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※本作は、前垢にて投稿していた《拝啓、本当の幸せを求める君へ_。》という作品を元に作成しています。(こちらはリメイク版です。)
↑リメイク前を観たい方は、こちらの方を検索してご覧ください。
(小説の中で、暴言等の要素を含みます。しかし、作者はこれらを肯定したり、助長したりなどの意図は一切ございません。)
今回は暴力的な表現はないですが、流血表現を含みます。ご注意ください。
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一夜が明け、まだ日が昇りきっていない早朝。ランダ達は、一度近場の洞窟を仮拠点とし、敵達がが落としていったチップを、キュウメイに調べてもらっていた。
「待ってね……もう少しで100%ハッキングできるから」
キュウメイが慎重に端末を操作すると、淡い光と共にデータが浮き出てきた。
びっしりと並ぶ文章と、古代文明の事について描いてある壁画が映し出される。
「……これでオッケーかな?こんな感じのデータが出てきたよ。 おそらく、これは「闇市で出回ってる」と噂になっていたデータだね…私も初めて見たよ」
ランダは解読しようと文字を端から読んでいくが、どれも見たことない文字ばかりで、読むのは不可能中の不可能だった。
「……何だこれ…古代文字?いかにも闇市で出回ってそうなデータだね……」
「……マ ジ でな に こ れ ???全体的にに見たらさ、王冠みたいなのについて詳しく書かれてるっぽくない?う〜ん……」
怪奇な顔でデータを見るランダ一行。映し出されたデータは、全て王冠みたいなものについてまとめてあった。
「……もしかしたら、これは《ソルーンクラウン》の事について書いてあるのかもしれないね……。」
「…あの…ソルーンクラウンって…?」
「ソルーンクラウンは、莫大な負の力と引き換えに、強大な力を授けると言われている、いわゆる《破滅の王冠》だ。非常にまずい事になったかもしれない。破滅の王冠が悪の手に渡れば、何を好き勝手されるかが全く読めなくなる。」
「……って事は今、世紀末みたいな状況…え本当に世紀末じゃない???まずくない!?!?」
「ランダさんの言う通りだよ。世紀末同然だ。……あ、そうそう。一つ確認しておきたいことがあったんだった。 ランダさん、君達があった連中の名前は…」
「えっ、何だっけ…えっと確か…」
ランダが思い出せずにいると、すっと後ろからナビるんが答えた。
「僕も記憶が疎かなんですけど……確か《ヴァルキューレ》と名乗っていました。世界征服する〜とかペラペラ目的話してましたね……後、ランダが厨二病臭いとか言ってた気が」
「……え??俺そんな事言ってた??」
「言ってたぞ」
「ヴァルキューレ…世界征服…ソルーンクラウン…何か関係がありそうだね、詳しく調べておくよ。 君達は引き続きリヨさんの行方を追ってくれ」
「はい。宜しくお願いします、師匠」
羽衣がそう言うと、キュウメイとの通信画面がプツリと切れた。ランダはため息をつくと、近くのハンモックに寄りかかる。
「ヴァルキューレ…やっぱり厨二病拗らせた奴の集まりみたいな感じなのかな…世界征服するとか言ってたし……。」
「………」
羽衣は下を向き、何か引っかかったような表情で腕を組んでいた。羽衣の様子に気づいたナビるんが、羽衣の顔をのぞき込む。
「………?羽衣?どうかしたの?」
「………あの敵の一人…見覚えがある気がするんだよ。何処となく…何というか…笑い方とか、受け身の体勢。初めて見たような気がしなくて……」
「……見覚え?知り合いだったりするの?」
「……明確に誰か、とは思い出せないけど…何処かで会った事があるような気がする。」
「えっ……?嘘でしょ…それが知り合いとかだったりしたら、余計に戦いづらいね…」
横から話を聞いていたランダが口を挟む。羽衣の目が捉えたであろう敵の癖。羽衣の中では思考がぐるぐると渦巻いていた。
「……ねぇ、二人共。話変わるんだけどさ…あの時の敵、かなり強かったよね?あれが仮に下っ端か、幹部かは分からないけど…初めて戦ってあれだけ強いってことは…あいつらを率いるであろうボスはそれ以上に強いんじゃないかな…?」
重い空気を裂くように、ナビるんが一歩踏み出す。羽衣はハッと考えるのをやめ、ランダは「あぁ…」と声を漏らす。
ナビるんの言う通りだ。初めて戦った時のあの感覚。手応えが全然なかったような気がした。あいつらであのレベルなら、ボスなんてごもっともと言っていい。
「……確かにそれはそうだね…でもどうするの?特訓とかがいいかなぁ……」
「特訓…それだったら、俺いい所知ってるぞ」
「本当!?それって何処なの?」
「《風妖の盆地》って所だ。師匠と何回か行ったことあってな。師匠の弟、ソウマが稽古してくれたりしたんだ。ソウマに頼みこめば、稽古してくれるかもしれない」
「…ほぇ〜…すげぇな」
説得力のある提案に感心する二人に、「だがな…」と羽衣は続ける。
「海を超えて場所も転々しないと行けないから、色々大変なんだよな……」
「……まあまあ、大丈夫でしょ!風妖の盆地に着く前に仲間が増えるかも!」
「……お前はいつでもポジティブだな…。楽観的と言うべきか…。まあ、良いんじゃねえの?」
「よーし!!じゃあ次の目的地は風妖の盆地に決定ー!!」
「それじゃあ早速レッツg…」
「……待てお前ら。その前にまた敵が来たらどうする?逃げるための策を考えとかないといけないだろ」
「……あっ、そっか…ついうっかり…」
自分達が知らない場所、新天地に行ける事が嬉しくて、つい早とちりしてしまうランダとナビるんだったのだった。
_________
「ひっ……!お許しください…!〇〇さm…」
許しを乞う獣人の首に、大剣が振りかざされたその瞬間。血飛沫が自身の服に飛び散った 。まるで塵を見るような目で首から上がなくなった獣人を見下す。
「…裏切り者風情が。我の名前をそう軽々と呼ぶな、吐き気がする。」
顔に飛び散った血を拭い、大剣をしまった同タイミングで、重い足取りをしたM-96と、軽い足取りをした無情が、ヴァルキューレ本拠地に帰宅した。
「………ただいま戻りました。」
「たっだいま〜!ボス〜!」
無情は躊躇なく、ボスと呼ばれる人物の腕の中に飛び込む。次に顔を上げた際、顔を擦り付けていたせいか、服に付いた血がべったりと付いていた。そんな無情を、赤子の世話をするようにして、「全く、しょうがない奴だ。」と優しく撫でる。
「……二人共、ご苦労様であった。ランダとその仲間は排除出来たのか?」
「その件なんですが……実は下から援護要請が来て、そっちの方に行ってる間に逃がしてしまいました。申し訳ございません」
「……ほう。まぁいいだろう。次は必ず仕留めるのだぞ。」
「はい、承知しました。あと一つ、前頼まれていたデータを分析してみたんですが…。ご覧になられますか?」
「……興味深いな。で?分析結果はどうだったんだ?」
「……分析結果はポケットにしまっておいたチップに…あれ?無い……?」
「……もしかしてお前、逃げる際に落とした?え〜?笑 いっけないんだ〜いっけないんだ〜どうするんだよ〜」
腕の中にいた無情が振り返って、チップを無くして焦るM-96を嘲笑する。
データが見られでもしたら、自分の首はすぐ胴体と泣き別れになる。そのぐらい無くす事と、見られる事は重罪なのだ。
「……どうしましょう…。」
「……あのチップは盗み出したデータの一部だ。どう落とし前つける気だ? もしもランダ達に見られでもしたら…」
「はっ、申し訳ございません。昨日いた場所に戻り、出来る限り探してみます」
「ダッサイなぁM-96は……」
「でも、貴方も情報を必要以上に漏らしてましたよね?戦闘中。聞かれてないと思ってそうですが、バッチリ聞かれてた所もあるかと?」
「ギクッ……」
図星を突かれて思わず固まる無情。どっちもどっち。どちらも重罪そのものだった。無情が言い返そうとしたその時、
「え〜?お前らまたミスしたの〜?」
頭上から、二人の失態を嘲笑うような声が響く。ピンときた無情は、自ら抱きついていた腕を離し、真っ直ぐ上を向いた。
さっきまでの幸せそうな表情はどこにもなく、ただ不機嫌そのものだった。
「……はぁ……あのさぁ。ワイらについてこず、勝手に遊び呆けた部外者がそう軽々と煽り文句を口を出すなよ?そこにいるんだろ?“ヴェロニカ“》
「あちゃあ……バレてた?流石は無情〜」
名を指され、自分の不適切な行動を丸々晒されたヴェロニカは、ストン、という軽い音と共に、地面に舞い降りる。
「……ったく、お前何処行ってたんだよ…丸二日いなかったろ!?バカなの???」
「あー、ごめんごめん〜街壊すの妨害してくるもんだから手こずっちゃって☆大人しく死んでくれれば楽なのに、みんな動き回って抵抗してくるからね」
「……貴方、計画以外にあまり動くなと〇〇様に指示されてたはずでは?そもそも、計画自体を把握してます?」
「えっ?あぁ…そういえばなんかあったなぁ〜でもM-96、忘れたからもう一回教えてくれよ〜」
「はぁ…貴方って人は…なんと無責任な…。計画の内容は、「皆既月食の時にソルーンクラウンの力を使って、世界をヴァルキューレのものにする」だったでしょう」
「あ〜確かそんな感じだったな〜」
「……フッ……ww バッカらしい!こいつの記憶力金魚以下かよ?いや、一緒にされる金魚が可哀想だなぁ……」
「……なんだと無情?」
「え?耳大丈夫そうですかぁ?耳鼻科お勧めするよ、多分結構重症だからねw」
無情とヴェロニカの言い争いが始まった瞬間。パチパチ、と手が叩かれる。
手が叩かれた、という事は「静かにしろ」という合図だ。二人はすぐに黙り込んだ。
「………貴方達って人は……〇〇様の前でとんだご無礼を……そうだ、〇〇様。次の皆既月食は何時頃と思われますか?」
「…さあ。我もさっぱりだ。ただ3ヶ月前後じゃないかと推測されていたぞ。次、一番綺麗に太陽と月が重なりし時、世界が生まれ変わるといって良いだろう。誰にも邪魔なんてさせない。ソルーンクラウを我々のものにしてしまえば、世界はヴァルキューレの手の中にあるのも同然だ。」
「……成程…次の皆既月食が楽しみですね」
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❏情報補足+2
《ヴァルキューレの企み》
ヴァルキューレは、ソルーンクラウンと呼ばれる破滅の王冠の力を使い、世界征服を目論んでいるらしい。
《ソルーンクラウン》
莫大な負の力と引き換えに、強大な力を授けると言われている、いわゆる《破滅の王冠》。数千年前に実際にこの王冠が使用され、何十個もの国が滅び、何千万人の人が巻き込まれてなくなったという。
その後、一人の勇者によって、ソルーンクラウンは封印された。しかし最近封印が解かれかけていると噂が絶たない。
キャラクター情報
❏無情 (14) ♀
煽り癖が酷く、同じくボスに仕えるヴェロニカとチョー仲が悪い。
自身が仕えるボスにはお世話になっていて、隙あらばボスに引っ付いている。
❏M-96 (14) ♂
知的で誰よりもしっかりしているが、たまにヘマをして無情に馬鹿にされる。
常に敬語を使うことを心がけており、タメ口を使う所は誰も見たことがない。
❏ヴェロニカ (14) ♂
チャラ男で、物事を記憶する事が苦手である。ちなみに人の失敗は覚えている。
顔がいい、と自身は自画自賛しているが、実際身近に上の存在がいる事を知っている。ただ、負けず嫌いな所があり、 あえて自分が一番と言っている。
❏ソウマ (25) ♂
羽衣の師匠、キュウメイの弟。
風妖の盆地と呼ばれる場所に住んでいる。
何回か羽衣に稽古をつけた経験有。
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→次回
《旅人達の金稼ぎ》