テラーノベル
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藤澤 side …
網戸から入ってきた少し冷たい秋の風が髪を靡かせる。視界の端でカーテンが揺れているのが分かる。
元貴と若井の秘密の関係に気づいてしまってから、1週間ほど経った。なんだかあの日から2人に合わせる顔がなくて、仮病を使って仕事を休んでいた。まぁ、仕事と言っても僕の収録はもう終わってるし、あとは特に僕が関わらなくても進む作業だし。小さくため息を吐きながら、外の景色に目をやる。いつの間にか時間は過ぎていて、昼時で街は徐々に賑やかになっていた。
「…今頃お昼休みかな」
大きくため息をついてソファに寝転がる。そういえば最近お腹減らないな。1日1食か2食みたいな生活になってきてる。そんなくだらないことを考えていると、机の上に置いてあるスマホから通知音が鳴った。俺はスマホを取り画面を見てみると、通知は元貴からのものだった。
『風邪大丈夫?最近ずっと休んでる』
そっか、俺風邪を仮病にしてたのか。自分勝手に落ち込んで、嘘をついて周りを心配させている自分に嫌気がさした。しかも、”心配して貰ってる”と内心胸を高鳴らせる自分もいた。本当に、我ながら最低最悪だ。
『大丈夫だよ!心配してくれてありがとう』
そう返すとすぐに既読がつき、元貴はなんのスタンプかはよく分からないが、「お大事に」とキャラクターのスタンプを送ってきた。俺はスマホを閉じ、深くため息をついた。
「…ほんと、何やってんだろ」
未だに、あの日見てしまった光景が脳内にくっきりと残っている。2人の耳を鮮やかに彩ったあの日元貴が買っていたイヤリングも、2人のあの幸せそうな笑顔も、全部。そりゃ、元貴だって恋愛はするさ。僕が元貴を好きみたいに、元貴だって人を愛する権利がある。なのに、なんで?
なんで若井を選んだの?
そう、この事実が僕はどうにも受け止められなかった。もし相手は僕が知らない人だったら、女性だったら、少しは楽だったのかな。1番僕の身近にいて、1番僕と比べられる人間、それが若井だ。
「…あ゛あ゛あ゛あ゛ッ、!!」
爪を立て、自身の首を掻きむしる。全部辞めちゃいたい。全部忘れたい。言葉にならない物がお腹の奥から溢れ出てくるこの感覚。心の奥底が焼かれるようにジワジワと痛くて、悲しいのか、怒っているのかなんてさっぱり分からなかった。
今まで僕が元貴に注いできたあの時間、愛情。あれは全部無駄だったの?全部無かったことにされていたの?若井の方が愛をもっと注いでいたの?
「どうしてッ、?なんでなんだよッ゛、!!泣」
大粒の涙が視界を奪う。
ねぇ、元貴。
「あの時、どうして君は笑ってたのッ…?」
頭に残る疑問は、全て僕と二人きりの時の君の笑顔についてだった。
かなり更新遅くなってました…😅
涼ちゃんただいまどん底ですけど、
こっからどのように巻き返していくのか、
めちゃくちゃ楽しみです😾❤️🔥
ではまた次のお話で^^
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コメント
4件
ここからやっとあの涼ちゃんが...🥹
巻き返せ!巻き返すんだ!涼ちゃん!!((デモモトパニハシアワセニナッテホシイトンダヨクバリサンデスッイェイ!