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「素敵な絵だね。これを買いたいんだが、いいかね?」
「もちろんです。わざわざ海外まで個展にお越し下さり、ご購入まで。社長には本当に感謝しています」
「今度、我が社のロビーに君の絵を飾りたいんだが、もっと壮大な風景画を描いてもらえないかな?」
「まあ、本当ですか? 私の絵で良ければ、ぜひご期待にお応えしたいです」
「ありがとう。君の風景画はどれも素晴らしい。この才能をたくさんの人に見てもらうべきだ」
私の絵に、信じられないくらいの金額をつけて下さる買い手の方が、少しずつ増えてきた。
日本でも、テレビや雑誌などで紹介してもらう機会に恵まれ、本格的に画家としての道を歩み始めている。
新しいアトリエを海外に構え、1人で絵を描くことに没頭しているせいか、あんなにいたボーイフレンド達もいつしか誰もいなくなって。
でも、不思議だけど……すごく充実してる。
大好きな絵を描いている時が、1番幸せだから。
『お母様、見て見て~』
『まあ、麗華、なんて素敵な絵なの。お庭のお花を描いたのね』
『うん。お母様のお顔も描いてあげる』
『あらあら、私を描いてくれるの? 嬉しいわね。麗華の絵は本当に上手だから、みんなに見てもらえるといいわね』
お母様の優しいお顔。
優しい声、優しい言葉。
今でも全部覚えてる。
大好きなお母様……
ずっと心配かけてごめんなさい、新しいお母さんや彩葉さんに冷たくしちゃって……
でも、今は彩葉さんと連絡したりして、今度個展にも来てくれるのよ。
これからは、少しずつ距離を縮めていけるようにしたいと思ってる。
私、画家として必ず成功してみせる。
1枚1枚、心を込めて大好きな絵を描き続け、全部の絵をお母様に褒めてもらいたい。
「麗華、とっても上手に描けたわね」って……そう言って微笑んでもらえるように。
だから、ずっとずっと見守っててね。
約束よ、大好きで、大切なお母様。