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葉月さん優しすぎる…😭こんな人と仲良くなりたい✨
『俺は何があっても、この人と結婚します。』
王子が白薔薇を持ち、ヒロイン、谷川さんのそばに行き、
『この花を渡すのは、あなたがいい、あなたしか居ない。どうか、僕と結婚してくれませんか。』
あ、これ、アドリブだ。
この人、ちょこちょこアドリブ交えてる。
しかもそのアドリブもプロ並みにうまい。
この人、何者、?
『は、はい。』
本当はアドリブ前にヒロインにキスを落とすシーンで私は泣き叫ぶように崩れ落ちるけど、この雰囲気ではそんなシーンではないな。
そして私は静かに膝から崩れ落ちる。
「すげえ、」
「今年は優勝間違いなしだろ、これ。」
ふう、何とか問題なく終わった。
今回はセリフ飛ぶことも無かった。昨日たくさん練習した甲斐があった。
「凄かったね。さすが女優。」
こ、この声は、
恐る恐る後ろを振り向くと、えっと、琴世くん?だっけ、琴世くんがニコッとした表情でそう褒めてくれた。
演技中は、本当に王子様みたいな声色や表情だったのに、いつもの琴世くんだ。
「えっと、あ、ありがとうございます、」
うぅ、やっぱり何考えてるか分からないなぁ、
「俺の急なアドリブに対応出来てたの凄いよ。やっぱり売れる理由って顔だけじゃないんだな」
何が言いたいんだろう、この人。
「ち、ちょっと!琴世颯太!あんま葉月に近づかないで!」
み、美咲ちゃん、!
心なしか、手が震えているように感じる。
もしかして、私を助けようとしてくれてるのかな、
「だ、大丈夫だ…」
「あ?あぁ、君か。えっと、たしか、白雪葉月の金魚のフン、だっけ。なんの用?」
大丈夫だよと言おうとした途中で琴世くんがそう冷たい目で美咲ちゃんにそう言った。
ひ、酷い…
「どーせ金とか『女優の友達』みたいな目的でついて行ってるだけだろ。やっぱ女子って怖…」
「やめてください…」
聞き捨てならない…
「美咲ちゃんはそんな人じゃないです。女優の白雪葉月じゃなくて、普通の白雪葉月として最初から私とお友達でいてくれている人です。貴方にそんなこと言われる筋合いは無いです。」
「葉月…」
「そんなのわかんないじゃん?君の前ではそーやって普通に接してるかもだけど、裏では最悪なことしてるかもねぇ」
「そんなわけないじゃ無いですか…!」
「俺はそう思うけどねぇ、だって」
「少なくとも、あなたより私の方が美咲ちゃんと一緒にいます。私、分かるんです。そういう人は。言葉や行動でなんとなく察せるんです。でも、美咲ちゃんは違う。」
私の目から大粒の涙が零れる。
「え、な、泣くなって、悪かったから、」
そう私に言った琴世くん。
「謝る人が違います!美咲ちゃんに謝って下さい!!」
そう言うと、琴世くんは肩をビクッとして美咲ちゃんの方向を向いた。
「勝手に変な偏見言ってごめん、」
良かった、
ちゃんと謝ってくれて。
安心したのか、ガクッと膝から崩れ落ちた。
あ、あれ、足に力が入らない。
そうすると、美咲ちゃんが私の腕を掴んだ。
「先生、保健室連れていきます」
美咲ちゃん、
「お、おう、行ってこい」
「美咲ちゃ、」
「葉月、行こ。」
少し力強く腕を引っ張り、保健室とは反対の道へと進んで行った。