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◇◇◇◇◇
国王様とお話しさせていただいてたところ、どうもあるモンスターの討伐依頼が招待された目的のようです。
「ここから北に行ったラキ山の頂上に封印されていたレアモンスター、通称『死神』が活動を再開しているのだ。
今までも国内の冒険者に依頼はしているのだが、討伐に至っていない。
そこで、その討伐を黒の軍団にも依頼したいのだが、受けてはくれまいか?
ちなみに討伐の褒賞は爵位と報奨金10億Gとなっておる。」
「あのー、モンスター討伐としては破格の褒賞はなんですが、理由はなんですか?。」
「そうじゃの。破格じゃな。
だが、死神にたどり着く前に、ものすごい数のスケルトンナイトというモンスターがおってな。
これを突破するのが、容易ではないのだ。
難易度が高く褒賞も上がっておる。」
「それで被害が大きくなっているのですね。」
「いや。まだ、被害はそれほど出ていないのじゃ。
なので討伐の大義は将来の国難の除去ということにしている。
表向きはな。」
「表向きですか?」
「そう。黒の軍団はエマ殿も参加されているので正直に話すが、本当の目的は別にある。
エマ殿!マリアは知っておるの?」
「はい、第一王女のマリア様ですよね。
同い年で仲良くしていただいたので。」
「そうじゃ。そのマリアだが、ある呪いによって普通に生活できぬ状態なのじゃよ。
これは鑑定によって分かったことなのだが、死神が関わっておる。
解呪できなければ、あとわずかなのじゃよ。
日に日に弱っていてな。
解呪の方法は不明なんだが、とにかく、死神を討伐すれば解呪できるのではないかと考えていての。」
「その死神が呪いをかけたということですね。
どういうモンスターなんですか?」
「詳しくはわからん。
そこまでたどり着いた者はおったのかもしれんが戻ってこぬ。
ただ、文献によると大鎌を武器にしており、BPも高く、呪術による状態異常を併用してくるので、BPの低い者が大挙したところでどうしようもないんじゃ。
そういう意味で国軍の派遣も失敗しておる。
これは因縁なのじゃよ。
死神を封印したのが我々の先祖なんじゃよ。
だから、国に文献が残っておる。
ただし、どうやって封印したのかは不明。
かつ、現在では封印できる術を持っておらん。」
「そうなんですね。
僕たちもカラーズですが、なったばかりなのでお役に立てるかわかりません。」
「お頭!?」
「分かってる。
でも、やれるだけやってみます!
みんな!いいか?」
「「「「承知!!♡☆」」」」
『ええとこ、あるやないかい!』
なかま以外には聞こえないように、ガグヤ様がつぶやく。同意ってことやな!
「ありがとう!マサユメ殿は、漢気があるな。
いやー、引き受けてくれてありがとう!
ここでの話は、他言無用で頼む。
このあと、エマ殿にはマリアにあってやってくれ!あの子も喜ぶと思うんでな。
ニコラス!マリアのところに案内してやってくれるか?」
「はい、承知しました!
それじゃ、行きましょうか?」
僕たち黒の軍団は、ニコラスさんに付いてマリアさんの部屋まで来ている。
「マリア、入るぞ!」
「あ、兄上。どうしたんですか?」
「今日は珍しい人が来たんで、お前に合わせたいと思ってな。
カナール皇国のエマ殿だ。」
「お久しぶりです。マリア!」
「え?エマ!懐かしいわ。
ありがとう!会いに来てくれて!
ここに来たってことは、もう私のことは聞いてると思うんだけど……今日はすごく調子が良かったのよ!
エマが来てくれたからかも!ふふふ。」
「私もまたこうして会えて嬉しいですわ。
でも、マリアのことはちょっと複雑。」
「うん……。どうしてこうなったのか。
ずっと、すごく落ち込んでたの。
でも、最近はもう落ち込まないし、期待もしてない。
私の人生はこういう人生なんだなって。
外に行くことも、もうできないしね……。」
「マリア!私の国でもいろいろあってね。
私も一度、死にかけたのよ。
襲撃にあって、逃亡して、遭難して、食べ物も無くなって、ずっと、隠れるしかなくて、何日も経って、このまま死ぬんだと思ったの。
その時に助けてくれたのが、ここにいるお頭と黒の軍団だったんだけどね。
だから、マリアの気持ちはわかる。
絶望から無気力になったもの。
でも、それ以外の感情も知ってる。
今はそれしか言えないけど。」
「マリア!こちらの方たちは、エマ殿のなかまの黒の軍団だよ。
お前も噂は聞いただろう。
私もエマ殿が黒の軍団だったのは驚いたがね。
今回、彼らが死神討伐の依頼を受けてくれた。」
「はじめまして、マリア様。
黒の軍団で頭領のユメと申します。
僕たちも自慢できるほど、強くはないので、期待してください!とはとても言えないのですが、できる限り、足掻いてみようと思います。
だから、僕たちの帰りを待っていて欲しいです。
それしか言えませんが……。」
そのあと、長い間沈黙が続いた。
「すいません。今日はもう休みます。
なんだか、疲れたみたい。」
ニコラスさんと部屋を出た。
「すまなかったね。
急に体調が悪くなったのかもしれないな。」
「いえ、こちらこそ。申し訳ないです。」
「エマ殿もありがとう。」
「いえ、でも心配ですね。」
それから、部屋の中からマリアの泣き声が聞こえてくるのだった。
僕も胸が締め付けられる想いで、それを聞いていた。
◇◇◇◇◇