テラーノベル
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トイレの洗面台で、自分の顔を見つめた。
動揺している。
それだけは、分かった。
…たっくんと目が合った時、ナオ、どんな顔してたんやろ。
頭が働かないまま鏡を見つめていると、ドアが開く音がして、鏡越しにたっくんの姿が見えた。
(なんで、来るねん、)
「…ナオちゃん、?」
隣に来て、腕を掴まれる。
は?
リュウキにあんな顔した後に、ナオにキスする気?
反射で、手を振り払った。
「っ、はっ?せぇへんよっ、?!」
「違うよ、」
「…っ、じゃあ、なに、」
「なんで怒ってんの?」
「怒ってへんよ、」
「怒ってる顔してんじゃん」
「っ、また……」
また、”顔”、
「……また、何、?」
「なんでもあらへん…っ、」
「……最近、避けてるでしょ、俺のこと。」
「…〜っ、もう、はよ戻ってよ!こんなとこ、誰かに見られたらどうすんねん、」
「なぁ、避けてるだろって。」
「っ…収録、始ま…
「ナオヤ。」
いつも、”ナオちゃん”なのに。
言葉を遮られ、強めに名前を呼ばれて、思わず息を呑んだ。
***
(TAKUTO視点)
俺と目が合ったとき、ナオちゃんの表情は確かに動揺していた。
「ナオちゃん、」
自分でも無意識に、名前を呼んでいた。
俺の声を遮って去った、その姿に、正直少し苛立った。
最近、明らかに俺の事を避けている。
あんなに、求めてきたくせに。
“たっくんには一生わからへんよ”
頭の中で、あの言葉が響いた。
「…リュウキ、先戻ってて。」
「えっ?あぁ、うん、わかった。」
ナオちゃんを追いかけて、トイレに向かった。
***
トイレに入ると、鏡を見つめているナオちゃんがいた。
切ない、顔をしていた。
思わず、近寄って、腕を掴んだ。
「…ナオちゃん、?」
「っは、?せぇへんよっ、?!」
そう言って、手を振りほどかれた。
一瞬、忘れていた。
そういう関係、だってこと。
勘違いされたことに、ショックだと、感じた。
「違うよ、」
「っ…じゃあ、なに、」
怒った顔、声。
「なんで怒ってんの?」
「怒ってへんよ、」
「怒った顔してんじゃん」
「っ、また……」
「……また、何、?」
「なんでもあらへん…っ、」
なんなんだよ。
イライラする。
何にも教えてくれないじゃん。
「……最近、避けてるでしょ、俺のこと。」
とどめを刺した。
逃れられなくするために。
「…〜っ、もう、はよ戻ってよ!こんなとこ、誰かに見られたらどうすんねん、」
は?そんなん今どうでもいいだろ。
「なぁ、避けてるだろって。」
「っ…収録、始ま…
俺の質問に、答えろよ。
「ナオヤ。」
知りたい。
そう思った。
「っ…、」
少し怯えたような、びっくりしたような、そんな顔をした。
「っ…だったら、なんやって言うの。」
「は?」
「避けたらあかんの?…自分、守ったらあかんの?」
「っ…守るって、なに」
「ナオ、よく考えたらそんな扱い受ける筋合いないねん。それに…っ…他に、おるやろ、」
「…他、?」
「……可愛いって、頭撫でてたやん、さっき、」
「…なに、リュウキの事言ってんの?」
「ナオなんかより、そっちに構ったらええやん、」
「……へぇ。嫉妬だ?」
「違う。一緒にせんといてよ!」
「一緒?」
「セイちゃんに嫉妬したくせに」
「してないよ」
「してた」
お互いに、目を見つめて離さない。
眉間に皺を寄せて、睨むような目。
でも、ほんの少しだけ、
その、感じた何かを、知りたくなった。
***
(NAOYA視点)
「セイちゃんに嫉妬したくせに」
「してないよ」
「してた」
目を見つめて、お互いに離さない。
たっくんの、静かに、怒っているような目。
でも、ほんの少しだけ、
素直に、なってくれたら。
そんな事を、一瞬考えた。
「っ…、」
多分、同時だった。
お互いに、肩を掴んで、唇を重ねた。
「っ…はぁ…っ、」
何度もキスをしたはずなのに、ゆっくりと、互いを求め合うようなキス。
「ん、…っん、…はぁ…っ、」
今、誰か来たらどうしよう。
そんなことも考えられないくらい、キスに溺れた。
「んっ、ん、…はぁっ、ふ…、たっ、く…っ、」
たっくんの手がふいに髪に触れて、
頭を、撫でられた。
「っ……、/」
心臓が、ドキドキと音を立てた。
「っ、なおちゃん…、」
微かに、名前を呼ぶその声が、切なく耳に響いた。
「っ…はぁ、…」
お互い唇を離して、少しの間、目が合う。
熱を帯びた、目。
「たっくん…、?」
名前を呼んだその瞬間、ガチャっ!とドアが開く音がして、びっくりしてお互いに急いで離れる。
「あ、おった!探したで2人とも。トイレにおったんかー、長すぎひん?もうそろ収録始まるで?」
入ってきたのはセイちゃんだった。
「っ…え、ほんまに?探してくれたん?ごめーん!今行こうと思っててん、…ね?たっくん?」
「…ああ、うん。ごめんごめん。今行くから、ありがとう」
スイッチを切りかえて、いつものように返事をすると、たっくんも普段通りの姿に戻って言葉を返した。
今のキス、何やったん…?
内心戸惑いながらも、考える暇もなく収録へ向かった。
コメント
6件
待って???同時??????????????めっっっろ。死にそう結局嫉妬しちゃってるなおさんも可愛すぎ続き楽しみ‼️😭
話にちょこちょこ出てくるセイナオ大好きです!!

早く続きが待ち遠しいです😭