閉じて眠気が来るのを待つ。だが、まだ初めての場所に来たという興奮が体から抜けきっていないのか無意識に閉じた瞼をすぐに開き、モゾモゾと身体を動かして自ら眠気から自分を遠のけてしまう。


「……寝れねェの?」


『わっ!?』


その時、急にイザナさんの声が頭上から降ってき、ついびくりと大袈裟なほどに体を大きく震えさせ、大きな声を上げてしまう。

『お、起こしましたか…?』


「いや起きてた。オレ車ン中でずっと寝てたし」


その言葉に確かにあれだけ寝ていたらいまさら眠れないだろう、と納得の声を零す。

するとイザナさんは何を思ったのかいきなり私を抱きしめた体制のままくるりと体を器用に起き上がらせベットの上に座り込む。そのままジッと私の顔を覗いてくる。


『な、なんですか……』


穴が開くほどジッと見つめられる。そして何よりイザナさんの顔がお互いの鼻先がくっつきそうな程近くで見え、つい焦った声色の声が飛び出してくる。


「…今日はずっと起きとくか」


夜更かし、いたずらっ子の様な楽しそうな笑みを浮かべたイザナさんは耳が落ちてしまうほどの酷く甘い声でそう言う。

『よふかし……』


言葉を覚えたての幼児の様にたどたどしい口調でイザナさんの言った言葉を繰り返す。その途端、妙に弾んだ気持ちを覚える。

多分、今私はワクワクしている。楽しい情が胸の中で沸きあがって来るのを微かに感じながらそう思う。


『夜更かし、したいです』


興奮を抑える様に一度大きく息を吸い、いつもよりずっと明るさを含んだ声でそう答える。

「ン、決まり。」


ぞっとするほど愛嬌のある笑窪を寄せながら笑みを作るとイザナさんはそう返事をし、私を抱きしめていた手を緩める。すきあり、と緩まれたその一瞬のうちにイザナさんの手を素早くほどき、ベッドの上へ腰を下ろす。


「…なんで離れンだよ」


『まだ至近距離に入りますよ』


不貞腐れたようなイザナさんの声を聞きながら、インクをぶちまけたように黒く染まる夜の空が視界の端に映る。

日付が後もうすぐで変わろうとしている時計を見つめながら、私たちは眠気がやって来るまで2人で夜更かしをするになった。






明日、修学旅行行ってきます✌️

しばらく投稿出来ませんが、帰り次第頑張って投稿しますので……🥺

あとこの場を借りて言わせてもらいます。

2000もいいねありがとうございます😭💕

フォロワー様もいつの間にか20人を超えていてびっくりしすぎて全身の毛穴から血が噴き出しました。

閲覧人数も100人を超えているしでもう感謝ともっと増えてほしいなというよくしかありません。本当にありがとうございます。嬉しすぎてカーテン引き千切りました。

もう完結に近いこの作品ですがどうか飽きず、末永くよろしくお願いいたします🙏💞



黒透。

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