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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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『イザナさんの特技って何ですか』
夜の暗さが深まる、ド深夜のとあるホテルのとある一室では軽い自己紹介タイムが始まっていた。誘拐犯とその被害者少女の、という酷く歪な関係性の。


「人の大事なモン壊すこと」


『私はアリの巣破壊することですかね。あ、ミミズの巣も破壊出来ますよ。』


「オマエすげェな。」


イザナさんの人間離れした特技をスルーしたことか、私の特技かどっちに対してなのか分からない呆気にとられたイザナさんの呟きが耳に入り込んで来る。

部屋の隅にある時計の針はもうとっくの前に12の数字を通り過ぎており、コクコクと固い音を鳴らしながら今度は深夜の3時を示そうとしているのが見えた。結構な時間がたったにも関わらず、目は冴えたままで眠気は一向にやってこない。心の中ではイザナさんの事を知れる絶好なチャンスだと思いを弾ませていた。


『…そういえば今何日なんですか?』


ふと気になり、そう質問を零す。

もう誘拐されてから何ヶ月もたった気がする。この不思議でぐちゃぐちゃ歪んだ日々を脳は勝手に“当たり前”と認識し、体に染み込ませていく。


「2月21日…いや日ィ明けたから22日か。」


『2月22日…』


本当に随分と時が経っていたんだな、としみじみ思いながら言葉を零す。自分でもどういう気持ちを滲ませたのか分からないほど色のない無に近い声だった。

─なんだか胸がざわざわする。

良くないことが起きそうだ、という根拠も確証も無い薄っぺらい予感がじわりと胸に広がる。不穏、という言葉が正しいだろう。そんな胸騒ぎが息を詰まらせる。

烈しい胸騒ぎと不安とを感じる私と反対にイザナさんは何かを思い出したかのように「あ」と言葉を零し、口を開く。


「明日オレ早朝に出掛けるから、ここで待っとけよ。」


『うそでしょ、じゃあ寝ましょう。今すぐ寝ましょう。』


イザナさんの声に慌てて時計へ目をやると、時計の分針はもうすぐ4時に到着しそうな微妙なところでカチッと小さな音を出して進んでいた。4時となれば早朝なんてあっという間、流石にこのままずっと起き続けるのはまずいだろう。そう焦りが来るとともにさっきまで感じていたあの苦しくなるほどの嫌な予感はもう綺麗さっぱりと私の心の中から消え去っていく。


「大丈夫、オレ眠くねェから。」


『えー………』


そういう問題なのだろうか。

低く唸りながら頭を悩ませる私をイザナさんはうっとりと法悦の笑みを浮かべながら見つめる。甘い視線が体に突き刺さり精神的な意味で痛い。


「……あのさ、ずっと思ってたこと1つ言っていい?」


『な、なんですか…?』


甘い表情を浮かべていたイザナさんにいきなりそう真剣さを含んだ声で言われ、緊張で声と表情を強張らせる。

何か変なことしちゃったかな、と強い緊張感が大きな波となってこみ上げる。


「○○がオレと同じ匂いするのってなんか…クるね。好き。」


『なにがですか?』


想像の斜め上を言った回答に、心配して損した、とあからさまに眉をしかめて酷く憂鬱そうな顔をする。当の本人は嬉しそうにニコニコと先ほどと同じような甘い笑みを浮かべ、変わらず私を見つめ続ける。なんなんだこの人は。


『……もう私寝ます、おやすみなさい』


謎の羞恥心がいきなりグッと込み上げてきて、全身の血が集中攻撃してきて真っ赤になった顔を隠すようにイザナさんから反対側へ向きベッドに体を沈める。


「…なんか顔赤くねェ?」


ウケる、とケラケラと背中越しに聞こえてくる喉の奥から押し出されるような笑い声にさらに頬が紅潮してくる。羞恥の念がどんどん高まっていき耳たぶまで真っ赤に染まる。


「超赤いじゃん、可愛い。」


『もうマジで黙ってください………』


絞り出すようにそう呟き、勢いよく感触の良い布団を頭までかぶる。

おかしい。

前までこんな感情にならなかったのに。

身を切り刻むような困惑と恥ずかしさの雨が止まない。心臓の音が雨音のように耳に引っ付いてくる。


「なぁ、顔見せろよ。」


グイグイと頭の上で布団が無理やり引っ張られる。精一杯抵抗するが、所詮は男女の力。

差を見せつけられ、一瞬で布団が体から取り上げられる。

そうすると当然、私の顔が彼に見られるわけで。


「…はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


林檎のように赤くなった私を視界に移した途端、魂も一緒に抜け出ていきそうなほど深いため息を零すイザナさんは自身の体を無理やり起き上がらせ自身の腕に閉じ込める。


「なんで顔赤いンだよ、照れてンのか?…くそ可愛い」


『生理現象ですもん……』


うわぁもう絶対まだ顔赤い、とヒリヒリと痛いような恥ずかしさに涙目になる。まさかこんな顔から火の出るような思いをするなんて。


「…○○大好き」


あ、ほらまた赤くなった。


本当、どうしたんだろう、私。そう不安の影が脳裏に留まる。

好きなんて今に始まったことじゃない。見つめられるのも、抱きしめられるのも。

相手は誘拐犯だ。心ではそう分かっているのに。



「離さないから」





縋ってしまうんだ。






ただいま!!

修学旅行行ってきました!!🤟💞

広島に行ってきたんですけどもうほんと楽しすぎて友達と一緒に深夜にマイキーの真似してました。深夜テンションです。

二日ぶりの小説どうでしょうか、衰えてないでしょうか……?

私はフォロワー様増えてるしいいねすごいしコメント貰えるしですすごい驚きました、もうカーテン引き千切りしぎていくつあっても足りません。

これからも皆様の期待に応えられるよう頑張ります!!!🥺🥺🥺

ぜひいいね、コメント、フォローしていってください🙏💕

黒透。

約 束 【黒川イザナ】

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