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沙耶は、朝から夜まで、美奈と翔太に振り回された。
朝食は、沙耶と恵子が用意する。
食パンとミルクとヨーグルト。たまにバナナが出てくる。
作るというほどではないが、忙しい朝には十分だ。
だが美奈は、気に入らない。
「たんぱく質が足りないわ。玉子とベーコン。サラダも付けて」
「週に２回は米飯（ごはん）にして。お粥でもいいけど」
「翔太は、育ち盛りの伸び盛り。朝食が一番大事なの」
「それなら自分で作りなさい」と恵子が言うと、
「私は離婚鬱（りこんうつ）なの。何もできないわ」と２階に上がる。
昼食は「簡単なものでいいから」と恵子に作らせる。
夕食は「できたら呼んでね」と２階で待っている。
後片付けも掃除も洗濯も「離婚鬱で できない」と拒否する。
確かに、離婚が原因で鬱が発症する人は、男女共にいる。
それは沙耶にも理解できる。
だが本当なのか？
美奈は［ゴミ捨て］すら「離婚鬱でできない」と言うが、
着飾って一人で出掛けることも多い。
診察や治療を受けた形跡はない。
土曜日の午後。
「学校で話題だから、観ないと翔太が仲間外れになるでしょ。
映画代と食事代。タクシー代とで２万円ちょうだい」
恵子から金を貰って、美奈と翔太は映画館に行った。
友也は今日も接待ゴルフだ。
最近、家にいる時間が減っている。
（友也の姉と甥なのに！）
沙耶の不満は、どんどん溜り始めた。
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